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ちょくちょく原点回帰するウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のお話は「グレンリベット蒸留所」について
グレンリベットは、爽やかでシトラス感とバニラ香が特徴
スタンダードはかなりライトですが、熟成年数の長いものほど芳醇ですごく深い味わいになるモルトウイスキーです。
今回は、「シングルモルトの原点」とも言われているグレンリベットについてまとめていこうと思います!!
グレンリベット The Glenlivet蒸留所について
グレンリベットはゲール語で「静かな谷(リベット川の谷)」という意味。
スコッチウイスキー生産区分の中でもスペイサイドに含まれる蒸留所です。
[sitecard subtitle=スペイサイドとは? url=https://www.yaffee.work/entry/speyside-whisky target=]
さらにスペイサイドの中でもリベット地区にある蒸留所。
この地域はかつては密造酒でさかえ、今ではグレンリベットを中心にウイスキー造りが盛んな地域となっています。
最も初心者におすすめしたいスコッチシングルモルトであり、
グレンフィディックと並ぶ世界No.1シングルモルトウイスキーを作っている蒸留所です。
1820年代、ウイスキーに高額な酒税がかけられ、多くの密造酒がつくられていた時代。
この蒸留所が酒税法改正の立役者となり、1824年に政府公認第一号蒸留所となっています。
密造酒時代を終えるきっかけを作り、「シングルモルトの原点」と呼ばれるようになったグレンリベット蒸留所。
この蒸留所にも、深いストーリーがありました。
グレンリベット The Glenlivetのストーリー
グレンリベットの前に密造酒時代の話
18世紀、スコットランドでは密造がブームでした。
ウイスキーへの増税による大英帝国への反抗が、密造酒づくりへの大きな原動力だったそうです。
この増税には、大英帝国が植民地獲得、開発を推し進めようとするためという背景があります。
つまりカリブ海域の島々に作った「サトウキビプランテーション」のことです。
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19世紀初頭、密造酒づくりはピークとなります。
それはグレンリベットが密造酒ながらあまりの人気に猛威を振るったからだそう。
当時グレンリベット(リベット川の谷)には200以上の密造所があったそうです。
『グレンリベット The Glenlivet』創業者ジョージ・スミスもこの地で密造酒を作っていました。
なぜこの地に200以上もの密造所があったかというと……
- 良質な水に豊富なピート
- 澄んだ空気
- 谷の地形がウイスキーや密造所を隠しやすかった
など密造酒づくりに恵まれた環境だったからだそうです。
グレンリベットのウイスキーがあまりにおいしかったので、時の国王ジョージ4世も愛飲していたそう。
ついにジョージ4世はグレンリベットの蒸留所に訪れるため、スコットランドに訪問します。
この時スコットランドの港町リースに降り立ったジョージ4世はスコットランドの民族衣装キルトを身にまとい、片手にウイスキーという姿で現れたそう。
国王のこの姿に頭を悩ませた英国政府は、酒税法改正。
政府公認の蒸留所の免許が妥当な価格になりました。
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そして政府公認第一号蒸留所にはグレンリベットがなりました。
ジョージ・スミスという男
グレンリベットの歴史はこの一人の男から始まります。
ジョージ・スミスは1792年小さな農家に生まれます。
青年時代、農場の仕事をこなしながら蒸留技術を学んでいったそうです。
そして独自の製法を確立し、水・ピート・空気の三拍子の整ったグレンリベットで密造を始めます。
そして1823年酒税法改正されると、翌年すぐに政府から蒸留免許を取得。
政府公認第一号蒸留所となります。
それと同時に、ジョージ・スミスはスコットランドで最も人気のない人となりました。
『密造所の谷』で政府公認となったグレンリベット。
周りの密造家たちはジョージ・スミスを裏切り者扱いします。
そしてジョージ・スミスは、彼らから常に命を狙われる存在になってしまします。
ただジョージ・スミスは一度だけしか拳銃を使わなかったといわれています。
(彼の護衛はわからないですが……)
ジョージ・スミスと拳銃
ある日配送から帰宅途中、ジョージ・スミスはパブに立ち寄ります。
しかしそこにはいかにもガラの悪そうな数人の男たちがいました。
自分が襲われるかもしれないと思ったジョージ・スミスは、暖炉に向けて1発の銃弾を発射させます。
