意外と知らないアメリカンウイスキーとは? アメリカで作られているウイスキーの特徴や製法・歴史などを徹底解説

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ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o

  
 
 
 
 

 

今回のお話は「アメリカンウイスキー」について!!

 

アメリカで作られているウイスキーというとバーボン。

むしろバーボン以外のウイスキーがなかなか思い浮かばないかもしれません。

 

もしかしたらバーボンもウイスキーだったのと思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

ただ実は『バーボン』もアメリカンウイスキーの一角

アメリカンウイスキーにはもっとたくさんの種類があります!!

 

今回はそのアメリカンウイスキーについて掘り進めていこうと思います!!

 

目次

アメリカンウイスキーとは?

 

アメリカンウイスキーと聞いてあまりピンとこない方が多いと思います。

アメリカンウイスキーとは、アメリカで造られたウイスキーのこと。

そしてアメリカンウイスキーと呼ぶための定義が法律(連邦アルコール法)で決められています。

アメリカンウイスキーとは

『穀物を原料に190プルーフ(アルコール度数95%)以下で蒸留し、オーク樽で熟成(コーンウイスキーは必要なし)80プルーフ以上でボトリングしたもの』

と定義されています。

つまり、

アメリカンウイスキーの定義
  • 穀物が原料
  • アルコール度数95%以下で蒸留すること
  • オーク製の樽で熟成させること(コーンウイスキーは必要なし)
  • 40%以上でボトリングされたもの

これがアメリカンウイスキーの定義です。

まず、「ウイスキー」であるからには、穀物原料であることが大前提となります。

果物やサトウキビなどを使ったら「ウイスキー」ではありません。

ただ原料はコーンのみでも、大麦麦芽や小麦を混ぜても、またそば粉やキヌアなどで作ってもウイスキーと呼ぶことはできます。

 

そしてアルコール度数95%以下で蒸留しないと、アメリカンウイスキーと呼ぶことはできません。

アルコール度数95%以上では、最低限の原料由来のフレーバーを残すことができないそう。

なので蒸留するときのアルコール度数にも決まりがあります。

 

また、スコッチウイスキーと同じように熟成するときは、オーク製の樽で熟成させる必要があります

ところが、スコッチウイスキーのように「3年以上熟成させなくてはいけない」といった熟成期間の決まりはありません

つまり、1日でも数時間でもオーク製の樽に詰めて「熟成」させればウイスキーとしてリリースすることはできます。

 

しかし、バーボンなどの多くのアメリカンウイスキーは、スコッチのように「カラメル添加」が許されていません。

そのため、1日や数時間では、ほぼ透明なお酒となります。

また4年未満では熟成年数を記載しなくてはいけないというルールがあります。

 

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そしてこの定義には「アメリカンウイスキーはアメリカで作られたウイスキー」という記載がありません。

ただし、カナダ原酒を使用したライウイスキー「ホイッスルピッグ 10年」は実は小さく「カナディアンウイスキー」と書いてあります。

 

つまり、アメリカンウイスキーと呼ぶためには、アメリカで糖化・発酵・蒸留する必要があるのだと思います。

 
yaffee
僕がアメリカンウイスキーの定義から「アメリカで作られた」の記載を見つけられていないだけかもしれないです。

 

ただホイッスルピッグ蒸留所はアメリカにある蒸留所ですが、カナダ原酒を使ったウイスキーもあります。

そのカナダ原酒が「カナディアンウイスキー」と表記されているので、アメリカで作られた原酒である必要があるのだと思います。

ホイッスルピッグ蒸留所とは??

アメリカンウイスキーの歴史とは?

