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完璧にはまだほど遠いウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回は「”完璧すぎるウイスキー”グレンモーレンジィ蒸留所」について!!
グレンモーレンジィは、バランスがよく飲みやすい味わいながら複雑なフレーバーがあるウイスキー。
フルーティでシルクのような口当たりが特徴です。
今回は、この「グレンモーレンジィ」についてストーリーや製法、特徴を解説していこうと思います。
グレンモーレンジィ Glenmorangie
蒸留所について
グレンモーレンジィは、スコットランドの中でもハイランドと呼ばれる地域にある蒸留所です。
さらにその中でも、北部の方の「ティン」という街近くにあります。
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グレンモーレンジィはスコットランドゲール語で「静寂の谷」を意味。
グレンモーレンジィには様々な二つ名があります。
- 「樽のパイオニア」
- 「香りのデパート」
- 「感覚の冒険へ」
- 「究極のエレガント(グレンモーレンジィ18年)」
- 「スコットランドで最も愛されているウイスキー」
- 「樽の魔術師」
などなど。
そして最も語られているのが「完璧すぎるウイスキー」です。
キャッチコピー力高すぎます!!
なぜグレンモーレンジィが「完璧すぎるウイスキー」と呼ばれているのか、
そのストーリー、こだわりを見ていこうと思います。
グレンモーレンジィのストーリー
グレンモーレンジィ蒸留所は、1843年創業。
当時バルブレア蒸留所をもっていたウィリアム・マセソンが、古びたビール醸造所を改造。
グレンモーレンジィ蒸留所を作りました。
グレンモーレンジィの特徴の一つが、スコットランド一背の高いポットスチル。
この背の高いポットスチルからグレンモーレンジィ独特のスムースな原酒が造られています。
ただ、このスチルは創業当時の資金難からポットスチルの新調ができず、仕方なく使用したジン用のスチルだったそう。
しかしポットスチルから生まれるウイスキーは予想外の好評を得ました。
輝かしいグレンモーレンジィにも酷評、営業停止の過去が……
1880年代ウイスキー研究家のアルフレッド・バーナードがグレンモーレンジィを訪れたとき
- 「世界一古びた原始的な蒸留所」
- 「遺跡みたいなもの」
と大酷評だったのだとか。
その後グレンモーレンジィに出資者が現れ企業化し、この時に建物が改築されました。
さらに
1931~36年、アメリカ禁酒法と世界恐慌の影響
1941~44年、第二次世界大戦による原酒不足
と、2度営業を停止しています。
このように専門家からの酷評や2度の営業停止を経験しているようです。
そしてこの時のグレンモーレンジィはどちらかというとブレンデッド用原酒メインでした。
ハイランドクイーンやジェームズ・マーティンズなどに原酒の供給を行っていたそうです。
シングルモルトとしてブレイク!!
1970年代になり、10年もののシングルモルト用の原酒熟成に力を入れ始めます!
これこそグレンモーレンジィがトップシェアブランドとなる決め手になったようです。
80年代にはモルト原酒多可によるウイスキー不況で多くの蒸留所が閉鎖となっています。
しかし、グレンモーレンジィはシングルモルト用原酒に着手していたとこで、
1990年後半これらの原酒を使ったシングルモルトをリリース。
国内ベストセラーとなりました。
2004年にフランスのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)社が、
3億ポンドという巨額の資金でグレンモーレンジィを買収。
この時にはグレンモーレンジィ社はアードベッグ蒸留所も持っていたのでともにLVMH社所有となります。
それ以来類まれなる事業展開を続けています。
ただこの買収からグレンモーレンジィ、アードベッグの姉妹蒸留所「グレンマレイ」は、見限られてしまいました。
この時を境に、グレンモーレンジィ、アードベッグとは別々の道を歩むこととなります。
「完璧すぎる」グレンモーレンジィ3つのこだわり製法
仕込み水はスコットランドでも珍しい硬度190の「中硬水」
基本的にスコットランドの仕込み水の多くは軟水です。
中硬水の仕込み水を使っているところでも、
日本基準で中硬水ってだけ。
海外の基準では、軟水に指定される蒸留所のほうが多いです。
しかし、グレンモーレンジィの仕込み水は海外の基準でも「中硬水」とされるほど硬度の高い湧水を使っています。
以前は「ターロギーの泉」というところから仕込み水をひいていたようですが、
今ではその近くの「ケルピーの泉」という同じ水源の水を使っています。
ミネラル分豊富な仕込み水グレンモーレンジィの魅力を生んでいるのかもしれませんね。
最も背の高いポットスチル!その高さはキリンと同じぐらい!?
グレンモーレンジィといえば!!
グレンモーレンジィ自慢のポットスチルとキリンの並ぶ写真が有名です。
もともとはジン用の中古ポットスチルを使用したところ、
思わぬ素晴らしい香味が生まれたことからこのポットスチルがグレンモーレンジィの伝統となっています。
なんとその長さはキリンの背丈と同じ5.14mなのだとか。
ただキリンになじみのない日本人にとってちょっとわかりにくいかもしれないですね。
大体2階建ての建物ぐらいの高さみたいです。
この背の高いポットスチルから軽やかで非常にピュアな味わいの原酒が生まれてくるそうです。
それには「還流」という現象がカギを握っているのです。
[sitecard subtitle=還流とは?? url=https://www.yaffee.work/entry/whisky-still target=_blank]
ここだけの話ですが、
グレンモーレンジィは一度イベントの為に本当にキリン(ジェフリーちゃんという名前だそう)を連れてこようとしたのだとか。
キリンの輸送には莫大なコストと時間がかかるため断念したというちょっと面白い噂話があります。
樽へのこだわりは特に強い!!
