フードとドリンクを合わせるフードペアリングには、「セオリー」があります。
一流の料理人やソムリエなどは、経験や知識を駆使してこのセオリーに沿ったペアリングを行っていることが多いです。
今回は、このセオリーからフードペアリングの考え方を解説していこうと思います。
フードペアリングの考え方とは??
フードペアリングには、様々な合わせ方があります。
一つといって間違いもなければ、正解もありません。
ただ、フードペアリングには、劇的に合わせやすくなるセオリーがあります。
そのセオリーとは、以下の7個です。
- 食感で合わせる
- 味で合わせる
- 同系の味で合わせる
- バランスで合わせる
- 色で合わせる
- 産地で合わせる
- 水分で合わせる
- 季節感・気分で合わせる
- 価値・値段で合わせる
今回は、この7個のフードペアリングのセオリーを詳しく解説しながらまとめさせていただきます!!
食感で合わせるペアリング
いわゆる「テクスチャー」といわれるものです。
食べ物の食感は、
- トロっとしたもの
- さらっとしたもの
- ざらざらしたもの
- ネバッとしたもの
など様々ですよね。
そしてワインやビール、日本酒なども、さらっとして物からやや粘度があってトロっとしたものまでさまざまあります。
フードとドリンクを合わせるときに、「テクスチャー」を合わせると合いやすくなります。
これが、「食感で合わせるペアリング」です。
例えば……
- クリーミーなニュアンスのある白ワインとクリームを使ったフードが合いやすい
- 軽めのスッキリしたハイボールなら軽めの味付けが合いやすい
といった理論。
ウイスキーは銘柄ごと、テクスチャーは違いますが、
- ストレートで飲むとややトロっとしたテクスチャー。
- ロックだと時間とともに変化
- ハイボールだとシュワシュワ
- 水割りだとさらっと
など飲み方によっても大きく変わります。
例えば白身魚のクリーム煮ならハイボールや水割りよりストレートの方が合いやすいです。
またつるっとした食感の麺類は、ハイボールや水割りのように流動性が高いものの方が合いやすくなります。
カクテルの場合、テクスチャーの違いを自分で調節することが可能。
カクテルとフードのペアリングは、「テクスチャーの調節がしやすい」ので、自由度の高いペアリングを楽しむことができるでしょう。
味で合わせるペアリング
同系の味で合わせるペアリング
フードペアリングを考えるとき、例えば
- 『甘い』×『甘い』
- 『酸味』×『酸味』
- 『うまみ』×『うまみ』
といった特徴的な味わい同士を合わせるとペアリングしやすくなります。
要は同じような味わいを合わせるペアリングです。
また苦味×苦味の組み合わせも打ち消し合いほかの香り・味わいが強調されることもあります。
例えば、ビールとゴーヤチャンプル。
他にもカンパリとオレンジ。
こちらも苦味同士の組み合わせですが、カクテルのカンパリオレンジに強い苦味は感じないのではないでしょうか。
また鮎の肝と蓼
お互いにかなり苦いです。
ただ合わせることで、苦味が感じにくく食べやすくなります。
さらに蓼の爽やかさと鮎の肝が持っているうまみを感じることができます。
苦味成分の違いによって大きく変わると思いますが、「苦味」と「苦味」というペアリングも面白い組み合わせの一つです!
同じ味・香りのペアリングは、わかりやすいかもね!
バランスで合わせるペアリング
バランスで考えるペアリングは、「対照的な味わい」で合わせるペアリングもここに含まれます。
お互いに足りない味わいを合わせ、一緒に楽しんでみるとバランスがよくなるペアリング。
プリンを例に出すと……
甘みとうまみに「苦味」が加わることでバランスが取れているのが、プリンです。
苦味や甘味・旨味のあるプリンに合わせるペアリングは、酸味や塩味のあるものを考えるといいと思います。
- フルーツ系の「酸味」が特徴的なドリンクを合わせる。
- 潮感あるウイスキーでほのかな「塩味」を合わせて深みを出す。
凸凹をならすようなイメージでバランスをとっていくのがこのペアリングの考え方。
ところが、橋渡しとなる「同じ味わい」や「香り」は必要になります。
- フルーツの甘み
- ウイスキーにあるほのかなサルファ(硫黄系フレーバー)
そして、合わせた後のバランスが別の味わいを生み出すことがあるのが「第3の味の出現」の基本的な原理です。
例えば、キュウリ
「ウリ系の青臭さ・苦味」と「やや酸味」がある野菜ですが、
そこに「甘み」が加わることで同じウリ科のフルーツ「メロン」の味となります。
このように「バランス」でとらえると、様々な面白いペアリングができると思います。
この時も、「バランス」だけで考えずに、「同じ系統」の味なども考慮した方がいいでしょう。
例えば、先ほどのプリンならカラメルは「苦味」のほかに「甘み」があります。
「ゴーヤ」に変えたら合うでしょうか??
