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人からよく「かなり個性的」といわれることに、いまいちピンと来ていないウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のテーマはアイリッシュウイスキーなのにスモーキーで個性的な「カネマラ Connemara」についてです!!
カネマラは、アイリッシュの中でも比較的新しいクーリー蒸留所で造られているピートを効かせたスモーキーなシングルモルトウイスキー。
この蒸留所は現在、ビームサントリー社が所有しています。
アイリッシュウイスキーというと「ノンピート、3回蒸留の飲みやすいウイスキー」にこだわりを持っていました。
その中で、「ピートを効かせたスモーキーで2回蒸留の個性的なウイスキー」である『カネマラ Connemara』はかなり異質。
リリース当初もかなり物議を醸したそう……。
ただ、僕はアイリッシュウイスキーの可能性を広げた素晴らしいモルトウイスキーだと思います。
今回はその『カネマラ Connemara』の魅力をまとめていきました!
ぜひ「アイリッシュウイスキーの固定概念」を取っ払って楽しんでもらいたいと思います!!
『カネマラ Connemara』について
カネマラ Connemaraはアイルランド西部のカネマラ国立公園近くのクーリー蒸留所で造られているアイリッシュシングルモルトウイスキー。
このカネマラ国立公園からクーリー蒸留所付近は元々ピートの採掘所だったそう。
そういった由来からクーリー蒸留所で造られるピートの効いたシングルモルトを『カネマラ』と名付けたそうです。
『カネマラ』はクーリー蒸留所で新たに誕生したスモーキーなアイリッシュウイスキー。にとって今までにないスモーキースタイルのウイスキーです。
アイリッシュウイスキーというと「ピートを使わず、3回蒸留」がこだわり。
ピーデットモルトを使用した2回蒸留という「スコッチスタイル」のシングルモルトに、発売当初は物議を醸したそうです。
特にアイリッシュは伝統主義者が多いです。
「カネマラ」アンチ派は多かったのではないかなと思います。
IDL(アイリッシュ・ディスティラーズ)がクーリー蒸留所を買収しようとしたとき、「カネマラの製造は中止する」と断固主張したそうです。
ただし!!
その後「カネマラ」は各種のコンクールで金賞を受賞。
その後2011年にビーム社がクーリー蒸留所ごと買収。
さらに2014年にサントリーがビーム社を買収。ビームサントリー所有の蒸留所となります。
そして現在、「カネマラ」はこの蒸留所のフラッグシップ商品となっています。
『カネマラ Connemara』を作っている「クーリー Cooley蒸留所」について
クーリー蒸留所は、1930年代に誕生した国営の工場です。
しかし!!
アイルランド政府が蒸留ビジネスに乗り出しウイスキーを造ろうとしたわけではありませんでした。
枯れてしまったジャガイモを活用する方法として、アルコール燃料やスピリッツを製造する工場を建設したのが始まり。
生産のほとんどがメタノール変性アルコールだったそう。
当時のアイルランドで5軒ぐらいのアルコール工場が建てられたそうです。
ところが、1980年代にはこういった国営のアルコール工場は不要となり売却されていきます。
1988年にクーリー半島にある国営のアルコール工場を買収したのが、クーリー社の創設者ジョン・ティーリングです。
ジョン・ティーリングは元々ハーバード大学でアイリッシュウイスキーの歴史を研究していた方。
クーリー社設立の時、コンセプトとして「古き良きアイリッシュウイスキーの再興」を掲げたそうです。
元々あった国営工場自体の設備を利用し、グレーンウイスキーを製造。
そして新たにポットスチルを導入し、モルトウイスキーも作り始めます。
しかし、だんだんと資金繰りに行き詰まり、採算の取れない蒸留所となってしまいます。
さらにはIDL(アイリッシュ・ディスティラーズ)に挑戦するという夢を掲げて持った蒸留所に、IDLに買収される話まで……。
ところがこの話はアイルランドの独占禁止法に抵触し、阻止されます。
1944年には、クーリー蒸留所は利益を生むことも売却することもできない蒸留所となってしまいます。
ところが!!
