「スコッチウイスキーってどういうお酒なの」
「飲んだこともあるけど、実はよくわからない」
現在、スコッチウイスキーはオーセンティックなバーだけでなく、居酒屋やレストランなどでも飲めるポピュラーなお酒となったと思います。
ところが、「スコッチウイスキーとは何ぞや」まで気にしている方はまだまだ少ないでしょう。
今回は、スコッチウイスキーについてざっくりと基本知識を解説、初めての方も楽しめる飲み方、代表銘柄をまとめてました。
味わいだけじゃないスコッチの奥深さに触れてみてください。
スコッチウイスキーとは?
スコッチウイスキーは、スコットランドで作られているウイスキーのことを言います。
まずは、スコットランドについて少しおさらいしてみましょう。
スコットランドとは?
スコットランドとは、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(英国)を構成する地域の一つ。
イングランドに次ぐ人口・面積を持つ地域で、1707年にイングランドへ併合されましたが、1999年スコットランド自治議会が再開。
国内政策の多くの分野で権限を持っています。
面積 | 約7万9000㎢ |
人口 | 約530万人 |
公用語 | 英語(方言としてスコットランド英語やイギリス英語) |
スコットランドゲール語 | |
首都 | エジンバラ |
最大の都市 | グラスゴー |
元首 | エリザベス女王 |
首相 | ニコラ・スタージョン |
守護聖人 | セント・アンドリュー |
国花 | アザミの花 |
スコットランドは、グレートブリテン島の約1/3と790以上ある島々から構成されています。
その島々の中心がヘブリディーズ諸島と北部諸島(オークニー諸島、シェットランド諸島)です。
北部・ハイランドは山岳地帯となっていて、西岸には氷河で削られた山岳やフィヨルドなど北欧のような地形が広がっています。
対して南部のローランドは丘陵地帯が広がっているため、人口の大半が集中しています。
西岸は、メキシコ海流(暖流)と偏西風の影響で年間通じて気候が穏やかであり、年間通じて平均的に降水があります。
夏は涼しく、冬もロシアのカムチャッカ半島ぐらいの緯度にしては穏やかです。
湿度の高く、ウイスキーの熟成に適している地域が多いそうです。
対して、東岸は北海の影響を受けているため西岸より寒冷だそう。
雨も少なく、日照時間が長いため大麦の生育に適しているといわれています。
定義
スコッチウイスキーは法で定義化されており、「スコッチウイスキー」と名乗るために必要な6つの定義があります。
- 水・イースト・麦芽(モルトウイスキー)又はその他の穀物(グレーンウイスキー)のみを原料とすること。
- スコットランドの蒸留所で糖化・発酵・蒸留を行うこと
- アルコール度数94.8%以下で蒸留すること
- 容量700ℓ以下のオーク製の樽で熟成させること
- スコットランド国内の保税倉庫で3年以上熟成させること
- 水とスピリッツカラメル以外の添加は禁止。
少なくともこの6つの定義を守っていることが「スコッチウイスキー」と呼ぶための最低条件です。
それぞれ詳しい解説については過去の記事にまとめました。
より詳しく知りたい方は、下のリンクをご参照ください。
特徴
- スモーキー
- クセの強い
- 玄人向け
などがスコッチウイスキーのイメージがあるかではないでしょうか。
スコッチウイスキーには、モルト(モルト・大麦麦芽100%)とグレーン(その他の穀物も使用)の2種類の原酒があり……
- モルト原酒だけで作られたモルトウイスキー
- グレーン原酒だけで作られたグレーンウイスキー
- 両方ともブレンドしたブレンデッドウイスキー
この3種類があります。
種類について次の見出しで詳しく解説しますが、スモーキーやクセの強いといった印象はモルトウイスキーの一部のみです。
スコッチウイスキーは、フルーティなタイプからリッチでメロウなタイプ、複雑なコクのあるタイプ、バランスのいいタイプなどさまざま。
実はスモーキーなタイプだけではないのです。
種類
スコッチウイスキーの種類は、前記したように
- モルトウイスキー
- グレーンウイスキー
- ブレンデッドウイスキー
