本日もお越し頂きありがとうございます!!
ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
本日のお話は「モルトウイスキーの作り方」について!!
ウイスキーの中でも伝統的な作り方をしているモルトウイスキー。
モルトウイスキーは、皆様の目の前の一杯となるまでに、様々なプロセスがあります。
そして工程の一つ一つにこだわりがあり、「おいしい一杯」を堪能することができるのです。
その中でも、今回はモルトウイスキーの作り方・製法について深く見ていきます!!
ウイスキーは、作り方がわかるとより深いものになると思います。!
皆様の目の前の一杯がより楽しめる記事となれたらうれしいです。
モルトウイスキーの原料とは?
モルトウイスキーの原料は、基本3つです!!
まず、大麦麦芽は大麦を発芽させたもの!
モルトウイスキーを作るためには、大麦が必要不可欠です。
大麦には、2種類あります。
- 二条大麦
……2列だけ実る大麦 - 六条大麦
……6列実る大麦
モルトウイスキーでは、主に二条大麦が使用されます。
二条大麦は六条大麦よりたんぱく質が少なく、酵素(でんぷんを糖に変える触媒のような効果のある成分)の力も弱いです。
ただ、六条大麦より粒が大きく、でんぷん・エキス分を多く抽出できるそう。
モルトウイスキーの場合、100%モルトとなるので弱い酵素の力でも十分糖化させることができます。
さらにでんぷん量が多いとその分糖を多く得ることができ、エキス分が多いとその分ウイスキーに麦芽の個性を多く残すことができます。
そのため比較的でんぷん量の少ない六条大麦より二条大麦がウイスキーの蒸留に使われているわけです。
二条大麦はほかにはビールにも使われていて、お酒造りに適しています。
対して六条大麦は、押し麦や麦茶などに使われることが多いです。
ただグレーンウイスキーやバーボンなどの糖化材としてもよく使われています。
大麦を発芽させると、自分自身のでんぷんを糖分に変える「酵素」を活性化させることができます
ウイスキーではその酵素を利用してアルコール発酵に必要な糖分を作り出します。
モルトウイスキーは、大麦麦芽100%で作られているウイスキー。そのため麦芽の個性もモルトウイスキーに大きな影響を与えています。
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そしていいモルトウイスキーを作るためには、いい水が必要不可欠です!
各モルト蒸留所は、仕込み水にこだわりをもっています。
基本的にスコットランドのウイスキー蒸留所の仕込み水は軟水が多いです。
ただ中には中硬水を使っている蒸留所もあります。
ウイスキーの9割以上は水とエタノールです。それだけ、水の成分が与える影響も大きいそうです。
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また、ウイスキーは酵母によっても大きくその味わいが変わってきます。
最近ウイスキー蒸留所では、酵母へこだわりを持つ蒸留所が増えてきています。
どこの酵母を使ったか、どういう酵母を使ったかウイスキーを知るうえで重要なポイントとなりつつあります!
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モルトウイスキーは、大麦麦芽・水・酵母のたった3つの材料だけです。
ただモルトウイスキーは3つの材料から、多彩な味わいが生まれています。
限定リリースも含めると無限にあるウイスキーのフレーバー。
その多彩さは、製造工程の細かいポイントから生まれています。
モルトウイスキーの製造工程
モルトウイスキーの作り方・製造工程は、大きく6工程に分かれます。
- 製麦
- 糖化
- 発酵
- 蒸留
- 熟成
- ブレンド・ボトリング
ウイスキーの製造工程はこの6つ!
そしてそれぞれにポイントがあります。
そしてそのポイントがわかると、モルトウイスキーはより興味深い・面白いものになるはずです!
そこでそのポイントについて、じっくりと深く解説させていただきます!