 

アメリカンウイスキーは、17世紀新大陸へ移ったスコットランド人やアイルランド人たちから作られるようになりました

 

17世紀初頭、当初作られていた蒸留酒は果物原料のブランデーだったといわれています。

そののち、三角貿易によってもたらされてきた糖蜜原料のラムが作られるようになります。

 
yaffee
中南米の国々のようにこの時のラムは、嗜好品というより奴隷にとっての「アメ」として扱われていたのだと思います。

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アメリカで穀物原料の蒸留酒が作られるようになったのは1700年以降の話だそう。

アメリカへ移住してきたスコットランド人やアイルランド人が、農業の傍らライ麦などで蒸留酒を作っていたそうです。

 

イギリスだけでなく、多くのフランス人なども入植。

アメリカは瞬く間にヨーロッパ諸国の植民地と化していきました。

 

そんな1775年、ついにイギリス本国とアメリカ東海岸の13の植民地との戦争が起きます。

学生のこと世界史で必ず習うアメリカ独立戦争です。

 

1776年、大陸議会はアメリカ独立宣言を採択。

そして独立戦争に勝利した1789年、アメリカ初代大統領にジョージ・ワシントンが就任します。

ワシントンのアメリカ連邦政府は戦争後の財政を安定させるためにウイスキーに課税をする政策をとります

 

このことにアイルランド人やスコットランド人からの反発を招き、ついには暴動にまで発展しました。

それが「ウイスキー戦争」という暴動だそうです。

1794年に連邦政府が鎮圧に向かわせた軍隊は独立戦争時よりも多い1万5千人規模だったのだとか。

 

そして、そういったアメリカ連邦政府の政策から逃れるようにスコッチ・アイリッシュたちは2つの道をたどりました。

  1. アパラチア山脈を越えケンタッキー州やテネシー州に移り住んだ。
  2. アメリカよりさらに北を目指しカナダに移り住んだ。

 

①の道をたどった人たちはアイルランド人が多かったといわれています。

そしてその人たちが、のちのバーボンウイスキーやテネシーウイスキーの礎を築いていきました。

 

そして②の道をたどったのはスコットランド人が多かったのだとか。

 
yaffee
ウイスキーには、「Whisky」と「Whiskey」の2つの綴りがあります。
バーボンなどにアイリッシュと同じ「Whiskey」が多く、カナディアンにスコッチと同じ「Whisky」が多いのは、こういった歴史背景があるそうです。

 

アメリカンウイスキーの始まり

1622年ジョージ・ソープという人物が、地元の穀物(トウモロコシ)を使ったウイスキーを作ったのが最初のアメリカンウイスキーだといわれています。

しかし彼の作ったウイスキーは、今でいうと「時代を先取りしすぎた」ため有名になることがなく歴史の闇へと消えていってしまったそう。

 

記録としてよく残っているのは、1776年にケンタッキー州のレキシントンに移住してきたエライジャ・ペッパーのウイスキー

1780年にウイスキー蒸留所を建設しウイスキーを作り始めました。

同じく1783年にケンタッキー州ルイヴィルに移住してきたエヴァン・ウィリアムズがウイスキーを製造しています。

 

この二つが現在アメリカンウイスキーの始まりだとよく知られています。

 

そして1789年にトウモロコシを主原料に使ったウイスキーを作ったのがエライジャ・クレイグという牧師。

これが現在のバーボンウイスキーの始まりだといわれていて、エライジャ・クレイグは『バーボンの祖』といわれています。

 

ところが、「バーボン」という名前が使われ始めたのは1820年以降の話だそう。

それ以前までは「レッド・リカー」「リキット・ルビー」などと呼ばれていたそうです。

また当時のバーボンは、今のバーボンのように法律がありませんでした。

そのため、ライ麦が主原料でもバーボンと呼ばれている銘柄もあったそうです。

 

現在復活したバーボンウイスキー”ブレットバーボン”は、当時のレシピではライ麦比率の方が多かったのだとか。

ブレットバーボンについて詳しく知りたい方はこちら

 