徐々にジョン・ティーリングが行ってきたことが実を結ぶようになっていきます。
手始めにウイスキーの在庫をアメリカやドイツに販売、小売店のプライベートブランド商品を開発し、成功!!
その後シングルモルトの「ターコネル」やブレンデッドウイスキーの「キルベガン」など往年のブランドを復活。
これを転機に次々と自社ブランドを開発していきました。
また、クーリー蒸留所はアイリッシュのボトリング業者やブレンデッド業者、ほかの蒸留所へ「グレーンウイスキー」の販売も行います。
これがかなりアイリッシュウイスキーの復興に貢献したそう。
クーリー蒸留所はアイリッシュを代表する蒸留所の一つとなっていきます。
そしていつしか、ジョン・ティーリングのことを「アイリッシュウイスキー復興の父」、「アイリッシュウイスキーの革命児」なんて呼ばれるようになりました。
カネマラ Connemaraのこだわりの製法
「カネマラ」はピーデッド麦芽を使うアイリッシュでは珍しい作り方を採用しています。
そのピートレベルはフェノール値14ppm。
アイラモルトのラフロイグやアードベッグ(大体55~40ppm)に比べたらそこまでピートレベルは強くないですが、製品としては結構しっかりめにスモーキーフレーバーが香ります。
その麦芽をクーリー山から湧き出る澄んだ軟水で仕込みます。
そこから造った麦汁をステンレス製の発酵槽で2日間ほど発酵させます。
こうしてアルコール度数8%のモロミを製造。
そののち2基のポットスチルで2回蒸留を行い、アルコール度数66%のニューポット(熟成前のウイスキー)を作ります。
熟成はすべてバーボン樽。
軽やかながら口当たりとスモーキーな特徴がこうやって生まれているそうです。
カネマラ Connemaraのラインナップ
カネマラ オリジナル
カネマラの一番スタンダードな一本。
ノンエイジのボトルで、軽やかさとスモーキーなフレーバーが特徴です。
特に青リンゴのようなフレッシュフルーツとスモーキーのバランスがちょうどいいと思います。
またスモーキーフレーバーも、スコッチのクセのある香りというよりいわゆる「薫香」といった感じのウイスキー。
まさに「アイリッシュウイスキーの革命児」という言葉にふさわしいシングルモルトだと思います!!
カネマラ 12年
カネマラの12年以上の原酒を使用したボトル。
「オリジナル」より芳醇でリッチなフレーバーが楽しめると思います。
ただ風通しのいいスモーキーフレーバーとフレッシュフルーツ感は健在!!
「オリジナル」はどちらかというとハイボールや水割りがオススメですが、「12年」はストレートが特にオススメです!!
クーリー Cooley蒸留所データ
創業……1987年
創業者……ジョン・ティーリング
オーナー会社……ビームサントリー
生産区分……アイルランド
製造やデータの面で「分かりにくいな」と思った方、
よろしければこちらの記事をご参照ください!!
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます!!
今回の話いかがだったでしょうか??
ジョン・ティーリングのアイリッシュウイスキー復興の話は、ウイスキーのストーリーの中でも特に好きな話の一つです。
ウイスキー業界に貢献できるほどの人間になりたいなーって思いながら、こういったストーリーを紹介しつつ日々できることをやっていこうと思います!(笑)
ちなみにクーリー蒸留所で造られているもう一つのシングルモルト「ターコネル」はノンピートタイプのウイスキーとなっています。
飲み比べながら、ジョン・ティーリングのストーリーに触れるのも面白いかもしれませんね!
それではまた次回もよろしくお願いいたします!!
『良いウイスキーライフ』を!!
コメント
コメント一覧 (2件)
id:santa-baking さん>コメントありがとうございます!
そうですね!!ローラやケンコバがCMしているやつです!!
元々ビーム社とサントリー社が別々でしたが、買収で一緒になり、サントリーのウイスキーなど海外事業をビームサントリー社が行うようになっているそうです!!
[…] カネマラ […]