モルトを作る下準備『製麦』
モルトウイスキーの原料は『大麦麦芽』ですが、その大麦麦芽は「大麦」から作られます。
ただ大麦のままでは、モルトウイスキーを造ることができません。
モルトウイスキーを造るためには、『発芽』させて『麦芽』にしないといけません。
大麦の中には「でんぷん」という糖がいっぱいくっついた状態のものがたくさん詰まっています。
お酒は、酵母という微生物が糖を食べてアルコールを生み出すことで作られています。
糖がいっぱいくっついた「でんぷん」のままでは、大きすぎて酵母が食べられません。
するともちろんお酒を造ることができません。
そのため、「でんぷん」を小さくカットする『ハサミ』のようなものが必要になります。
それが『酵素』です。
『酵素』は大麦が発芽することで作ることができます。
そして発芽させこの酵素を活性化させた状態が「モルト」です。
モルトウイスキーとは、『麦芽(モルト)』100%で作るウイスキーのこと。
その最初の工程『製麦』は、料理でいうなら「下準備」みたいなものです。
料理を作るときでも、具材をそのまま全くカットせず使うことはないと思います。
また、タケノコや山菜などはあく抜きという作業が必要です。
製麦はいわばタケノコのあく抜きのように料理に入る前の「下準備」。
そして現在タケノコの水煮のように、多くの家庭ですでにあく抜きされた商品を使うように、今この製麦工程を行う蒸留所は少ないです。
多くの蒸留所は、製麦を業者に委託しています。
専門業者が作る麦芽 自社で作る麦芽
例えば、かつおだしのだし汁を作るときかつお節から作ることはないと思います。
どんなに高級料亭でもかつお節から造っているところはほとんどないです。
それは、「餅は餅屋」って言葉と同じです。
製麦のプロが造ったものの方が、安定した品質でコストも低いです。
また、自家製麦を行う蒸留所もありますが、すべて自家製麦してしまうとコストがかかってしまいます。
自家製麦芽にこだわっている蒸留所も多くは製麦業者が造った麦芽と混ぜて作っています。
自家製麦の方法は「フロアモルティング」という床に大麦を敷いて発芽させる方法で作られます。
この方法は、木製のシャベルや大きい熊手のような器具で混ぜ続けなくてはいけなく、かなり重労働だそうです。
フロアモルティングについて詳しく知りたい方はこちらをクリック
長年この作業を行った人は「モンキーショルダー」という職業病になってしまいます。
人気のブレンデッドモルトウイスキー「モンキーショルダー」の名前はここからきています。
製麦の時にスモーキーフレーバーをつける
このキルンが、シンボルとなっている蒸留所もあります。
モルトウイスキーでは、製麦のときにスコッチ独特のスモーク香を付けます。
大麦を発芽させるとき、大体45%ほど水分を含ませた状態にし、発芽させます。
ただ水分が45%も含まれている状態だと、発芽した麦芽はすぐに腐ってしまい長期保存ができません。
そのため乾燥させ、保存性を高める必要があります。
乾燥と保存性を高めるために、ピートを焚いて乾燥させます。
ただ、もともとピートがスコットランドをはじめとする北欧の一般燃料だったため、伝統的に麦芽の乾燥にはピートが使われてきました。
麦芽粉砕時のポイント
乾燥させた麦芽を粉砕します。
この麦芽粉砕した時の粒の大きさがかなり重要!!
- 大きい粒の「ハスク」
- 中程度の「グリッツ」
- 細かい「フラワー」
といいます。
大きい粒の「ハスク」は、のちの糖化工程でろ過するためのフィルター代わりになるので必要です。
細かい「フラワー」は、味わいや糖分を多く抽出できますが、反対に油分などいらない成分も多く出てきてしまいます。
そのため、極力少なくする蒸留所が多く、「グリッツ」の比率を増やしている蒸留所がほとんどです。
麦のジュースを作る『糖化工程』
下準備の終えた麦芽(モルト)は、糖化工程で麦のジュース「麦汁」へと生まれ変わります。
麦芽(モルト)にしたことで、デンプンなどをカットするためのハサミ(酵素)を準備しました。
この糖化工程では、製麦工程で準備したハサミ(酵素)を使ってでんぷんをカットする作業です。
でんぷんは糖が鎖状につながった状態のもの。
このままでは酵母が食べれないので、アルコールを作ることができません。
そこで、デンプンをカットして糖分にする作業『糖化』という作業を行うのです。
