本日もお越しいただきありがとうございます!!
優雅に離島での生活というのにも憧れを抱いているウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
本日のテーマは「スコッチシングルモルトの基本『アイランズ・モルト』」についてです!!
スコッチ・モルトウイスキーには6つの生産区分があります。
- ハイランド
- スペイサイド
- アイラ
- アイランズ ←今回はここに注目!!
- ローランド
- キャンベルタウン
それぞれに個性があり、特徴も大きく異なります。
特にスモーキーでクセの強い「アイラモルト」とフローラルで華やかな「スペイサイドモルト」は、
『スコッチウイスキー2大聖地』と呼ばれていて、かなり人気も高いです。
その中で今回解説するのは、「アイランズモルト」!
「アイランズモルト」には、これという共通した味の特徴はないです。
ただ、個性的なモルトウイスキーが多い傾向があります。
また「アイランズ」だからこういう味というものがあまりないので、一つ一つの銘柄に人気が集まっているように感じます。
そのため、「アイランズモルト」って名前はなかなか聞き覚えがないと思います。
今回は、そんな「アイランズ」のカテゴリーについて、深くラフに見ていこうと思います!
[sitecard subtitle=関連記事 url=https://www.yaffee.work/entry/whisky-syurui target=_blank]
「アイランズ」とは?
「アイランズ」とはそのまま「島々」という意味。
スコットランドは、本土の他に『オークニー諸島』『シェットランド諸島』『ヘブリディーズ諸島』があり、約700という島々に囲まれています。
この中で人が住んでいる島は50に満たないそうですが、それぞれ文化が独特です。
特にスコットランドの島々には、石器時代や青銅器時代の歴史的遺産が多くあり、中には長年ヴァイキングによって支配されていた島もあります。
そのため、世界的に見ても類を見ない独特な「島世界・島文化」を持っているのです。
『アイランズ・モルト』の特徴
独特な「島世界」を持っているスコットランドの島々。
そんな島々で造られている『アイランズモルトウイスキー』も、それぞれの島ごとにほかにない個性を持っています。
文化・歴史の異なる島々で、造られている『アイランズ・モルト』。
共通する個性を探す方が大変だと思います。
あえて言うならソルティなニュアンスのあるウイスキーが多いことでしょうか。
ただし、元々『アイランズ・モルト』は『スペイサイド・モルト』と同じく『ハイランド・モルト』に分類されていました。
ところが、それぞれの蒸留所は昔から、島物モルトへもこだわりが強かったそう。
過去に流通していた『アイランズ・モルト』は、『オークニー・モルト』のように島の名前を付けていたこともあります。
個性が強いことから、『ハイランド・モルト』とは分離。
今では、『アイランズ・モルト』と一つの生産区分に分類されています。
また、同じ島物モルトウイスキーの中でも聖地『アイラ・モルト』だけは別に考えられています。
この2つの生産区分は、よくごっちゃになってしまいがちだと思います。
[sitecard subtitle=関連記事 url=https://www.yaffee.work/entry/%e3%82%a6%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%bc%e3%81%af%e3%82%84%e3%82%84%e3%81%93%e3%81%97%e3%81%84%ef%bc%81%ef%bc%81%e3%82%a6%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%bc%e3%81%ae%e3%82%8f%e3%81%8b%e3%82%8a target=_blank]
『アイランズ・モルト』を造っている島
今、『アイランズ・モルト』を造っている(一部計画中?)島は、全部で9島。蒸留所数は12となっています。
- オークニー諸島 メインランド島(ハイランドパーク蒸留所、スキャパ蒸留所)
- シェットランド諸島 アンスト島(サクサヴォード蒸留所)
- ルイス島 (アビンジャラク蒸留所)
- ハリス島 (アイル・オブ・ハリス蒸留所)
- スカイ島 (タリスカー蒸留所、トラベイグ蒸留所)
- ラッセイ島(アイル・オブ・ラッセイ蒸留所)
- マル島 (トバモリー蒸留所)
- ジュラ島 (アイル・オブ・ジュラ蒸留所)
- アラン島 (ロックランザ(アイル・オブ・アラン)蒸留所、ラッグ蒸留所)
実は、ちょっと前まで『アイランズ・モルト』を造っていたのは5島6蒸留所ぐらいでした。
それが、今では2倍の蒸留所ができています。
特に個性の出しやすい『アイランズ』はクラフト蒸留所にとって人気なのかもしれません。
島民たちが総力を挙げて支えているケースも多いです。
これから、その島々を一つずつ見ていこうと思います!!
