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うまくいかないことがあってもあがき続ければいつかは報われると信じているウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のテーマは「大逆襲を果たした蒸留所『グレンマレイ Glen Moray』」についてです!!
グレンリベット、グレンフィディック、グレングラント、イチローズモルト、白州
グレンマレイは、シトラスやハーブの香りに上品な甘みとシリアルのニュアンス特徴のウイスキーです。
ブレンデッドウイスキー「Label 5」のキーモルトに使われていますが、現在シングルモルトのリリースも多めです!
比較的初心者でも親しみやすい味わいに、そこまで高い価格帯ではないのは魅力かなと思います。
グレンマレイ Glen Moray蒸留所について
グレンマレイ蒸留所は、ウイスキー造りの聖地“スペイサイド”の中でもエルギン地区にある蒸留所です。
グレンマレイ Glen Morayはこの蒸留所のあるマレイ州からとったもの。
元々ビール工場だったところを改装して建てたウイスキー蒸留所です。
ビールとウイスキーは製造工程が近いことから、改築して蒸留所としたケースはよくあります。
特にブレンデッドウイスキーの誕生から人気が高くなっていた19世紀には、多くの工場がウイスキー蒸留所に改築されたそうです。
他に元ビール工場で有名な蒸留所だと、グレンモーレンジィ蒸留所が該当します。
そして、奇遇にも実はグレンマレイとグレンモーレンジィは元姉妹蒸留所でした。
ところが、グレンモーレンジィを所有していたモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンから見限られ売却されてしまったのが、「グレンマレイ」。
そこからどう逆襲を果たしたのか、そのストーリーを覗いていこうと思います。
グレンマレイ Glen Morayのストーリー
グレンマレイは、1897年エルギンの実業家がビール醸造所を改築し、建設されました。
元々この一帯は、「レアック・マレイ」と呼ばれ、比較的気温が温暖で大麦の生産地として知られていました。
熟成庫建設中(1962年)に、数個の頭蓋骨が出土したそうです。
この蒸留所の夜の見回りだけはしたくないですね。。
19世紀後半は、ブレンデッドウイスキーの人気が特に高くなっていた時。
数多くの蒸留所が誕生しました。
しかし、供給過多・パティソンズ事件・イギリス不況などが重なり、19世紀末にはウイスキー不況が訪れます。
不況の訪れともに多くの蒸留所が閉鎖されてしまいました。
操業して僅か数年しかたっていないグレンマレイも、閉鎖を余儀なくされます。
ところが1920年、グレンマレイを購入しようとする会社が現れます。
それが、当時グレンモーレンジィの40%の株を所有していた“マクドナルド・ミュアー社”です。
この時マクドナルド・ミュアー社はグレンモーレンジィの次に持つ蒸留所を検討中でした。
当時のグレンモーレンジィのマネージャーに「アベラワー」か「グレンマレイ」どちらかがいいか?尋ねたところ、
「グレンマレイ」と回答が返ってきたそうです。
それに従い、グレンマレイを買収。
購入から3年後には蒸留開始し、完全復活を果たします。
その後、1958~78年にかけて、蒸留所設備を徐々に拡大。
その中で、元々蒸留所で行っていたフロアモルティングを廃止し、最終的には「モルトスター(麦芽専門業者)」に切り替えています。
そして、1996年マクドナルド・ミュアー社は「グレンモーレンジィ社」に改名。
翌年には、アードベッグ蒸留所を買収します。
実はグレンマレイはグレンモーレンジィとアードベッグの姉妹蒸留所でした!!
2004年、フランスのラグジュアリーブランド「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」が、「グレンモーレンジィ社」を3億ポンドの巨額な資金で買収します。
LVMHの傘下に収まったグレンマレイは安泰に思われていました。
蒸留所の設備投資も行われ、様々な施策が試されたそうです。
ところが!!
姉妹蒸留所が強力すぎ!!
グレンモーレンジィ、アードベッグの陰に隠れ、グレンマレイはほとんど売れなかったそうです。
珍しい、白ワインカスク熟成(シュナンブラン、シャルドネなど)や低価格帯でもリリース。
いろいろ試したようですがあまりに売れないため、ついにはLVMHがグレンマレイを売却します。
そう、LVMHに見限られてしまいました。
目立つことのなかったグレンマレイ蒸留所。
LVMHの判断に意外と思う人は一切いなかったそうです。
次にグレンマレイを買収したのは、フランスの酒造メーカー「ラ・マルケニケーズ社」でした。
ところが、ここから一気にグレンマレイの逆襲が始まります!!