そのデンプンをカットするための酵素には、ウイスキーでは大きく2つのタイプが働きます。
糖化工程で覚えておきたい2つの酵素
糖化工程で特に活躍する酵素は、
α‐アミラーゼという
ランダムにカットする酵素
と
β‐アミラーゼという
2つの糖のつながりにカットする酵素
です。
α‐アミラーゼは、でんぷんをランダムにカットしていきます。そのため様々な種類の糖が出来上がります。
対して、β‐アミラーゼは2つの糖のつながりごとにカットしていくので、「麦芽糖」という糖分がたくさんできます。
この酵素は、温度が65~66℃を境にどっちが働きやすいかはっきり分かれます。
低い温度で働きやすいβ‐アミラーゼが働くと、「麦芽糖(2糖類)」がたくさん作られます。
すると酵母が食べられる糖分がたくさんできるのです。
酵母は4つのつながりの糖(4糖類)までしか食べることができません。
酵母が食べられる糖分が多くできると、その分アルコールが多くできて軽い酒質になりやすいです。
対して酵母が食べることのできない糖分が多くできると、重ための厚みのある酒質になりやすい傾向があります。
でんぷん分解酵素以外の酵素も活躍
ただ糖化工程ではデンプン以外に、タンパク質なども酵素によって分解されます。
たんぱく質が多く分解されアミノ酸に変わると、透き通った麦汁になります。
すると、華やかな香りや味わいのお酒になりやすいです。
酵素をどう活用していくかによって、最終的に出来上がるウイスキーが大きく変化していきます。
「糖化工程」は、実は重要で難しい作業。
ウイスキーの作り方の大きなポイントの一つです!!
糖化工程で得られる麦汁の量とは?
この工程で、1tの麦芽から得られる麦汁の量は5000ℓ~5500ℓ程度。
これが標準値となってます。
ただし、この比率も蒸留所ごとに変わります。基本より多いか少ないかで、味わいにも大きく影響します。
こういったデータを集めてみる変態的でマニアックな楽しみ方も面白いですwww。
ちなみに、麦芽に対して少ない麦汁量で作っている(濃い目の麦汁)蒸留所は、プルトニー蒸留所。
調べた限り最も麦芽に対して麦汁量が多いのは、スプリングバンク蒸留所です。
お酒に変える『発酵工程』
発酵工程でアルコールが作られます。アルコールを作るためには、酵母が必要。
この工程で、やっと最後の材料「酵母」が添加されます。
その酵母にはたくさんの種類があります。
例えば、酵母を犬としましょう。
一言で犬といっても大型犬から小型犬までさまざまです。
そして、大型犬一つを切り取っても秋田犬からゴールデンレトリバーなど様々います。
又、雑種なども含めると……。
酵母も同じです。
酵母にも様々な種類があります。ワイン酵母からビール酵母、清酒酵母……。
それぞれに特徴があります。
それぞれ風味や好みの糖・発酵の仕方・適温など‥
どの酵母を使うかによって作り方も変わりますし、味わいも大きく変わります。
中でも主にウイスキーで使われる酵母は……
- ディスティラリー酵母
- エール酵母
です
- 1950年代に開発された培養酵母。
- アルコールを比較的短時間で多く作ることができる。
- エステリーで軽め酒質となる傾向がある。
- エール(ビール)工場で昔から使われている酵母。
- アルコール作る能力が少なく、発酵にも時間がかかる。
- 芳醇で、香味の豊かな原酒となる傾向がある。
酵母をマニアックに注目してみるとウイスキーはより面白いです!!
ただウイスキーは酵母だけが、発酵工程で活躍するわけではありません。
「乳酸菌」も重要!!
ウイスキーで「乳酸菌」って聞くと、あまりピンとこないと思います。
ただ、「乳酸菌」がウイスキーに与える影響は大きいです。
酵母による発酵の後、働き始めるのが乳酸菌。
簡単にいうと……
酵母の「食べ残し」を乳酸菌が食べ
『乳酸』を生み出していきます。
そしてこの『乳酸』が、華やかなフレーバーや独特のニュアンスを生んでいたり、ライトな酒質のウイスキーに貢献していたりします。
『乳酸』が多いとライトな酒質になる理由は、ポットルチルの材質の「銅」がポイントです!!
銅には、重たい味わいとなる成分を分解する効果があります。
しかし蒸留中、銅の表面は様々なものがこびり付いて汚れていきます。
この時に『乳酸』がこのこびり付きをきれいにしてくれるのです!!