1850年ごろ、アメリカ西海岸にて金鉱が発見されます。

よく知られている「ゴールドラッシュ」の始まりです。ゴールドラッシュにより劇的に西部の開発が進んでいきます。

そして西部を目指して町々でウイスキーを補充しながら進んだのだとか。

こういった人たちのことを「ブートレッカー(ウイスキーの運搬人)」と呼ばれるようになります。

 
yaffee
この言葉はのちのアメリカ禁酒法時代には「密造酒の運搬人」を指すようになります。

 

 

西部に人が移り住んだことによりアメリカの人口は増加。

それに伴って各州の奴隷制度を認めるかどうかで南北で対立します。

その火種は次第に大きくなり、南北戦争(シビルウォー)へと発展していきます。

 
yaffee
ただ奴隷制度だけでなく、関税の問題など様々な要因が重なり、対立につながりました。
 

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この戦争によって当時の国民の約2%(70万人)の方が亡くなっています。

ところが、ウイスキー単体で見ると、この戦争により大きな変化がもたらされました。

 

それはウイスキーの企業化です。

南部州であったケンタッキー州ですが、ケンタッキー州は南北戦争の中心であった「南部連合」には属していませんでした。

 

そういった意味合いもあるのか、ケンタッキー州に北部の資本が流れてくるようになります。

また、連続式蒸留機の導入やスコットランドからの技師の招聘など技術革新が図られました。

 

連続式蒸留機の導入により様々なグレーンウイスキ―が作られるようになり、ブレンドに利用されるようになります。

その結果、何がウイスキーで何がウイスキーじゃないか論争が起きました。

 

 
yaffee
大体同じぐらいの時期にスコッチやアイリッシュでも同じような論争(ウイスキー論争)が起きています。

 

結果、アメリカンではウイスキーを約30種に細分化されることとなり、1868年保税期間(熟成期間)を1年間と定めることとなりました。

1879年には3年間に引き上げられています。

 

1897年には、ボトルド・イン・ボンド法が制定

この法律は……

一つの蒸留所で1シーズン中に蒸留されたものだけを樽詰め、4年間保税倉庫にて熟成させ、100プルーフ(アルコール度数50%)で瓶詰めしたウイスキーを「ボンドウイスキー」と認めたもの

 

この法律がウイスキーの粗悪品と税収不足に悩む政府の画期的な策となりました。

また消費者側の安心して質のいいウイスキーを買うことができたので、双方にメリットのある策でした。

 

ところがピューリタンの影響が強かったアメリカ。

次第に「禁酒」の流れができ始めます。

当時飲酒による治安の悪化が社会問題となっていました。

そのため徐々に「禁酒」を支持する声が高まり、1920年ついにアメリカ全土に「禁酒法」が制定されます。

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禁酒法が制定されたことにより、多くの蒸留所が大打撃を受けました。

中にはそのまま歴史の闇に消えてしまった蒸留所もあります。

お酒を生業としている業者は軒並み被害を受けた禁酒法でしたが、果たして治安はよくなったのかと言ったら……

逆に悪化したそうです。

禁酒法が施行されたことにより、ギャングたちがお酒を買い占め密造酒を売りさばくようになります。

そのお酒をめぐって抗争も起きるようになりました。

また密造所が増え、粗悪なお酒が流通してしまう事態となってしまいます。

実は禁酒法が施行された影響で、禁酒法施行前より飲酒量も増えたという記録もあります。

 

そんな「高貴な実験」と呼ばれたアメリカの禁酒法は、1933年に廃止となっています。

 

その後、アメリカンウイスキーは原酒不足に陥ってしまいした。

中にはほとんど熟成させていない粗悪品が流通してしまったそうです。

 

1948年、現在のウイスキーの品質を守る法律の元となる連邦アルコール法が制定します。

その後1950年代にアメリカンウイスキーは世界中で飲まれるお酒となっていきました。

その後一度消費が落ち込んでしまう時期がありましたが、現在アメリカ各地にクラフト蒸留所ができています。

そして多種多様なウイスキーが作られるようになり、現在アメリカには追いきれないほど多くの蒸留所ができています。

 

アメリカンウイスキーの種類とは?