グレンマレイの買収からラ・マルケニケーズ社は、スコッチウイスキーに力を入れ始めます。
フランスで人気のブレンデッドウイスキー「Label 5」、ブレンデッドモルトウイスキーシリーズ「グランターナー」を製造していたラ・マルケニケーズ社。
2010年には、グレーンウイスキー蒸留所「スターロー蒸留所」を建設。
そして最近、ブレンデッドウイスキートップブランドの一つ「カティーサーク」を傘下におさめることに成功します。
そしてグレンマレイも生産量を大幅に拡大。
LVMH時代に比べて2倍以上の生産量まで拡大しました。
そしてシングルモルトは、そのうち30%ほどリリース。
シングルモルトブームに乗り、元々LVMH時代にため込んでいた「白ワインカスク熟成」のノウハウが発揮され始めます。
シュナンブランやシャルドネの樽で熟成させたウイスキーは人々の目に止まり、ついには知名度が急上昇!
露出する機会も増え、売り上げは5年間で2倍にまで膨れ上がったそうです。
英国中心に人気となっているそうですが、アメリカやオーストラリアでも業績拡大中。
そして日本でもよく見かけるようになってきました。
グラス2個付きで2000円台なので、かなりお得感があります!!
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グレンマレイ Glen Morayのこだわりの製法
グレンマレイの仕込み水は、近くを流れるロッシー川の水だそう。
地元マレイ州産の大麦を中心に使用し、ノンピートとピートを焚いたスモーキーなタイプの原酒を作り分けています。
一回の仕込みに使う麦芽は、なんと11t!!
発酵槽は、ステンレス製のものが14基あるそうです。
そして元々6基あったポットスチル(初留3再留3)をすべて再留釜に変更し、初留釜を3基導入(イタリア、フリッリ社製)。
現在合計9基のポットスチルで蒸留を行っています。
また糖化工程や蒸留工程にコンピューター制御システムを導入し、精密に管理しているそうです。
このようにラ・マルケニケーズ社になってから大幅に設備投資を行ったことで、急成長したグレンマレイ。
生産能力は、3倍の570万ℓまで拡大しています。
さらに糖化槽、発酵槽、ポットスチル2基を新たに導入し、生産能力を890万ℓまで拡大させる計画が進んでいるそうです。
また熟成庫も建設中だとか……。
今後のグレンマレイに注目ですね!!
グレンマレイ Glen Morayのラインナップ
グレンマレイは、グレンモーレンジィ傘下時代から行っていた「ワイン樽フィニッシュ」の経験が豊富。
そのため、グレンマレイの種類は豊富にあります。
グレンマレイ クラシック
アルコール度数 40%
容量 700ml
参考価格 2200~2700円
グレンマレイのフラグシップボトル。
熟成年数表記ナシのノンエイジで、バーボン樽熟成の原酒を使用しています。
レモングラスやリコリスのハーブ感とシトラスの爽やかさ。ほんのり優しい甘みが特徴。
ただアルコール感をしっかりと感じられてしまうのが欠点かなと思います。
人によってはストレートではきついかも。
ハイボールにすると、爽やかな印象と優しい甘みが際立って飲みやすくなります!!