銅の表面がきれいになると銅の影響も大きくなります。
すると出来上がる酒質もライトになっていくわけです。『乳酸』は次の蒸留工程で必要な成分となります。
『乳酸』を増やすためには、発酵時間を長くする必要があります。
「発酵時間」に注目すると、蒸留所がライトな味わいを求めているのか・ヘビーな味わいを求めているのかわかるかもしれません!!
ちなみに発酵時間が短めなのは、ダルモア。短めの48~50時間程度です!!
対して
長めの蒸留所はディーンストン蒸留所。大体90~100時間程度。
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ウイスキーの重要ポイント『蒸留工程』
蒸留は、モルトウイスキーにおいてとっても重要なポイントです!!
蒸留は、熟練の勘と知識をフル活用しないとできないと思います。
素人が手を出すと特に大変なことになるのが蒸留。最近もトルコで、密造酒を飲んで亡くなった方もいます。
香り豊かなおいしい成分を凝縮するのか。危険な成分を凝縮してしまうのかは職人の腕次第です。
たいてい海外では「ウイスキー」と呼ぶことができない、国内製造のウイスキーに多いです。そういったウイスキーは、大体蒸留方法がおかしいことが多いです。
モルトウイスキーの蒸留器『ポットスチル』は、大きなヤカン!?
ポットスチルの構造はいたってシンプルです。
大きな銅製のヤカンだと思ってください。
ヤカンでお湯を沸かすと注ぎ口から蒸気が出てきます。
この蒸気だけを集め、再び液体に戻していく。これが「蒸留」です。
ポットスチルでの蒸留もこれと同じことが行われます。
ただ
- ポットスチルの形や大きさ
- 冷却装置
- 蒸留時間
- 張り込み量
などなど様々な要因で仕上がるウイスキーの味が変わってきます。
中でも違いが分かりやすいのが、加熱方法。
直火加熱なのか、間接加熱なのかによって味が大きく変わります。
直火加熱を行うと香ばしいトーストのような香りが付く傾向があります。
ただ温度管理が難しいので、焦げ付きやすく熱効率も悪いです。
対して間接加熱は、軽くすっきりとした味わいになりやすく、熱効率がいいです。
コンピューターで制御でき、温度管理がしやすいことも間接加熱の特徴。
管理のしやすさから現在「間接加熱の蒸留」が多くのモルトウイスキー蒸留所で採用されています。
ただ、直火加熱から生まれるトースティな香りにこだわりを持っている蒸留所もあります。
その筆頭が、今でも昔ながらの「石炭直火」を行っている余市蒸留所です。
また、スコットランドならグレンファークラス蒸留所が直火加熱へのこだわりが強いことで有名です。
モルトウイスキーは基本2回蒸留!!
スコッチやジャパニーズ、またその他新勢力のモルトウイスキーは、2回蒸留が多いです。
初めの蒸留を「初留」といい、2回目の蒸留を「再留」といいます。
それぞれの「アルコール分を濃縮する」以外に大事な役割があります。
その役割について見ていこうと思います!
初留の役割
- アルコールの濃縮
- 新しい香味をつける
- オフフレーバーや固形分の除去
『新しい香味をつける』とは?
ウイスキーの一回目の蒸留「初留」では、様々な化学反応が起きています。
その反応の中に料理人やパティシエ、パン職人などの間では一般的な化学反応「メイラード反応」というものがあります。
メイラード反応とは、「糖分とアミノ酸が加熱によって起きる反応こと」。
糖分とアミノ酸を加熱すると香ばしい香りと色が付きます。
身近なものなら「焼き菓子」!!
焼き菓子の香りって香ばしくていい香りがすると思います。
それがメイラード反応によることが多いです。
他にも「焼肉」、「パンの焼ける香り」などなど
こういった香りってそれぞれ違いはありますが、好きな方多いと思います。
この反応がポットスチルの初留の時にも起きています。特に直火加熱の時は顕著です。
発酵工程で、アルコールや乳酸に変わることのなかった糖分と、死滅した酵母や麦芽由来のアミノ酸。
こういったのもが『メイラード反応』を起こして「いい香り」をつけてくれます。
他にも蒸留中は様々な反応が起きます。
複雑な化学反応が発生しながらモロミは蒸留され、一回目の蒸留液(ローワイン)が生まれます。
『オフフレーバーや固形分の除去』とは?