 

前記したようにアメリカンウイスキーには様々な種類があります。

アメリカンウイスキーの種類
  • バーボンウイスキー
  • テネシーウイスキー
  • ライウイスキー
  • ウィートウイスキー
  • モルトウイスキー
     アメリカンシングルモルトウイスキー
  • ライモルトウイスキー
  • コーンウイスキー
  • ブレンデッドウイスキー
  • ライトウイスキー
  • スピリットウイスキー

などなど

 

スコッチウイスキーでは、モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーの3種類ほどでした。

ところが、アメリカンウイスキーでは、様々な分類があります。

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ただし、そのほとんどはスコッチで分類するところの「グレーンウイスキ―」です。

アメリカンウイスキーでは、作り方や原料を細分化してグレーンウイスキーを様々なタイプに分類しているのです。

その一つ一つを見ていこうと思います。

バーボンウイスキー

 

バーボンウイスキーとは、トウモロコシを主原料に使ったアメリカンウイスキーの一つです。

その定義は……

バーボンウイスキーの定義
  • 原料の51%以上はトウモロコシ
  • アルコール度数80%(160プルーフ)以下で蒸留すること
  • 内側を焦がしたオーク製の新樽で熟成させること
  • 樽詰めアルコール度数は62.5%(125プルーフ)以下
  • 水以外を加えず、40%以上でボトリングされたもの

 

51%以上はトウモロコシを使わないと「バーボンウイスキー」ことができません。

他にもバーボンと呼ぶためには細かいルールがあります。

 

その細かいルールはすべて、最低限においしいバーボンを作るためのルールです。

国が「バーボンウイスキー」としての品質を保つためにこの定義・法律が適用されています。

 

バーボンウイスキーの作り方

 

バーボンウイスキー製法は、スコットランドのグレーンウイスキーの製法と同じような原料と蒸留機を使いますが、似て非なるものです。

この違いを比較しながらのほうがわかりやすいと思うので、比べながら紹介していこうと思います。

原料

バーボンウイスキーもスコッチグレーンウイスキ―も、原料はトウモロコシをメインに小麦・未発芽の大麦・ライ麦などの穀物、糖化材として大麦麦芽を使用します。

ところが、バーボンウイスキーの原料は上でも書いたように、51%以上はトウモロコシと決まっています。

 

実際には「コーン70~80%程度、その他の穀物(一般的にはライ麦か小麦)が10~20%大麦麦芽10~20%」というレシピが多いです。

 
yaffee
この比率・レシピのことをマッシュビルといいます

 

トウモロコシが多いと甘くまろやかになり、ライ麦を使うとスパイシーな仕上がりになり、小麦を使うとマイルドでソフト舌触りになる傾向があります。

代表例 

バーボンは蒸留所ごと、銘柄ごとにそれぞれ違ったこだわりのレシピがあり、そこがバーボンの味の違いで一番大きいところです。

 

ただ、今バイオマスエネルギーが注目されてから世界的にトウモロコシの値段が上がっています。

そのためスコットランドや日本のサントリー、ニッカのウイスキーに比べて熟成年数が短く、比較的原酒のあるバーボンウイスキーでも値上がりが起きています。

原料の高騰も一つの要因だと思います。

 

反対に一般的なグレーンウイスキーはあまり原料の比率にはこだわっていないところが多いです。

それより安価な原料でニュートラルに近いスピリッツを作ることに重きを置いているのだと思います。

そのため比率は公開されていません。

 

推測ですが、スコットランドに限らず、一般的なグレーンウイスキーはそれぞれの原料の仕入れ値によって比率を変えているのではないかと思います。

グレーンウイスキーは連続式蒸留機で高アルコールで蒸留。

ピュアなアルコールに近い状態にするため、原料を変えてもウイスキーとしての味わいが変わることが少ないのかもしれません。

 

原価を調節すれば、グレーンウイスキーの原価をほとんど変えることなく作ることができるわけです。

つまり、スコットランドのブレンデッドウイスキーの値上がり幅が少なくコスパがいいのはそういうことではないかと思います。

スコッチブレンデッドウイスキーとは?