オークニー諸島 Orkney
オークニー諸島は、『アイランズ』の中でも特に異文化を持った島々。
スコットランドの『異国』として、独特な文化を持っています。
700年以上支配下となっていたヴァイキングの影響が大きく、島民たちもスコットランド人というよりオークニー人としてもアイデンティティが強いそう。
元々「オークニー」という名前自体も古代ノルド語で「アザラシの島」を意味する言葉だそうです。
また、『北のエジプト』と呼ばれるほど古代遺産が多いことでも有名。
1850年に発見された「スカラブレイ」遺跡から大発見の連続なのだとか。
ハイランドパーク Highland Park
1798年創業のハイランドパーク蒸留所。
元々教会の長老と密造者の2つの顔を持つ「伝説の密造者」マグナス・ユウンソンが密造を行っていた場所に建てられました。
マッカランやグレンファークラスと同じく、シェリー樽へのこだわりが強い蒸留所で、多くのウイスキーファンから支持されています。
スキャパ Scapa
1885年創業と、ハイランドパークよりほぼ100年後に誕生したオークニー2番目の蒸留所。
スキャパとは『貝床』という意味があるそうですが、本当のところはわかっていないのだとか……。
ハイランドパークよりスモーキーフレーバーが少なく穏やかですが、ソルティな味わいが楽しめます。
シェットランド諸島 Shetland
オークニー諸島よりさらに北にある島々。
シェットランドには100の島がありますが、その中で人が住んでいるのは15島程度だそう。
ただ島の総面積はオークニー諸島より大きく、人口も1000人ほど多いです。
オークニー諸島と同様に長い間、ヴァイキングにより支配されていた地域で、スコットランド領となったのもオークニー諸島と同時期。
土地が痩せているため農業に適さず、漁業が主産業の島です。
ただ1970年の北海油田発見以降、油田関係が島を支える主産業となっています。
シェットランド諸島は元々北部すぎるため、ウイスキー造りは不可能といわれていました。
しかし、2014年に新たな蒸留所が誕生。
それが「サクサヴォ―ド蒸留所」です。
まだウイスキーを造っていないそうですが、ジンはリリースしているのだとか。
今までのウイスキー蒸留所最北端である「ハイランドパーク」よりさらに北の蒸留所。
「サクサヴォ―ド蒸留所」の今後に注目ですね!!
アウターヘブリディーズ諸島 (ルイス島/ハリス島) Outer Hebrides
ヘブリディーズ諸島は、スコットランド西側に広がる島々。
「ヘブリディーズ」とは、ヴァイキングの言葉で『地の果ての島』という意味だそう。
その中でも外側を「アウターヘブリディーズ諸島」、内側を「インナーヘブリディーズ諸島」といいます。
アウターヘブリディーズ諸島は、特にスコットランド本土と一線を画す文化を持っているそう。
今でもアウターヘブリディーズ諸島の人口の75%程度は日常的にゲール語を使うのだとか……。
実は一つの島々のように書かれているハリス島とルイス島ですが、それぞれが単独の島ではなく陸続き。
ただ地形的に大きく異なり、山で隔たれているためにそれぞれ別の島のように扱われてきたそうです。
ルイス島は、島の中央にピート湿地が広がっていて、今でも島民の燃料にピートが使われているそう。
対して、ハリス島は岩と湖が点在しているそうです。
アビンジャラク Abhainn Dearg
2008年にオープンしたルイス島初の蒸留所。
従来のポットスチルではなく、密造酒時代のルイス島伝統である『ヒルスチル』を使用したウイスキーを製造しています。
アイル・オブ・ハリス Isle of Harris
2014年と比較的最近に誕生した蒸留所。
オープンから翌年の2015年からウイスキーの仕込みを開始しています。
現在、ウイスキーのリリースはまだ行われていませんが、『ハリスジン』はすでにリリース済み!!
