グレンファークラス Glenfaclas蒸留所について
グレンファークラス蒸留所はスコットランドでアイラ島に並ぶ『ウイスキーの聖地』スペイサイドという地域で作られているウイスキー。
スペイサイドとは、サーモンフィッシングでも有名な澄んだ水質のスペイ川周辺の地域のことです。
この地域は豊かな自然と密造しやすい地形から密造酒のメッカとして栄え、今ではウイスキー造りのメッカとなっています。
その中でもマッカランに並ぶ『シェリーカスクのエキスパート』としてファンから人気高いのが『グレンファークラス』です。
特に『グレンファークラス』のカスクストリングス(樽出しそのまま)タイプ「グレンファークラス105」は、
イギリス初の女性首相『鉄の女』とも謳われるマーガレット・サッチャーが愛飲していたウイスキーとしても有名です。
グレンファークラス Glenfaclasはゲール語で「緑の草原の谷間」という意味だそう。
家族経営にこだわり続けている蒸留所で、世界的に見てもかなり歴史の古い家族経営の企業です。
今回はグレンファークラスのストーリーやこだわりについて見ていこうと思います!!
歴史の長い蒸留所。やはりそこには深いストーリーとこだわりがありました。
グレンファークラス Glenfaclasのストーリー
グレンファークラスは1836年に創業しました。
創業者はロバート・ヘイだそうですが、それ以前から密造は行われていたそうです。
厳密な蒸留開始はもっと前かもしれないです。
1865年ロバート・ヘイが他界すると、近くで農業を行っていたジョン・グラントが蒸留所を購入。
ただその直後にジョン・スミス(グレンリベットの創業者ジョージ・スミスの息子)に蒸留所をリース。
当時の運営はグレンリベットのジョン・スミスが行っていました。
1870年に運営権がジョン・グラントに戻され、グラント家による本格的なウイスキー造りが始まります。
この時にJ&Gグラント社を設立。
ここからグラント家による家族経営もスタートしました。
しかし1889年にジョン・グラントが他界。その翌年には息子のジョージ・グラントもこの世を去ってしまします。
蒸留所の運営権はジョージの妻エルシーのものとなり、二人の息子(ジョンとジョージ、ややこしい!!ww)と蒸留所の運営をしていきます。
1895年にジョンとジョージがオーナーになると、ブレンダー会社のパティソン社と共同経営となります。
ただJ&Gグラント社と手を組んだこの『パティソン社』が最悪な企業でした。
・過激なマーケティング
・モルトウイスキーを担保に会社への融資を募り、社長のパティソン兄弟は豪遊。
・少量のモルトウイスキーを混ぜただけの粗悪なウイスキーを高級ウイスキーの名で売り出し荒稼ぎ。
などなど
1898年パティソン社の株が急落すると、ローン返済ができず倒産。
パティソン社の不正が明るみとなって、パティソン兄弟は詐欺と横領の罪で逮捕されます。
共同経営のパティソン社が倒産したことにより、J&Gグラント社も一度倒産に追い込まれます。
ただJ&Gグラント社は、グレンファークラスの原酒ストックを売却し何とか持ち直すことができました。
この出来事からJ&Gグラント社は二度と外部の人と共同経営などしないと決心。
『Spirit of Independence(独立の精神)』が生まれます。
1968年スコットランドの蒸留所初となる『カスクストリングス』のウイスキーをリリースします。
当時シングルモルト自体が不評。ましてやカスクストリングス(樽出しウイスキー)なんて売れないだろうと思われていたそう。
そういった理由からかわからないですが、
1969年に大手ウイスキー会社がグレンファークラスをブレンデッドウイスキーの原酒に使うことをやめてしまいます。
そこで4代目ジョージはブレンド用の原酒ではなく、シングルモルト用の原酒にさらに力を入れていきます。
以来シングルモルトにこだわります。
さらにボトラーズ(瓶詰業者)へ樽売り一切行わず、最後まで蒸留所が『グレンファークラス』というブランドに責任を持つ姿勢が生まれました。
こうしたこだわりとシングルモルトブームが相まって、グレンファークラスは一躍人気銘柄になっていきます。
今世界的なシングルモルトブームの真只中。
シングルモルトに特にこだわるグレンファークラスはさらに人気になっていくのではないでしょうか!!