糖化

糖化工程の前に、バーボンウイスキーもグレーンウイスキーも「クッキング」という作業を行います。

「クッキング」とは、麦芽以外の原料を煮込んでドロドロのおかゆにすることです。

麦芽にしていない麦や皮や身が硬いトウモロコシは煮込んで柔らかくしないと、糖化しにくくまた酵母も働きにくくなってしまうそう。

そのため「クッキング」が必要になります。

「クッキング」作業を行った後、麦芽を混ぜ糖化工程に移ります。

 

ところが、ここでバーボンはグレーンウイスキーと大きく違った方法を行います。

バーボンで多く使われる仕込み水は「ライムストーンウォーター」という硬度300~350程度の硬水が使われます(南アルプスの天然水が硬度30程度)。

 

pHも7以上と少しアルカリ性寄りで、そのままでは糖化酵素や酵母が働きにくいです

そのためサワーマッシュ方式という方法が用いられます。

「サワーマッシュ方式」とは、蒸留廃液を使って仕込み水のpHを調節。糖化酵素や酵母が働きやすい環境に整えることです。

この方式を行うと酵素や酵母が働きやすくなるだけではなく、薫り高くて力強い味わいになりやすいと言われています。

 

また発酵時にほかの雑菌の繁殖を抑えたり、酒質を安定させたりとさまざまな効果があるそう。

現在ではバーボンの生産者のほとんどが採用しているため、サワーマッシュ法を行っていないバーボンを探すほうが困難です。

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発酵

バーボンでは酵母へのこだわりが強いです。

各蒸留所でオリジナルの酵母を毎回独自培養

 

また別々の酵母で作った原酒を組み合わせて、製品化するところも多いです。

 

反対にグレーンウイスキーは複雑な香味細分は必要としていないので、ニュートラルな酒質を生む酵母が使われます。

発酵時間はややバーボンのほうが長いですが、モロミのアルコール度数はほとんど同じぐらいかややバーボンのほうが少ないぐらいです。

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蒸留

かなりマニアックな話ですが、

グレーンウイスキーで主に使われるのはアロスパス式という最新型の連続式蒸留機

バーボンではビアスチルとダブラーという2種類1組の連続式蒸留機が使われます。

 

グレーンウイスキーのアロスパス式は、通常の蒸留では分離しにくいフーゼル油まで分離することができる連続式蒸留機

そのためかなりクリアでニュートラルな留液を得ることができます。

蒸留後のアルコール度数も90%程度と高めです。

 

対してバーボンのビアスチルの原理は、コフィー式スチルの粗留塔とほとんど同じだそう。

数段の棚のある蒸留塔の中で連続的に蒸留が行われます。

そしてダブラーは見た目こそポットスチルに近いです。

ところが仕組みは全く異なり、連続的に蒸留を行う精留塔となっています

 

バーボンでは複雑な香味成分やパワフルな味わいが必要となっているので、原料の味わいが残る65~70%程度で蒸留されるところが多いです。

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熟成

グレーンウイスキーとバーボンウイスキーの最も大きい違いは樽だと思います。

バーボンは内側を焦がした新樽の使用は義務となっています。

つまり樽由来の香味成分がよく抽出されます

対してグレーンウイスキーは香味成分があまり出ないプレーンカスク(3・4回使用し再活性化の行っていない古樽)が使われることが多いです。

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テネシーウイスキー

実はアメリカンウイスキーNo.1 の銘柄「ジャックダニエル」は、厳密に「バーボン」ではありません。

「テネシーウイスキー」というジャンルで、バーボンの製法・定義に……

  • テネシー州で作られること
  • チャコールメローイング製法を行うこと

が義務となっています。

チャコールメローイング製法とは、サトウカエデ(メープル)の炭で原酒をろ過する工程のこと

こうすることで、重たい成分を取り除くことができ、メープルの甘くまろやかな香りや味わいを得ることができるそうです。

 