の3つにわけることができます。
モルトウイスキーは、多彩な個性と長い余韻が特徴。
対してグレーンウイスキーは穏やかな個性とキレのある余韻が特徴です。
その二つを掛け合わせたブレンデッドウイスキーはバランスのいい味わいと程よい余韻が特徴となっています。
そしてスコッチモルトウイスキーには、6つの生産地域があります。
- ハイランド
- スペイサイド
- アイラ
- ローランド
- アイランズ
- キャンベルタウン
それぞれ特徴の違いがあり、シングルモルトではそれぞれの地域の個性が楽しめます。
またブレンデッドウイスキーでは、各地域の個性を活かしつつ原酒をブレンド。
ブレンダーの手によってバランスの良さと多彩な香りと味わいが表現されています。
歴史
記録に残っている中では、スコッチウイスキーは1494年王室財務係の文献に初めて登場します。
”修道士に麦芽を与えて「ウイスキー(当時の呼び名は”アクア・ヴィテ”)」を作らせた”という内容です。
蒸留技術は文献以前から知られていたため、ウイスキーは作られていたでしょう。
ところが、ウイスキーは1800年代まで熟成させることなく飲まれていました。
無色透明の荒々しいスピリッツのまま飲まれており、スコットランドの一部地域の地酒レベルだったといわれています。
1707年にスコットランド議会が廃止となりイングランドに併合されると、1713年からスコットランドでもイングランドの麦芽税が導入されることになりました。
重税や圧政からくるイングランドへの抵抗心から盛んになっていったのがウイスキーの密造です。
1777年には、400件以上もの密造所があったといわれています。
密造家たちは税務官による摘発を逃れるために、シェリー酒の空き樽にウイスキーを隠し始めました。
数年後に樽を開けてみたら、無色透明だったウイスキーが琥珀色の芳しい香りのする美酒へと変貌を遂げていたのです。
これが樽熟成のはじまりといわれています。
スコッチのストーリーとしてよくこの説が語られますが、以前より樽熟成が知られていた方が有力です。
その後、ブレンデッドウイスキーや連続式蒸留機の誕生により、スコッチウイスキーは発展。今日の地位を確立していきます。
スコッチウイスキーの作り方
スコッチモルトウイスキーは、大麦麦芽と水だけで糖化を行いイーストを添加して発酵。
ポットスチル(単式蒸留器)で蒸留することで、熟成前のウイスキー「ニューポット」が完成します。そして、樽に詰めて長い時間熟成させることで、モルトウイスキーは出来上がるのです。
モルトウイスキーを作る上でのポイントは、
- 原料は大麦麦芽だけで作られている
- ポットスチルでの蒸留
- 熟成樽は、バーボン樽やシェリー樽など何かのお酒に使われていたものがよく使用される
と言えるでしょう。
対してスコッチグレーンウイスキ―は、大麦麦芽以外の穀物を麦芽の酵素で糖化させて発酵。主に連続式蒸留機で蒸留して樽に詰めてつくられています。
グレーンウイスキーは意図的に味わいを変える以外は、ほぼブレンデッド用の原酒です。
連続式蒸留機は原料を投入し続ければ蒸留をし続けることができるシステムで、単式蒸留よりも原料由来の個性が少なくピュアなアルコールに近い酒質に仕上げることができます。
樽の個性が出にくくなった「プレーンカスク」と呼ばれる樽が使われます。
穏やかでクリアな酒質にし、ブレンデッドウイスキーのベースとしてふさわしい原酒に仕上げることが多いです。
ところが、前記したように意図的に味わいを変えたグレーンウイスキ―を作ることもあります。
例えば、もしスコットランドでバーボンタイプのウイスキーを作った場合、表記は「グレーンウイスキ―」となります。
また、モルトだけを原料に連続式蒸留機で蒸留した場合も「グレーンウイスキー」となります。
スコッチグレーンウイスキーは、モルトウイスキーやブレンデッドウイスキー以外のスコッチウイスキーって意味もあるのかもしれません。
スコッチウイスキー代表銘柄
ジャンル | ブレンデッドウイスキー |
---|---|
生産国 | スコットランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | 12年 |