想像だけでも合わないですよね。
同系統の味が橋渡しとなるので、「合う」が成立することもあるのです。
色で合わせるペアリング
田崎信也さんもおしゃっていた「色で合わせるペアリング」!
例えば、
- 白いものと白は合う。
- 鮮やかな赤いものなら同系色の赤ワインを合わせる。
といった感じです。
一概にすべて当てはまるわけではありませんが、すごくわかりやすく大きな外れもないのが「色で合わせるペアリング」だと思います。
しかもワインに限らず、ウイスキーやラムなどでも言えます。
例えば、
シェリー系ウイスキーの濃い色合いもの・ダークラムなどには、濃い色合いのフードと合いやすかったり、
バーボン樽・ゴールドラムなど淡い色合いのものには、淡い色合いのフードが合いやすかったり……
「色合いで合わせるペアリング」は、わかりやすいペアリングだと思います。
ただ、中には合わないものもあります。例えば、濃い色合いのウイスキーとマグロの赤身の刺身。
合うものもありますが、結構臭みが目立ちやすいです。
「色」だけでなく、「味」や「テクスチャー」からも合わせてみると面白いペアリングが発見できるかもしれません。
産地で合わせるペアリング
「テロワール」の考え方を考慮した「ペアリング」ですが、
簡単に言うと……
- 「原産地が同じもので合わせる」
- 「原産国でよく食べられている料理と合わせる」
といったものが、このペアリングに当てはまります。
例えば、
- エミリア=ロマーニャ州のワインとボロネーゼを合わせる。
- スモーキーなスコッチウイスキーとハギスを合わせる。
- ドイツビールとドイツソーセージを合わせる。
- 泡盛と沖縄料理を合わせる。
- 静岡の清酒とウナギを合わせる。
といった感じ。
同じ産地のものは、土壌や空気・水などで共通する成分が含まれていることが多いと言えます。
そのため、同じ産地のものは合いやすいでしょう。
また、現地でよく食べられているペアリングは理にかなっているものが多く、再現もしやすいかと思います!!
合わせるときにも「ストーリー」・「テーマ」なども組み込みやすいのがこの「産地で合わせるペアリング」だと思います。
ただ、現地の味覚と自分たちの味覚は違うもの。。
後は自分たちの味覚に合わせるだけです。
水分で合わせるペアリング
「食感で合わせるペアリング」に近いところでもありますが、水分量で合わせるということも重要!!
例えば、ジャーキーやサラミ・チョコレートやナッツなど水分量の少ないものは、ストレートやロックの方が合いやすい。
反対に刺身や豆腐、フルーツといった水分量の多いものなら、ハイボールや水割りなどの方が合いやすい。
ということです。
水分量の差が大きすぎると、水分の少ない方の味しか感じられないということが起きてしまいます。
ウイスキーでもアルコール度数の高い「カスクストレングス」のようなウイスキーとビターチョコならいいでしょう。
しかしアルコール度数の40%ぐらいのスタンダードなウイスキーだとビターチョコの味わいに負けてしまいます。
そうなると元のウイスキーの個性が生かされず、アルコールを飲んだという感覚しか残りません。
反対に、水分量があっていると自然と食感・テクスチャーも似てきます。
そうなるとなかなか合いにくい食材同士でも合いやすくなることもあります!
「水分量」といわれるとなかなか難しそうなペアリングだと思いますが、いたってシンプルに考えていただけたらと思います。
要は「水っぽさ」とか「ジューシーさ」を感じたら、「水分」の多いものを合わせる。
「濃厚」「詰まった食感」「ポソっと」「サクサク」を感じたら「水分」の少ないものを合わせるといった感じです。
言っていることは「食感」で合わせることとほとんど同じです。
季節感・気分で合わせるペアリング
- 「今日は暑いから、キリっと冷たいものが食べたい・飲みたい。」
- 「今日は寒いから温まるものが食べたい・飲みたい。」
- 「ジメッとしているからさっぱりしたのがいい。」
このように、気分や気候によって食べたい料理や飲みたい飲み物って変わってくると思います。
このように、気分によって合わせるペアリングもあります。
例えば、
- 今日は暑いけど爽やかな風が吹き抜けるから、さっぱりした軽い料理と爽やかなウイスキーのハイボールを合わせよう。
- 寒い。。凍えそう。。暖かい料理とホットドリンクを合わせよう。
- 春の心地いい天気だから、ほろ苦い春を感じる料理とフルーティで華やかなウイスキーを合わせよう。
などなど。
ペアリングは「感覚」です。
人の感覚は、季節や気候によっても大きく変わります。
ジメッとした蒸し暑い夏にガッツリ重たいクリーム煮とホットドリンクを飲んで「合う・うまい」と思うでしょうか??