ただテネシーウイスキーと呼ぶためには、バーボンウイスキーの定義をすべて満たしていないといけません

そのため、テネシー・バーボンウイスキーと呼ばれることもあります。

テネシーウイスキーの定義
  • 原料の51%以上はトウモロコシ
  • アルコール度数80%(160プルーフ)以下で蒸留すること
  • 内側を焦がしたオーク製の新樽で熟成させること
  • 樽詰めアルコール度数は62.5%(125プルーフ)以下
  • 水以外を加えず、40%以上でボトリングされたもの
  • テネシー州で作られていること。
  • 蒸留直後の原酒をサトウカエデの炭でろ過(チャコールメローイング製法)を行っていること。

 

 
yaffee
ちなみにちょっとした小話ですが、ジャックダニエルのチャコールメローイング製法用の炭はサトウカエデにジャックダニエルの原酒をかけて点火して炭にしているそうです。

その他のウイスキー

 

アメリカンウイスキーでバーボンウイスキーとテネシーウイスキー以外のウイスキーは……

  • ライウイスキー
  • ウィートウイスキー
  • モルトウイスキー
  • コーンウイスキー
  • ブレンデッドウイスキー
  • ライトウイスキー
  • スピリットウイスキー

          ……などなど

 

この中で最も多いのはライウイスキーです。

ライウイスキーは、もともと禁酒法が施行される前までは大変人気のあるウイスキーでした。

 

ところが、禁酒法が施行され廃止となった後、人気となっていったのはトウモロコシ原料のバーボンウイスキー。

ライウイスキーは、カクテルベースに使われるぐらいで単体で飲まれることは少なくなってしまいました。

 

ところが近年、プレミアム・ライウイスキーに注目が集まりつつあります。

プレミアム・ライウイスキーを中心にライウイスキーの市場は拡大しています!!

 

今後もっとライウイスキーを見かけるようになるかもしれませんね!

そんなライウイスキーの定義は……

アメリカンライウイスキーの定義
  • 原料の51%以上はライ麦
  • アルコール度数80%(160プルーフ)以下で蒸留すること
  • 内側を焦がしたオーク製の新樽で熟成させること
  • 樽詰めアルコール度数は62.5%(125プルーフ)以下
  • 水以外を加えず、40%以上でボトリングされたもの
  • 2年以上の熟成でストレートライウイスキーとなる。

 

それ以外のウイスキーの定義についてはこちらの記事で紹介しています!!

↓↓↓

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アメリカンウイスキーについて詳しくなる細かいポイント

ケンタッキー州以外でもバーボン!?

 

 

バーボンの語源はケンタッキー州のバーボン郡という地名から来ています。

そう聞くとケンタッキー州のバーボン郡で造られたウイスキーがバーボンと思いがちですが、実はそれは間違いです!!

 

「バーボン郡で造られ……」や「ケンタッキー州で造られ……」といった記載はありません。

つまりケンタッキー州以外でも定義通りに造っていれば、「バーボンウイスキー」と呼ぶことができます。

極端なこと言うとアラスカやハワイで作ってもバーボンウイスキーと呼ぶことができます。

 

熟成の必要はあるけど、熟成期間の規定はなし

 

そしてバーボンもアメリカンウイスキーの定義と同じように熟成期間の規定はありません。

 

2年以上熟成させれば「ストレート○○ウイスキー」となる

2年以上でストレートバーボンと呼ぶことができるのは、程よい熟成年数がたったという証明です。

 

4年以上の熟成で熟成年数の表記なしにできる

 

「4年熟成で年数表記の必要がなくなる」というところに疑問を感じませんか??