ジョニーウォーカーブラックラベルは、世界No.1スコッチウイスキーブランド”ジョニーウォーカー”のフラグシップボトルです。
4種類のキーモルト(クライヌリッシュ、グレンキンチー、カリラ、カーデュ)に29種類以上ものモルト原酒を使用。
12年以上熟成させた原酒のみ厳選しブレンドされています。
奥深くバランスのいい味わいと華やかな香り、スモーキーなアクセントが特徴です。
ストレートからハイボールまで幅広くお楽しみいただけます。
- 華やかでフルーティ
- ミズナラ由来のふくよかなフレーバー
- バランスが良く飲みやすい
- 12年物ブレンデッドウイスキーにしては高い
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・ハイランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽中心 |
熟成年数 | 10年 |
「完璧すぎるウイスキー」といわれるグレンモーレンジィのフラグシップボトル「オリジナル」。
材木からこだわったデザイナーズカスクで10年以上熟成された原酒のみ使用しボトリングされています。
オレンジやアプリコットのような爽やかな果実香にバニラや蜂蜜の甘いフレーバー、複雑で奥深い余韻が特徴。
本場スコットランドでは1番愛飲されているシングルモルトウイスキーです。
- 深いコクのあるフレーバー
- シェリー樽の特徴がわかる
- オフフレーバーが気になる
- 価格が高い
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・スペイサイド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | アメリカンオーク |
熟成年数 | 12年 |
「シングルモルトの原点」といわれているグレンリベットのフラグシップボトル。
フルーティで蜂蜜やバニラのような甘みを伴う芳醇でソフトな風味が特徴です。
フルーティで華やかなお王道もスペイサイドモルトスタイルで、飲みやすくクセのない味わいから世界中で愛飲されているボトルとなっています。
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽メイン |
熟成年数 | 10年 |
「アイラモルトの王様」と言われるシングルモルトブランド”ラフロイグ”。
同蒸留所のフラグシップボトルが「ラフロイグ10年」です。
「LOVE or HATE(好きか嫌いか)」とのキャッチコピーを掲げるほど、クセの強いスモーキーさ。
ヨード臭の強い薫香にバナナのような甘いフレーバーに長い余韻が特長です。
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・アイラ島 |
アルコール度数 | 46% |
樽 | アメリカンオーク(バーボン樽) (1stフィル & 2ndフィル) |
熟成年数 | 10年 |
カルト的な人気を誇るアードベッグ蒸留所のフラグシップボトル。
バーボン樽で10年以上熟成された原酒を使用し、ノンチルフィルタード(冷却ろ過をしていない)・アルコール度数46%でボトリングされています。
アイラモルトらしい強烈なスモーキーフレーバーとトロピカルフルーツのような香り、繊細な甘みが特徴です。
2008年にはワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
- 複雑だがバランスがいい
- ハイボールからストレートまで飲み方を選ばない
- ややサルファ(硫黄系フレーバー)が気になる
- 複雑みと飲みやすさが絶妙
- 深い熟成感があるのに優しい口当たり
- 17年と長い熟成年数にしてはリーズナブル
- 非の打ちどころがない
スコッチウイスキーの楽しみ方
ストレート
スコッチウイスキーは個性や特徴がはっきりとした銘柄が多いので、ストレートで飲むことで個性が存分に楽しめるかと思います。
特に、シングルモルトはストレートがおすすめです。
常温で飲むストレートではウイスキーの香りを感じやすく、スモーキーさやフルーティさなど特徴的な香りやフレーバーがわかりやすいでしょう。