このように気分によって、合わせるものを変えるのも「ペアリング」の楽しみ方の一つです!
要は気分に合わせてペアリングしてみて!!ってこと。
このペアリングの考え方は、自然にできていることが多いでしょう。
何も考えずに自然とできちゃうペアリングが「気分に合わせたペアリング」だと思います。
価値・値段で合わせるペアリング
最後に、「値段」「価値」で合わせるペアリングです。
僕も当ブログではなかなかこの価値・値段で合わせるペアリングをご紹介してきてないですが、実際に飲食店では、よく考えられていることです。
例えば、
- 高いワイン・高いウイスキーには、ランクの高い牛肉で高級感のあるソース、
対して安いワイン・安いウイスキーには、輸入の安い牛肉で大衆的なソースを合わせる。 - 高く手作業にこだわったウイスキーには、ビーン・トゥ・バーのチョコレート
対して、大量生産のウイスキーには、スーパーなどで手に入るチョコレートを合わせる。
といった感じです。
また……
- マニア向け同士……
シングルカスク・カスクストレングスや限定リリース・ボトラーズのウイスキー
ビーン・トゥ・バーのチョコレート
シングルエステートのコーヒー・紅茶・緑茶など - 中程度のもの同士……
シングルモルト・ワンランク上のブレンデッドウイスキー
明治・ザ・チョコレートのような「こだわり」を売りにしている大手のチョコレート
産地やブレンド品種にこだわったのコーヒー・紅茶・緑茶など - ポピュラーなもの同士……
スーパーでも手に入るブレンデッドウイスキー
お菓子売り場コーナーにあるチョコレート
ポピュラーな紅茶・コーヒー・緑茶など
このように、ランクごとに合わせていくペアリングのこと。
少しいやらしい感じはあるかもしれませんが、
実際安いウイスキーに高い食材を合わせても難しいです。
それは、「価値のある食材」というのは繊細なものでも濃厚なものでも絶妙なバランスの上で成り立っているからだと思います。
大量生産ものではバランスを崩してしまい、オフフレーバーなどが悪目立ちしてしまうのではないでしょうか。
同程度のグレードのもので合わせると、相乗効果を生みやすいです。
例えば……
- 高価で高級感のあるもの同士なら「リッチ」なペアリング
- 大衆向けのもの同士で合わせるなら「ワッと盛り上がる」ペアリング
などなど。
グレードで合わせるペアリングは、気分を変える楽しみ方ができるかなと思います。
フォアグラ、トリュフ、キャビアなど三大珍味を使ったペアリングは、数多くありますが、合わせるドリンクは、必ず「そこそこグレードの高いもの」です。
それには高級感を出したいだけでなく、合いやすいからという理由もあるでしょう。
フードペアリングを考える上でのポイント
フードペアリングを考えるうえで、何が一番重要かというと「特徴」を捉えることです。
それもなるべく細かくとらえることができれば、「料理」と「ドリンク」のペアリングの可能性が広がります。
特徴さえとらえておけば、料理やカクテルを考える延長線上でパズルのようにペアリングを楽しむことができるかなと思います。
その特徴を捉えるうえでも、
- テイスティングコメントを残す。
- 大雑把でもいいから飲んだもの食べたものレビューしてみる。
のはいかがでしょうか??
きっと、家飲みがもっと面白くなると思います!
ぜひ「特徴をとらえて」自由なパズルのように「おうちペアリング」を楽しんてみてください!!
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか
「ペアリングって難しそう」や「よくわからないけど『ペアリング』」となっている方多いと思います。
ただフードペアリングにも考え方があって、
その考え方って「料理を作ること」や「創作カクテルを作る」ことと全く同じです。
それが切り離されているのが『フードペアリング』。
それが料理という形になっているのが『創作料理』
それがカクテルとなっているのが『創作カクテル』だと思っています。
「これとこれ合うな~」と思う感覚を大事に「なぜ合う」と思ったのかを考えると、様々な可能性が広がります。
そして「自由なおうちペアリング」が楽しめるのではないでしょうか?
ぜひパズルのように「創作」を楽しんでみてください!
自由な発想とちょっとだけ知識があれば、面白いペアリングが楽しめるはずです!!
それでは良いウイスキーライフを!!
また次回もよろしくお願いします!