熟成年数が長いほどもっと誇ったほうがいいのでは?という疑問が出てくるかと思います。

それはアメリカのエンジェルズシェア(熟成中に原酒が減っていく現象)と熟成仕方が理由となっています。

アメリカの中でもウイスキー造りが盛んなケンタッキー州やテネシー州は、スコットランドより平均的に気温が高く、寒暖差が激しいです。

また乾燥しているため、エンジェルズシェアの減り量が多くなります。

スコットランドではエンジェルズシェアは平均年間2~3%程度です。

ところが、アメリカのウイスキー造りが盛んな地域では年間多い時で10%、少ない時でも4%の目減り となります。

つまり乾燥していて気温の高いアメリカでは、スコットランドより熟成中にかなり早く原酒が減っていきます。

さらに熟成自体もダイナミックに進みます。

熟成庫はラック式が多い

 

アメリカの熟成庫のほとんどはラック式。数十段という棚に樽が並べられ、熟成していきます。

ラック式では、上と下で熟成に大きな違いが生まれるそう。

それは樽から蒸散した水とアルコールが熟成庫の中で違う場所に滞るからだといわれています。

比重の軽いアルコールは上へ、水は下へとたまっていきます 。

熟成庫の上のほうは高い温度と高いアルコール濃度によって、樽内の水分が蒸散するそう。

すると原酒のアルコール濃度が高くなっていきます 。

反対に下のほうはアルコールが蒸散するため、アルコール度数が下がっていきます。

スコットランドの熟成方法では、基本的に熟成によってアルコール度数は下がっていく傾向があるそう。

地面に近い下の段ほど熟成に向いているとされ、3~4段程度しか重ねない方法を多く採用しています(ダンネージ式)。

ところが、バーボンをはじめ多くのアメリカンウイスキーでは、熟成庫の最上段を「イーグル・ネスト」 と呼ばれ、熟成には一番向いていると考えているそう。

一番ダイナミックに進む熟成のほうが、コーン比率の高いバーボンには合っているんでしょうね。

また気候による熟成の違いだけでなく、義務である新樽の使用も理由の一つです。

内側を焦がした新樽により樽材成分がかなり早く抽出されます。

するとスコットランドより、かなり早く熟成のピークを迎えます。

このように、ダイナミックかつ早く熟成のピークを迎えるバーボン。

短い期間で、スコットランドの10年熟成に近い熟成感を得ることができるそうです 。

ただ、スコッチの10年物とバーボンの4年物。

同じ棚に同じ値段で並んでいたとしたら、どちらを選びますか??

多分「10年熟成」のほうを手に取ると思います。

バーボンで4年熟成と言ったら、物によってはしっかりとした熟成感があります。

しかし、わかりにくいですよね。

そのため4年以上のバーボンには熟成年数の表記の義務がなくなります。

反対に4年以下のバーボンに熟成年数表記の義務は、粗悪なバーボンと良質なバーボンとを分けるためだと思います。

 

明確なシングルモルトの定義はない!!

 

アメリカンシングルモルトウイスキーの定義
  • 原料の100%以上はモルト(大麦麦芽)
  • 単一蒸留所であること
  • 糖化、蒸溜、熟成を米国内でおこなっていること
  • 容量700ℓ以下のオーク樽で熟成されていること
  • 蒸溜後の度数が80%を超えていないこと
  • 度数80プルーフ(40%)以上でボトリングされていること

 

最後に……

 

最後までお読みいただきありがとうございます!

今回のお話いかがだったでしょうか?

 

アメリカンウイスキーは多種多様。

様々な種類があります。そのため飲み方も様々に楽しめると思います。

 

また大味のお酒が多いため、料理酒として使ってみても面白いと思います!

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よかったら試してみてください!

 

それではよいウイスキーライフを!

また次回もよろしくお願いいたします!

 

 

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この記事を書いた人

香りづけに使用したことからウイスキーにどっぷり嵌ってしまった料理人です。
調理師の仕事をしつつ、ウイスキーと料理の魅力を紹介するためにブログ・メディアを作成。
様々な視点からウイスキーを解説しています。

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