また余韻も長いものが多いので、飲んだ後鼻から抜ける「あと香」まで存分に楽しんでみてください。
チューリップ型のテイスティンググラスに30mlほどウイスキーを注ぎ、空気に触れさせつつ(スワリング)香りの広がりや変化まで味わいってみると通な楽しみ方ができるでしょう。
トワイスアップ
常温のウイスキーを常温の水を1:1で割る飲み方がトワイスアップです。
アルコール度数が下がり飲みやすくなりますが、ウイスキーの香り・味わいを十分に引き出すことができる飲み方となっています。
特にスコッチウイスキーは、トワイスアップにすることで隠れた香り・味わいなどがわかりやすくなることがあります。
ストレートと同様のテイスティンググラスで楽しむと、香りが鮮明に楽しめるでしょう。
ロック
大きめの氷とウイスキーだけで楽しむ飲み方。
ウイスキーが冷えることと徐々に氷が溶けて加水されていくことで変化が楽しめることがロックの特徴です。
甘みが抑えられて、スコッチの特徴ともいえるスモーキーフレーバーや樽の渋みが際立ちやすくなります。
ハイボール
ウイスキーを2倍以上の炭酸水で割る飲み方でアルコール度数が下がり飲みやすくなります。
ところが、炭酸により香りが立ちやすく本来の香味を損ねず楽しむことができます。
スコッチウイスキーは特に香り高さが特徴なので、ハイボールなら高いアルコール度数が飲めない方にもおすすめしやすいです。
特にブレンデッドウイスキーがおすすめ。
ハイボールにしてもバランスが崩れることなく楽しめるでしょう。
水割り
水割りは、ウイスキーを2.5倍ぐらいのよく冷えた水で割る日本独自の飲み方です。
低いアルコール度数なので飲みやすく、親しみやすい味わいになるかと思います。
香りや味わいの強いスコッチウイスキーは、水割りにすることで飲めるようになる人も多いでしょう。
ハイボール同様に、ブレンデッドウイスキーの方がバランスが崩れにくくおすすめです。
お湯割り
ウイスキーのお湯割りは、スコットランドでも飲まれているポピュラーな飲み方です。
一般的にはウイスキーに対して2倍のお湯で割ります。
お湯割りにすることで、甘みが際立ち飲みやすくなる銘柄は多くなります。
特にアイラモルトのようにクセの強いシングルモルトは、少しクセがマイルドになり甘みが強調さるのでおすすめです。
カクテル
スコッチウイスキーを使った代表的なカクテルは、
- ロブ・ロイ(スコッチのマンハッタン)
- バノックバーン(スコッチベースに変えたブラッティメアリー)
- ラスティネイル
など
他にもウイスキーベースのカクテルにあえてスコッチを使う場合があります。
その場合、スモーキーさや香り高さを活かして組み立てると面白いでしょう。
スコッチウイスキーの選び方
主に酒屋さんやオンラインショップで見るスコッチウイスキーは、モルトウイスキーかブレンデッドウイスキーの2タイプが多いです。
そして、モルトウイスキーの場合シングルモルトとブレンデッドモルトの2つがあり……
- シングルモルトは、蒸留所の個性
- ブレンデッドモルトは、ブレンダーが調合した個性
- ブレンデッドは、調和
と考えるとウイスキーが選びやすくなるかと思います。
また、シングルモルトは産地によって味わいが変わるので、上で解説した6つの生産地域をチェックすると自分好みのウイスキーが見つけやすいでしょう。
まとめ
スコッチウイスキーはスコットランドで作られているウイスキーで、主にモルトウイスキー、グレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーの3つのタイプがあります。
モルトは香り高く、グレーンは穏やかな個性、そしてブレンデッドはバランスと……。
それぞれに特徴があり、そ楽しみ方も様々です。
ストレートやハイボール、ロックだけでなく、水割りやお湯割り、カクテルなど飲み方を変えて楽しんでみるとよりスコッチの奥深さに触れられると思います。
さらに特徴だけでなく知識もともに知ると、より魅力と奥深さにハマっていくのではないでしょうか?
今回の紹介した銘柄を参考に、ぜひ飲み比べてみてください。
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