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ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のお話は
「ボウモア蒸留所」
について
ボウモアは、ソルティかつフルーティでスモーキーな癖もありますが、バランスのいいタイプのウイスキー!
クセの強いアイラモルトの中では「中間」の味わいで、多くのウイスキーファンを虜にしているシングルモルトです。
今回はそのボウモア蒸留所について特徴・ストーリー・製法・ラインナップなどまとめていこうと思います。
ボウモア Bowmore蒸留所について
スコッチウイスキーの中でもピートの効いたクセになるスモーキーなモルトウイスキーが特徴のウイスキーの聖地『アイラ島』。
そのアイラ島にボウモア蒸留所はあり、1779年創業とアイラ島で最も古い蒸留所です。
アイラ島で作られているモルトウイスキーはよく「北はライト、南はヘビー」といわれています。
ボウモア蒸留所はその中間ぐらいの位置にあり、味わいもその中間ぐらいの味わいといわれています。
「アイラ島のウイスキーを知るにはボウモアを飲めばいい。」とさえ言われるほどです。
ボウモア Bowmoreはゲール語で「大きな岩礁」という意味。
1994年からはサントリー所有の蒸留所となっていて、日本でもなじみ深いスコッチウイスキーです。
癖のあるスモーキーフレーバーは特徴的ですが、その中にフルーティでリッチな気品のある味わいがこのボウモアの魅力です。
ボウモア Bowmoreのストーリー
ボウモアの創業は1779年。
元々は島の商人ディビット・シンプソンが創業しました。
しかし経営難に悩まされ、7回もオーナーの変わった蒸留所です。
創業者シンプソンが、どれだけボウモア蒸留所に力を注いでいたかはわかりませんが、今で想像できないほど小規模な蒸留所だったそうです。
長年小規模経営が続き、1837年にグラスゴーのW&J・マター社が買収。
この時の年間生産量はわずか3600ℓぐらいだったそうです。
今では年間生産量は180万ℓなので、すごい成長ですよね!!
マター社所有だった時はグラスゴー中央駅の地下の保税倉庫で熟成させていたのだとか。。
それから幾度と買収され、オーナーが切り替わります。
過去にはDCL社(現ディアジオ社)所有だった時もあります。
ボウモア蒸留所として歴代オーナーの中で最も有名なのはグラスゴーの名家スタンリー・P・モリソン。
1963年にボウモア蒸留所を買収します。
後に社名をモリソン・ボウモア社に改名。
今日のボウモア蒸留所の礎を築きました。
また、オーヘントッシャンやグレンギリーも傘下に収め、会社としても大きく成長していきます。
そして1994年、モリソン・ボウモア社をサントリーが買収。
サントリーがこのボウモア蒸留所を建て直し、行き届いた設備に改善しました!!
大体こういう時にコストのかかるフロアモルティングを廃止してしまう蒸留所が多いですが、ボウモア蒸留所はフロアモルティングをやめませんでした。
逆にボウモアの見どころとして残したところは、さすが宣伝のうまいサントリーだなと思います。
2014年にはアメリカのビーム社を買収したことで、ビーム社の社名を「ビームサントリー」に改名。
現在はモリソン・ボウモア社とビーム社が所有していた蒸留所(オーヘントッシャン、グレンギリー、ボウモア、ラフロイグ、アードモア)は「ビームサントリー社」がオーナーとなっています。
ボウモア Bowmoreのこだわりの製法
ボウモア蒸留所は製麦(フロアモルティング)を行う数少ない蒸留所の一つ。
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一回の製麦に14トンもの大麦を使い、5~7日かけて発芽。それを1基のキルン(乾燥塔)で、ピートで燻しながら乾燥させます。
ボウモア蒸留所の自家製麦芽のフェノール値(ピート度合いの目安となる数値)は25ppm。
通常20ppm以上からがヘビーピートとなるので、ボウモア蒸留所の自家製麦芽はヘビーピーデット麦芽となっています。
しかもこの時につかうピートは町の背後にある山の方から切り出されるそうです。
このピートには炭化しきれていない根っこなども含まれるため煙が出やすいそうです。
ただ自家製麦のモルトだけでは足りないので本土の製麦業者・シンプソンズ社からモルトを仕入れています。
このモルトも本土産のピートを使った25ppmのヘビーピーデット麦芽。
75%を他社のモルト、25%を自家製のモルトで仕込みを行います。
本土のクセが少なくパンチの効いたピートモルトとアイラ島のクセの強いピートモルトを混ぜることで、
しっかりとしたスモーク香ながらアイラ初めての方でも受け入れやすい味わいを作り出しているのかもしれないですね。
ボウモア蒸留所はウイスキー一回の仕込みに8トンの麦芽を使います。
その麦芽を使い約4万ℓの麦汁を抽出。
木製の発酵槽に入れて発酵させます。
この時の時間はショートとロングで分けているそう。
フルーティでライトめな酒質となる原酒と、リッチで重ため酒質となる原酒を作り分けています。
こうして約8%のもろみがつくられます。
このもろみをずんぐりとした初留釜2基とシュッとした再留釜2基の計4基のポットスチルで2回蒸留を行います。
一回目の蒸留でアルコール度数22%まで引き上げられ、2回目の蒸留で71%~68.8%までの間のニューポットが(ミドルカット)熟成させます。
このミドルカットはラフロイグ、ラガブーリン、アードベッグ(南の『キルダルトン3兄弟』)に比べてかなり早い段階でのカットです。
基本的にピートの香りというものは蒸留の後よりに出てくることが多いそうです。
なのでアイラモルトのようにピート香を生かしたい蒸留所はミドルカットを後よりにすることが多いです。
ただ、後よりにしてしまうと重ためな硫黄成分、どっしりとした甘みの成分などが多く出てきます。
ボウモア蒸留所はピート香よりフルーティな香りやスッキリとした原酒を重視しているようですね。
ボウモア蒸留所の熟成庫は200年以上も使われていて、業界最古の熟成庫ともいわれています。
海の近くに面していて、熟成中潮風が熟成庫を吹き抜けるそう。
そのため出来上がる原酒にも潮のフレーバー、海の香りが取り込まれていきます。
またスコットランド本土でも熟成を行っているそう。
本土熟成のボウモアメインでアイラ島熟成のボウモアはアクセントとして使われているらしいです。
樽の比率はバーボン樽が70%、シェリー樽が30%ぐらい。
ボウモアの特徴の一つ「蜜のような香り・甘み」はこの使用樽の絶妙なバランスから成り立っているようですね。
他にもマデイラやボルドーなどのワイン樽や日本原産の高級木材ミズナラを使った樽も使用されています。
このようにボウモアは多彩な原酒を組み合わせて、あのリッチでフルーティなスモーキーモルトウイスキーとなっています。
ラインナップ
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ここだけの話、ボウモア12年は実は魚介系のクリームパスタにごく少量(パスタ100gに対して5~10mlぐらい)入れるとめっちゃうまいです!
ぜひお試しください!
蒸留所データ
創業……1779年
創業者……デイヴィット・シンプソン
オーナー会社……ビームサントリー
年間生産量(100%アルコール換算)……200万ℓ
仕込み水……ラーガン川
使用麦芽……25ppmのヘビーピート麦芽
発酵槽……オレゴンパイン製6基
発酵時間……平均70時間程度(モロミAlc8%)
ポットスチル……初留釜2基、再留釜2基
ミドルカット……Alc.71~68.8%
生産区分……アイラ
コメント
コメント一覧 (2件)
ボウモア蒸留所いいですね~(^O^)
いつかは行ってみたい蒸留所の1つです❗️
[…] ボウモア […]