グレンマレイ クラシック ポートカスク
アルコール度数 40%
容量 700ml
参考価格 2800~3200円
スタンダードの「クラシック」を8か月ポートワインの樽で熟成させたボトル。
ハーブ感にベリー系のフルーティさ、ほんのり甘いニュアンスが楽しめます。
少し渋みはありますが、味わいの要素が多い分スタンダードボトルよりアルコール感は感じにくいです。
ロックやストレートでも比較的飲みやすく、日ごとの疲れをいやす日常の一杯にはちょうどいい一本かなと思います。
グレンマレイ クラシック シェリー
アルコール度数 40%
容量 700ml
参考価格 3000~3500円
「クラシック」をさらにシェリー樽熟成させた一本。
「ポート」と同じく、ベリー系のニュアンスも感じますが、こちらの方がスパイシーで奥深い味わい。
そして甘みもこちらの方が少し強く感じます。
グレンマレイの「クラシック」ハイボールの中では、一番食事に合いやすいです。
グレンマレイ クラシック シャルドネ
アルコール度数 40%
容量 700ml
参考価格 3000~3500円
シャルドネカスクで追加熟成を行ったグレンマレイの「クラシック」
よりハーブ系の爽快感が強く、フルーティな香りにコクのある味わいが特徴となっています。
口当たりが上品で、キレイって印象が強いかなと思います。
スコッチを飲み慣れていない方には、特にオススメな一本です。
グレンマレイ クラシック ピーテッド
アルコール度数 40%
容量 700ml
参考価格 3000円前後
ピーテッド麦芽を使用し、「クラシック」と同じ製法で作られた一本。
正直、結構スモーキーです。
しっかりとしたスモーキーフレーバーにシリアルの素朴な甘み。
そしてハーブやシトラス感。
個人的には、「クラシック」シリーズで最も完成度の高いです。
スコッチらしい飲みごたえあるスモーキーフレーバーが飲みたい方には特にオススメです!!
グレンマレイ 12年
アルコール度数 40%
容量 700ml
参考価格 3800円前後
グレンマレイの中でも12年以上熟成させた原酒を使用。
最後にシュナンブランの樽で追加熟成させているそうです。
リコリスやシトラスの爽やかさに、リンゴっぽいフルーツ感。
そしてスッキリと爽やかながら、優しい甘みを持ち合わせています。
「クラシック」シリーズに比べてかなりアルコール感は弱く、飲みやすい。
典型的な今のスペイサイドのシングルモルトって感じのウイスキーです。
グレンマレイ 15年
アルコール度数 40%
容量 700ml
参考価格 4700~5000円
アメリカンオーク樽とシェリー樽で熟成させた原酒をブレンドした一本。
シェリー樽比率が高いそう。
バニラやキャラメル、熟したバナナといったニュアンスが感じられ、レモンピールやオレンジの爽やかさも楽しめます。
コクがあり芳醇な味わい。
しっかりとしたはちみつの甘味もあり、ボディーのしっかりとした飲みごたえのある一杯です。
グレンマレイ 18年
アルコール度数 47.2%
容量 700ml
参考価格 9500~10000円
上質なバーボン樽で18年以上熟成させた希少な原酒を使用。
グレンマレイ蒸留所のラインナップの中でも長期熟成物で、最上級のグレンマレイの立ち位置にいます。
バニラやメープル、カラメルといった甘いニュアンスが強く、芳醇。
そしてフローラルな香りがふわっと漂って、ホワイトペッパーとスモークの余韻。
バランスがよく、まろやかな味わいです。
まったりと楽しみたいときにピッタリな一本。
特別な日の晩酌にいかがでしょうか??
グレンマレイ Glen Moray蒸留所データ
創業……1897年
創業者……エルギンの実業家たち
オーナー会社……ラ・マルケニケーズ
年間生産能力(100%アルコール換算)……約570万ℓ
使用麦芽……ノンピートとピート麦芽の両方とも仕込みを行う。
仕込み水……ロッシー川
発酵槽……ステンレス製14基
ポットスチル……初留釜3基、再留釜6基
生産区分……スペイサイド・エルギン
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
正直、僕の中でグレンマレイは「弱い」って印象が強かったです。
飲みやすくおいしいウイスキーではありますが、どこか印象には残りにくいなって感覚でした。
ただ長期熟成物を飲んでから一気に印象が変わりました。
「18年」は特に完成度が高いです!!
「グレンマレイ」ってこんなにおいしいウイスキーだったのかと感動した記憶があります。
「クラシック」シリーズは、デイリーウイスキーかつ樽の違いを楽しむのに最適だと思います。
ただぜひ一度「グレンマレイ」の年数表記ありのものを飲んでみてください!
大逆襲を果たせた理由がわかると思います!!
そしてこの蒸留所のストーリーを知ってからより好きになりました!
この蒸留所のように、どんなに現状が泥沼でも大逆襲してやろう!
そんなことを思いながら、今日もウイスキーを楽しもうと思います。
それでは良いウイスキーライフを!!
また次回もよろしくお願いいたします!
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