『エネルギー効率化のパイオニア』!リッチで個性的なグレンアラヒー 蒸留所 Glenallachie Distillery

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目次

グレンアラヒー Glenallachie 蒸留所について

 

グレンアラヒーはゲール語で「岩だらけの谷」という意味だそうです。

 

元々はブレンデッド用原酒のみを作ってきた蒸留所です。

 

2017年より、ベンリアック・グレングラッサ・グレンドロナックを復活させた立役者、ビリー・ウォーカー氏がこの蒸留所を所有。

それからやっと本格的にシングルモルトがリリースされるようになりました

 

ビリー氏は、2016年にベンリアック3兄弟をブラウンフォーマン社に売却。

その翌年にグレンアラヒー蒸留所を買収しました。

 

華やかでフルーティなスペイサイドらしくない、リッチで個性的なシングルモルトとして人気が高まってきています。

 

またグレンアラヒー蒸留所は、機能性・エネルギー効率を重視した天才建築家デルメ・エヴァンスの最後のプロジェクト。

 

彼の集大成ともいえる蒸留所で、独自のアイディアで機能性・エネルギー効率の高い設備だそう。

このことからグレンアラヒー蒸留所は『エネルギー効率化のパイオニア』ともいわれています。

 

今回はグレンアラヒーの深いストーリーとこだわりに注目していこうと思います。

 

グレンアラヒー Glenallachieのストーリー

 

1967年、ブレンデッドウイスキーの「マッキンレーズ」の原酒確保のためにグレンアラヒー蒸留所は創業しました。

 

1960年代はアメリカでブレンデッドウイスキーが飛ぶように売れていた時期

(この理由について気になる方はこちらをクリック!!)

この時に多くのスコッチ蒸留所が生まれ、多くの蒸留所で拡張工事が行われていました。

グレンアラヒーも、そんな時代の流れに乗った蒸留所の一つです。

 

蒸留所の設計を担当したのが機能性と効率を重視した建築家デルメ・エヴァンス』でした。

 

パゴダ屋根を取り入れたヴィクトリア朝を代表するウイスキーの蒸留所建築家『チャールズ・ドイグ』。

対して『デルメ・エヴァンス』は第2次大戦後の1950~60年代に活躍した建築家

水平クーラーや重力に従ったプラント配置など機能性とエネルギー効率をウイスキー蒸留所に持ち込んだ人物です。

 

彼の代表作はアイル・オブ・ジュラ、タリバーディンで、最後の作品であり集大成ともいえるのが『グレンアラヒー蒸留所』です。

 

彼の知恵やこだわりが設備の所々に込められています。(そのこだわりについてはこちらをクリック!!)

 

1985年にはインバーゴードン社、1989年にキャンベルディスティラーズ(ペルノリカール)社とオーナーが移っていきます。

 

ただ、この時のグレンアラヒーはほぼすべてブレンデッド用

シングルモルトとして表舞台に出ることはありませんでした

 

2017年、ベンリアック蒸留所を立て直したスコッチ業界内の風雲児ビリー・ウォーカー』氏がグレンアラヒー蒸留所を買収。

 

すると、一気にグレンアラヒー蒸留所の改革を行います。

グレンアラヒーは、もともとスパイサイドでは珍しい重ためなモルトウイスキーを作っていた蒸留所

ビリー氏の革新により、さらにリッチで個性的なシングルモルトを作るようになります。

今まさにウイスキーはシングルモルトの時代

シングルモルトが多くリリースされています。

 

つまり、グレンアラヒーはブレンデッドウイスキーの時代に誕生し、シングルモルトの時代に革新が行われた蒸留所。

その時代ごとに注目が集まるのは、グレンアラヒーがいいモルトを作ってきていた証拠だと思います。

 

2018年一新したグレンアラヒー「10年」「12年」「18年」「25年」がリリース。

これだけ早くリニューアルできたのも、ビリー・ウォーカー氏がこの蒸留所買収時に古い原酒まで一緒に買い取ることができたからだそうです。

 

20年以上高い品質を誇りつつも、日の目を見ることのなかったグレンアラヒーの原酒たち

ビリー・ウォーカー氏の手によって「シングルモルト」としてリニューアルされました。

 

リリースしてすぐに、そのクオリティーからモルトファンから大人気の銘柄に!

 

ビリー氏が手掛けた原酒なども熟成中で、今後のグレンアラヒーにも注目です!!