突然のジョージ・スミスの発砲に恐れた男たちは、ジョージ・スミスが飲み終わり店を出ていくまで動くことすらできなかったのだとか。
それは怖いですよね。。
ジョージ・スミスの圧倒的な精神力が、グレンリベットが生き延びた理由でしょう。
その後、彼の大成功を見た周りの蒸留家たちが今度は「ジョージ・スミスの決断は間違ってなかった」と改め、真似するようになります。
そしてここから『シングルモルトの原点』といわれる地位を築いたわけです。
成功の根本にはやはりジョージ・スミスの人柄・人としての強さがあったんでしょうね。
みんなが真似したグレンリベット
グレンリベットは創業後エジンバラのウイスキー商アンドリュー・アッシャーに原酒を提供します。
この原酒を使って生み出されたのが、世界初のブレンデッドウイスキー『オールド・ヴァッテッド・グレンリベット』です。
その後19世紀末にはブレンデッドウイスキーの人気が高くなると多くのブレンダーたちから
「グレンリベットスタイルの原酒」の需要が急増。
スペイ川沿いの蒸留所がこぞって自分たちの蒸留所名を「○○グレンリベット」「グレンリベット○○」とつけるようになります。
中にはアベラワー、グレンファークラス、グレングラントそしてあのマッカランまでもグレンリベットをつけていた時代があったそうです。
その数25か所を超えていたそうです。
ついには名前だけではなく、「ジョージ・スミスのウイスキー」まで模倣するようになり、収拾がつかない状況となります。
ジョージ・スミスは自分のウイスキーを守るため控訴、裁判へと発展していきます。
それから長い裁判の末、1884年息子のジョン・ゴードン・スミスの時代になってから判決が下されます。
結果はグレンリベット側が勝利。
グレンリベット、アンドリュー・アッシャー、またはリベット谷の蒸留所以外「グレンリベット」をつけることが禁止されます。
ただし「=グレンリベット」はその後かなりの間許されていました。
今でも残っているオールドボトルの中には、「グレンリベット」がついているものもあります。
そしてグレンリベットには本物である証明として「The」がつけられるとようになりました!
こうして「The Glenlivet」は唯一無二の本物のグレンリベット(原点のシングルモルト)となったのです。
ウイスキー不況時にはグレンリベットとグレングラントのみ操業していた時期が……
1900年代のウイスキー不況、そして1930年代の世界大恐慌の時。
グレンリベットはグレングラントと合併。
グレンリベット&グレングラント蒸留所となります。
1932年一説によるとスコットランド国内でグレンリベットとグレングラントしか操業していなかったという時期があったそうです。
その後ロングモーン蒸留所とも合併。社名を「グレンリベット蒸留所(Glenlivet Distillers Ltd.)」にしました。
1977年にカナダのシーグラム社が買収。
2001年にはフランス大手のペルノリカールに買収され、2006年にはグレングラントがカンパリ社に買収されたことで2つの蒸留所は別れることとなりました。
元々のシングルモルトとしてのクオリティの高かったグレンリベット。
シングルモルトがブームになった今さらに注目されている蒸留所です。
そして今では「世界で最も飲まれているシングルモルト」の座をグレンフィディックと奪い合っています。
グレンリベット The Glenlivetのこだわりの製法
グレンリベットはスコットランドのスペイサイドでも良質な水、澄んだ空気、豊富なピートに恵まれたリベット地区で作られています。
グレンリベットの中でもスタンダードな「12年」は、スムースで飲みやすく初心者でも飲みやすいシングルモルト。
その特徴を生み出すために、グレンリベットは基本ノンピートの麦芽で仕込みを行います。
そしてそのモルトの糖化に使うのが中硬水の湧き水、ジョジーの泉です。
この水を求めてジョージ・スミスが今のグレンリベットの場所を選んだといってもいいと思います。
そこから創業当時から設備の形や材質は変えていないそう。
木製の発酵槽に、ランタン型のポットスチル。
ジョージ・スミスが求めたウイスキーの形を崩すことなく、作り続けているそうです。
どんなに蒸留所が大きくなってもこの姿勢は変えていません。
こういった姿勢があるから、いつの時代も人々から支持されているんでしょうね!!
ラインナップ
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蒸留所データ
創業……1824年
創業者……ジョージ・スミス
オーナー会社……ペルノリカール
年間生産量(100%アルコール換算)……2100万ℓ
仕込み水……ジョジーの泉(やや硬水)
発酵槽……オレゴンパイン製
発酵時間……48時間程度(モロミAlc8~9%)
ポットスチル……28基