独特の仕込み水、ポットスチルから生まれてくるエレガントな原酒と厳選した樽のマリアージュこそ、
グレンモーレンジィ最大の魅力だと思っています。
グレンモーレンジィの熟成樽は「デザイナーズカスク」という独自の樽を使用しています。
アメリカのミズーリ州でホワイトオークの原木を買い付け、天日乾燥で24カ月間乾燥させます。
多くの樽(特にバーボン樽)は、人工乾燥の木材を使うことが多いです。
しかし人工乾燥では木材の本当の魅力を100%引き出すことはできませんでした。
天日乾燥の木材の品質に目を付けたグレンモーレンジィは、
最高にオーク樽の魅力を引き出せる天日乾燥はどの期間かを地道に実験していたそうです。
6か月、12カ月、24カ月と……。
そうして編み出された結論が24か月だったそう。
このこだわりの材質で作った樽に「ジャックダニエル」を詰め、数年間熟成させます。
そしてできた「ジャックダニエル」の空き樽にグレンモーレンジィを詰めて10年以上熟成させます。
しかも多くの蒸留所が樽を3回ほど使いまわすのに対して、グレンモーレンジィは2回までしか使わないという徹底ぶり。
これがグレンモーレンジィの最もベーシックなシングルモルト「グレンモーレンジィオリジナル」となり、
その他グレンモーレンジィ製品の土台になっているようです。
また多くの蒸留所が行っている「ウッドフィニッシュ」という技法を始めて行ったのも、グレンモーレンジィ。
[sitecard subtitle=ウッドフィニッシュとは?? url=https://www.yaffee.work/entry/cask-whisky target=_blank]
こだわりのデザイナーズカスクとウッドフィニッシュを活用し、魅力的な様々なウイスキーをリリースしています。
グレンモーレンジィの魅力の根源
ほかにもグレンモーレンジィは自社農園(カドボール農園)の大麦を使用や、
シングルモルトとは思えない絶妙なバランス感のブレンディング技術など、
あげていけばきりがないほどグレンモーレンジィにはこだわりが詰まっています。
その最たる根源は
伝統を守り、革新をおこし続けるグレンモーレンジィ蒸留所の精鋭の職人チーム
「Man Of Tain(テインの男たち)」
そして多彩な発想で伝統的なシングルモルトに「イノベーション」を与え続ける『ウイスキーの冒険者』
蒸留・製造の最高責任者ビル・ラムズデン博士
だと思います。
ビル・ラムズデン博士は大学在学中のパーティーでグレンモーレンジィ10年を飲んで、
ウイスキーの魅力に取りつかれてしまったそう。
ヘリオット・ワット大学で博士号を取得後、モルトウイスキーの世界へ
グレンモーレンジィとアードベッグの蒸留・製造の最高責任者となってからは多くのモルトファンを驚かせてきました。
そのアイディアのもとには、
- 伝説的なミュージシャン
- トップアスリート
- 超一流シェフ
など、
様々な方の最高のパフォーマンスから刺激を得て、自分のアイディアとしてウイスキーで表現しているのだとか。
そしてビル博士のアイディアをグレンモーレンジィ製品として形にしていくのが精鋭の職人チーム「テインの男たち」です。
この精鋭職人チームの力により「スコットランドで最も愛されるシングルモルト」だけでなく、
「最も多くの賞を受賞したシングルモルトウイスキー」にもなっています。
精鋭の職人チームが世代を超えて愛されるグレンモーレンジィの礎を築いき、
ビル博士の発想が多くのモルトファンからの期待や支持を離さないのだと思います。
そしてこれこそグレンモーレンジィの魅力の根本ではないでしょうか。
ラインナップ
蒸留所データ
創業 | 1843年 |
創業者 | ウィリアム・マセソン |
オーナー会社 | モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン社 |
仕込み水 | ターロギーの泉 |
年間生産能力(100%アルコール換算) | 600万ℓ |
麦芽 | ノンピート |
発酵槽 | ステンレス 12基 |
発酵時間 | 約60時間 |
ポットスチル | 初留釜6基、 再留釜6基 |
ミドルカット | 約72~60% |
生産区分 | スコットランド、 北ハイランド |
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コメント
コメント一覧 (6件)
id:aika_investment さん>コメントありがとうございます。ハイボール≒ウイスキーのソーダ割で合っていますが、大きくはウイスキーに限らず、お酒をノンアルコールのドリンクで割ったものだそうです。
ハイボールならアルコール度数も少なめなので実は強くない人でも楽しめると思います。
特にグレンモーレンジィのハイボールはおいしいですよ!!
id:zarugawa さん>いつもコメントありがとうございます。グレンモーレンジィは歴史というより「プロフェッショナル仕事の流儀」みたいなストーリーが面白いと思います。
id:kumimamakun さん>コメントありがとうございます。ウイスキーはさまざまなこだわりが詰まってできてます!そこがウイスキーの魅力ですし、ウイスキーのとりこになった理由でもあります。
ただ僕はウイスキーが好きなだけなので。。。
id:sekitoba1007 さん>ポットスチルの長さは驚きですよね!!
グレンモーレンジィは本当に魅力的なランナップが多いと思います。
id:mossa11 さん>
コメントありがとうございます。そうですね。ちょっとお値段は張りますが、すごくおいしいウイスキーです。ぜひ味わってみてください!!
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