乳酸の話の時に出た反応が大きいです。
銅が嫌な香りの元となりやすい硫黄成分を除去してくれます。
すると、クセの少ないスッキリとした味わいのお酒になりやすいです。
また、蒸留を行うことで固形分や不純物などを取り除くことができます。
ただ、初留では、固形分や不純物・沸騰しにくい成分などが蒸留後の液体に混ざることがあるそう。
これは初留中に起きる「泡沫相(泡立ち)」という現象が大きく関係しています。
日常で例えると、牛乳を鍋で沸かしたときのような感じだと思います。
牛乳を鍋で沸かすと、一気に泡立って吹きこぼれることありますよね?
ウイスキーも同じようにしっかりと見ていないと、初留中吹きこぼれに近い状態になってしまいます。
また吹きこぼれなくても、泡立った液体が周りに飛び散るように、蒸留液に混ざっていくことがあります。
蒸留中も同じように泡が弾けることで、その泡に乗った固形物や高い沸点の成分が飛んでいくのです。
それがウイスキーにいい影響を及ぼすときもあるし、悪い影響を及ぼすとき時もあります。
目視でも泡立ちを確認するため、初留釜には「窓」が取り付けられています。
蒸留所見学でポットスチルを見る機会があったとき、見てみると楽しいかもしれないです!!
再留の役割
- アルコールの濃縮
- 香味成分の濃縮
- 香味成分の選択
『香味の選択』
再留で最も重要となるのが香味成分の選択です
初留になく、再留にある最も大きい作業に「ミドルカット」という作業があります。
蒸留で出てくる留液は最初の方に出てくる液体と後の方に出てくる液体では成分が全然違います。
最初の方が華やかな香りの成分が多くアルコール度数も高いです。
対して後の方は重くオイリーな成分が多くアルコール度数が低くなります。
どういった味を求めるかによって蒸留所ごとカットしているのです。
例えば、華やかな香り・フレーバーを求めるなら初めの方に出てくる留液を多めにカットします。
後の部分は、一回目の蒸留の時の蒸留液(ローワイン)に混ぜて、次の再留に回されます。
「ミドルカット」の位置という超マニアックな場所を見ていくと、その蒸留所が最終的にどういう香味にしたいかがある程度わかってきます。
平均的なミドルカットの位置はアルコール度数75~60%。
最終的なニューポット(熟成前のウイスキー)のアルコール度数は69%ぐらいになることが多いです。
そして、ウイスキーの場合、大体ミドルカットを行って次の蒸留に回される原酒は、もろみに対してたったの10%程度です。
ただ例えばグレンアラヒー蒸留所のように、ノンピートがアルコール度数74~62%、ピートタイプが74~58%と、同じ蒸留所でも原酒のタイプ次第で変えているところもあります。
特にピートの香りは、後(テール)寄りに出てくる香りなのでピート香を生かしたい蒸留所は後寄りにすることが多いです。
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至高のお酒に変える『熟成工程』
蒸留工程でミドルカットをし出来上がった熟成前の原酒。
ニューポットといわれるこの状態では、荒々しくウイスキーと呼ぶにはまだ遠い味わいです。
ニューポットを魅惑的なウイスキーと変えるのが樽熟成です。
樽熟成中では様々な変化が起きます。
- 水とアルコールの会合により、「まろやかさ」が増す。
- 不快成分の揮発(硫黄化合物など)
- 樽材成分の抽出(バニリン、ウイスキーラクトンなど)
- 新しい香味成分の生成(アルコールと有機酸の反応によるエステル化など)
- アルコールや水の揮発(アルコール度数の変化)
などなど
樽で熟成させるときに最も有名な変化が「エンジェルズシェア(天使の分け前)」
- ウイスキーの作り方を人間に教えた天使たちが、日々チェックのために飲みに来る。
- 天使たちがウイスキーを飲み、その分け前としてウイスキーをおいしくしてくれている。
などなど
熟成中のウイスキーが減っていく現象のことを「エンジェルズシェア」といいます。
樽の木材が温度や湿度によりわずかながら膨れたりしぼんだりするそう。
その隙間から外気と樽内の空気が交換がされて水分やアルコール、揮発成分などが蒸散していくそうです。
その減っていく現象に対して、当時のウイスキーづくりをしていた人たちは「天使が飲んだ」と考えたといわれています。
実際に天使が飲んでいるかどうかはわかりませんが、大きな要因の一つに「樽の呼吸」が関係しています。
「樽が呼吸する」というと不思議に思うかもしれません。