 

グレンアラヒー Glenallachieのこだわりの製法

 

グレンアラヒーはもともとブレンデッド用の原酒を作っていましたが、リッチで個性的なモルトウイスキーが特徴。

 

この蒸留所のあるスペイサイドでは珍しいタイプのモルトウイスキーです。

ただスペイサイドの華やかな印象も楽しめることから、隠れた名ウイスキーとしてブレンダーやマニアから人気のあった蒸留所です。

(だからこそ一度も閉鎖されることなく、今までひっそりと稼働していたのだと思います。)

 

そんなグレンアラヒーはノンピートヘビリーピーデット麦芽を使い分けてウイスキーを作っています

ヘビリーピーデッド麦芽はフェノール値60~80ppm。(ラフロイグが40~50ppmアードベッグが55ppmぐらいなので、かなり高め)

 

仕込みの大体85%ぐらいがノンピート15%ぐらいがヘビリーピートだそうです。

 

そしてグレンアラヒーの製造工程で特に特徴的なのは発酵時間が160時間程度とかなり長いことです。

ここから生まれる華やかでフルーティなニュアンスが、リッチなテイストを引き立てているのかもしれないですね。

 

得られるモロミはだいたいアルコール度数9.4~9.6%程度とやや高めです。

そのモロミをポットスチルで蒸留。

ノンピートは74~62%でミドルカット、ピート麦芽は74~54%でミドルカットされるそう。

このミドルカットのアルコール度数は、ビリー・ウォーカー氏が1%ずつテイスティングして決めたそうです。

 

そして、ノンピートタイプはバーボン樽新樽ペドロヒメネスオロロソのシェリー樽で熟成、

ヘビリーピートタイプはバーボン樽新樽で熟成させるそう。今後ライウイスキー樽にも熟成させるかもしれないそうです。(既にやっているかも。。)

 

デルメ・エヴァンスが作り上げたエネルギー効率のいい蒸留設備

 

この蒸留所のすごいところが、この手順がすべて重力利用して行えるよう工夫されているところ

水源から重力で自然に仕込み水を採取できるそう。

また糖化槽や発酵槽が蒸留所の一番高いところにあり、ポットスチルが一番低いところにあるそうです。

 

さらに通常垂直に置かれているコンデンサー(冷却装置)が水平に置かれてい。

こうすることで銅とのコンタクトが大きくなるそうです。

 

さらにポットスチルに詰める前のモロミを温める設備(プレヒーティングシステム)を初めて導入した蒸留所でもあります。

このような一つ一つのアイディアからかなりエネルギー効率のいい蒸留所となっています。

このことからグレンアラヒーは『エネルギー効率化のパイオニア』といわれています。

 

ラインナップ

 

グレンアラヒー 12年

 

華やかな印象の多いスペイサイドモルトの中ではかなり異質な骨格のしっかりとしたリッチなテイストのウイスキー。

 

チョコレートやバターケーキのようなニュアンスにややオレンジのようなフレーバー

 

十分な飲みごたえのある味わいで、まったり晩酌やゆっくり夜飲みたいウイスキーです!

 

個人的にマドレーヌやフィナンシェなど洋菓子と合わせたいモルトです!

プリンやブラマンジェなどの生菓子もおススメ!!

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グレンアラヒー 15年

 

よりリッチで、より深い味わい。

 

レーズンやチョコレート、やや紅茶のニュアンスにバナナのような味わいなど、様々なフレーバーが楽しめると思います。

 

こちらも夜まったりと楽しみたい一本です。

 

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蒸留所データ

 

創業……1967年

創業者……スコティッシュ&ニューカッスル社

オーナー会社……グレンアラヒー・ディスティラーズ社

年間生産量(100%アルコール換算)……400万ℓ

仕込み水……ベンリネス山近くの泉

使用麦芽……ノンピート85% クリプス社製60~80ppmもヘビリーピート麦芽15%くらい

発酵槽……ステンレス製6基

発酵時間……160時間程度(モロミAlc9.4~9.6%)

ポットスチル……初留釜2基、再留釜2基

ミドルカット……ノンピートAlc.74~62%、ヘビリーピートAlc.74~54%

生産区分……スペイサイド

 

※ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒はやめましょう。お酒は楽しく適量で。

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この記事を書いた人

香りづけに使用したことからウイスキーにどっぷり嵌ってしまった料理人です。
調理師の仕事をしつつ、ウイスキーと料理の魅力を紹介するためにブログ・メディアを作成。
様々な視点からウイスキーを解説しています。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • id:zarugawa さん>
    いつもコメントありがとうございます!!
    グレンアラヒーはすごくいいモルトウイスキーなのでぜひ試してみてください!!

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