グレンファークラス Glenfaclasのこだわりの製法
グレンファークラスの仕込み水は、ベンリネス山の中腹から湧き出る泉。
この泉はベンリネス山を通った雪解け水がピート層で磨かれ、やや酸味を含んだウイスキー造りに最適な水になるそう。
良質な「水」というのはウイスキー造りにおいて大事なポイント。
グレンファークラスは良質な水が豊富に入手できる地域で作られています。
この蒸留所の特出しているところは、ポットスチルと樽といってもいいと思います。
ポットスチルはスペイサイド最大クラスのサイズで、同じスペイサイドのシェリー樽にこだわる『マッカラン』とは対照的。
また、現在では珍しくなってしまった直火加熱で蒸留を行っています。
ここから生まれる力強くトースティーな香りがグレンファークラスの特徴にもなっています。
そしてグレンファークラスは、シェリー樽熟成に特にこだわる蒸留所。
使う樽はファーストフィルからセカンドフィルのオロロソシェリー樽だそうです。
ただマッカランがスパニッシュオークのシェリー樽にこだわりを持っているのに対して、グレンファークラスはアメリカンホワイトオークのシェリー樽も使います。
こうすることで同じシェリー樽でも全然味わいの違った原酒ができます。
グレンファークラスがシェリー樽熟成のウイスキーの中で、特にバランスがいいのはこういった工夫からじゃないかなと思います。
ラインナップ
グランファークラス ヘリテージ
グレンファークラスの年数表記のない(ノンエイジ)タイプのウイスキー。
若々しい荒さはありますが、チョコレートやレーズンのような味わいがお手軽な価格帯で楽しめると思います。
通常シェリーカスクというとどうしても高価格になってしまうものです。
ただ3000円前後でシェリー樽の特徴がしっかりと現れたウイスキーはなかなか楽しめないと思います。
「とりあえずお試しで」とお考えの方にお勧めしたい一本です。
グレンファークラス 10年
「10年」とシリーズの中ではかなり熟成年数短めですが、それ以上と思わせるほど熟成感のあるウイスキーだと思います。
レーズンややや小豆に近いニュアンス、チョコレートのようなフレーバーが楽しめるウイスキー。
羊羹やどら焼きなどの和菓子と合いやすいシングルモルトだと思います。
グレンファークラス 12年
グレンファークラスの中で一番スタンダードなのがこの「12年」。
3000円代のシングルモルトの中で、特にシェリー樽ウイスキーの特徴が現れています。
正直、破格のシングルモルトといってもいいと思います。
レーズンやチョコレート、紅茶のようなニュアンスにやや黒糖のような甘み。
こちらも和菓子と合いやすいですし、醤油味の煮込み料理とも合いやすいウイスキーだと思います!
グレンファークラス 105
グレンファークラスのカスクストリングス(樽出し)タイプのウイスキー。
グレンファークラスの特徴でもある力強さ、シェリー樽の味わいが最もわかりやすいウイスキーかなと思います。
「105」とは105英国プルーフという単位のこと。
100英国プルーフでアルコール度数57.1%なので、グレンファークラス105のアルコール度数は60%となります。
アルコール度数60%もあるので、初めて飲む人にはかなりアルコール感が強く、飲みにくいと思うかもしれません。
ただ、ロックにして楽しむとかなり飲みやすくなり、熟成感が楽しめると思います。
比較的手の出しやすいカスクストリングスタイプのウイスキーなので、樽出しそのままのウイスキーを楽しんでみたい方は、まずこのウイスキーをおすすめします。
蒸留所データ
創業……1836年
創業者……ロバート・へイ
オーナー会社……J&Gグラント社
年間生産能力(100%アルコール換算)……350万ℓ
仕込み水……ベンリネス山中腹の湧き水
ポットスチル……初留釜3基、再留釜3基(ボール型)
生産区分……スペイサイド
コメント
コメント一覧 (3件)
id:sekitoba1007さん>
コメントありがとうございます!
105からのウイスキーデビューはなかなかいいウイスキーから行きましたね!!(笑)
初めて105飲んだ時は僕も衝撃でした!!
id:saanta-bakingさん>
コメントありがとうございます!!
そういわれてみれば……。
確かにすごいですね。。。
[…] グレンファークラス […]