木製の樽は温度によってわずかな隙間が変わってきます。
この隙間から樽内の空気が交換されるそうです。
また樽熟成中、徐々に水分やアルコールが蒸散していきます。
蒸散したアルコールや水分が樽から出ていき、樽内のウイスキーが年々減っていくわけです。
基本、アルコールの方が蒸散しやすく年々アルコール度数は下がっていきます。
ただ中には熟成庫の関係でアルコール度数の上がっていく熟成も起きます。
アメリカンやジャパニーズなどでラック式という熟成庫の上の方でよく起きるそうです。
特に気温の高い地域では顕著といわれています。
「エンジェルズシェア」はスコットランドで平均2~3%程度の目減りです。
ただ温暖な気候だったり乾燥した気候だったりと、気候によって大きく変わります。
また初年度は大きく減っていくそう。
スコットランドでもう初年度は大きく減っていきます。
またバーボンでは初年度は10~18%、通年では5~8%も減っていくそうです。
バーボンの場合、13年も熟成させれば半分ぐらいまで天使が飲んでしまうのです。ちなみにスコッチの場合は、約23年ぐらいで半分になります。
亜熱帯で作られている新勢力の台湾の「カバラン蒸留所」では年間15~20%も減っていくそう。
それだけスコットランドより早く熟成が進みますが、長期熟成はなかなかできないという欠点もあります。
さらにモルトウイスキーの場合、何か別のお酒の入っていた樽で熟成させるのが一般的。
多くの場合バーボンウイスキーの入っていたバーボン樽かシェリー酒の入っていたシェリー樽が使われます。
[sitecard subtitle=詳しくは…… url=https://www.yaffee.work/entry/cask-whisky target=_blank]
味を決める最後の仕上げ『ブレンド工程』・『瓶詰め工程』
熟成まで終えたウイスキーは、多くの場合最後にブレンドされてリリースされます。
実は
シングルモルトウイスキーも基本ブレンドされて作られています。
最終的に蒸留所でできた様々なタイプの原酒をブレンドして、一つの「ウイスキー」が誕生します。
なぜモルトウイスキーでもブレンドが必要なのかというと……
例えば野菜。
同じ野菜の種類でも個体差がありますよね?
同じ畑でとれたものでもサイズが全然違ったり、味も少し違っていたり……。
よく主婦や料理好きな方ならスーパーなどで食材を吟味すると思います。
ウイスキーも同じように、同じ年の樽でも必ず個体差が生まれます。
この差を少なくしていくのが、ブレンド作業です。
シングルモルトウイスキーでも、ブレンド作業は必須。
- 出汁のようにベースとなるウイスキー
- 調味料のように味を決めていくカギとなる「キーモルト」
- スパイスのようにアクセントとなる強烈なウイスキー
などなど
同じ蒸留所でも様々な原酒を作り分けているところが多いです。
そしてこの様々なタイプの原酒をブレンドし、バランスをとりつつ深みを演出しています。
そしてこの時に、アルコール度数を調節するために「加水」も行われます。
[sitecard subtitle=詳しくは…… url=https://www.yaffee.work/entry/highalcohol-whisky target=_blank]
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最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
モルトウイスキーはかなり大変で手の込んだ工程を踏んで生まれてきます。
モルトウイスキーを作るためには、
- 製麦
- 糖化
- 発酵
- 蒸留
- 熟成
- ブレンド・ボトリング
という6つの工程が必要不可欠。
そしてそれぞれの工程をさらに細分化していくともっと複雑になっていきます。
そのモルトウイスキー造りが複雑だからこそ、磨き抜かれたモルトウイスキーが誕生しているのです。
こうやって作り方を見てみると、より目の前のウイスキーが輝いて見えるかもしれません。
また、モルトウイスキーの作り方を予習したうえでウイスキー蒸留所へ行くとより面白い体験ができると思います!
今回の記事が皆様にとってモルトウイスキーがもっと面白くなる記事となったらうれしいです。
それではよいウイスキーライフを!!
また次回もよろしくお願いします。
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