シュガーケルプ、昆布といった海藻をボタニカルに使用した珍しいジンで、世界中で人気となっています。
[afTag id=1317]
スカイ島 Skye
インナーヘブリディーズ諸島の中でも、最大の島であるスカイ島。
高い山々と複雑な地形の島で、古来より『海霧の島(ミストアイランド)』と呼ばれていました。
スカイ島の語源もノース語で「海霧の島」という意味からつけられている説があります。
(別の説としては、ゲール語の「翼を広げた島」だそう。)
自然が豊かで、ヨーロッパ人にとって人気の観光地となっています。
タリスカー Talisker
1830年創業で、2016年まではスカイ島唯一の蒸留所だったタリスカー。
タリスカーは、ゲール語とノース語の両方に起源をもつ言葉だそうで、「斜面上の傾いた大岩」という意味だそう。
創業者マッカスキル兄弟の住んでいた家の名前が「タリスカー」だったそうです。
[afTag id=1319]
トラベイグ Torabhaig
2016年にスカイ島2番目の蒸留所として誕生しました。
トラベイグは「海を見下ろす高台」という意味だそう。
古い農家を改造して蒸留所を造ったそうです。
アイル・オブ・ラッセイ Isle of Raasay
スカイ島すぐ近くある小さな島ラッセイ島。
この島に2016年誕生したのがアイル・オブ・ラッセイです。
島の大麦を使い、島で熟成させているそう。
今後が楽しみな蒸留所ですね!!
マル島 Mull
スカイ島より南にあるマル島。
本土のオーバンからフェリーで簡単に行けるそうで、観光で栄えていた島だそうです。
トバモリー Tobermory
1798年創業と歴史のある蒸留所。
トバモリーとはゲール語で『メアリーの井戸』という意味だそうです。
長年経営難に悩まされてきましたが、南アフリカ資本のディスティル社がオーナーとなり、大幅に改修工事を行ったそう。2019年には工事終了し、新たなスタートを切ったトバモリー。
今後に注目です。
ちなみに、この蒸留所では、ノンピートタイプが『トバモリー』。ピートタイプが『レダイグ』と名乗っています。
ジュラ島 Jura
インナーヘブリディーズ諸島で最も手つかずの自然が残っているといわれている島。
スコッチウイスキーの聖地“アイラ島”とは狭い海峡があるぐらいで、お互いから島が確認できるほど近いそうです。
ジュラはヴァイキングの言葉で『鹿の島』という意味。
今でも島民より鹿の方が多いといわれています。
アイル・オブ・ジュラ Isle of Jura
1810年創業。
現在フィリピンのエンペラドール社所有の蒸留所で、様々なタイプのウイスキーをリリースしています。
そのこととモルトウイスキーブームが相まって、近年急成長中だとか……。
アラン島 Arran
スコットランド最大の都市グラスゴーとウイスキー産業で栄えていた町キャンベルタウンに挟まれているアラン島。
スコットランドの季候や地理がギュッと詰まったような島で、『スコットランドのミニチュア』を呼ばれています。
グラスゴーから近いこともあり、観光名所としても有名です。
ロックランザ(アイル・オブ・アラン Isle of Arran)Lochlanza /ラッグ Lagg
1995年アラン島ロックランザに誕生したのがアイル・オブ・アラン蒸留所。
アラン島に新しい蒸留所が誕生したのは、約160年ぶりだったそう。
アイル・オブ・アランは、手造り小規模生産のこだわりのモルトウイスキーを造るクラフトウイスキー蒸留所。
今世界中で取り組まれているクラフト蒸留所の先駆けがアラン蒸留所でした。
誕生してから25年たった今。
生産拡大のために、島の南部に新しい蒸留所(ラッグ蒸留所)を建設。
もともとあった蒸留所を「ロックランザ」に改名、
新しいラッグ蒸留所では、元々作っていたフェノール値50ppm(ヘビリーピーテッド)のモルトウイスキーを造るようにしているそうです。
この25年間で、多くの人々に感動を与えてきたアラン蒸留所。
新しい挑戦が楽しみですね!!
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
アイランズ・モルトは個人的に好きな味わいのものが多い!!
常備したいモルトウイスキーばかりです。
アイラのようにクセの強い個性ではないですが、それぞれに特徴・個性が大きく異なり飲み比べするのも面白いと思います。
ぜひアイランズ・モルトを飲み比べ、島を思い浮かべながら個性を楽しむ晩酌というのはいかがでしょうか??
そんなことを思いながら、今日もウイスキーを楽しもうと思います。
それでは、良いウイスキーライフを!!
また次回もよろしくお願いいたします!!
↑↑
この記事が面白かったと思った方は、人気ブログランキングへの応援をよろしくお願いいたします。
また、公式ラインページや通知アプリ「Push7」にて記事の更新情報など配信しています。