「グレーンウイスキー」とは? 個性が乏しいのは一部だけ!?魅力と特徴・作り方・おすすめの銘柄から解説 

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『グレーンウイスキーは個性が乏しい』

グレーンウイスキーは、モルトウイスキーとブレンドしてブレンデッドウイスキーに使われることがほとんど

そのため、よくこんな意見を聞きます。

確かにモルトウイスキーの方が優れているという見方はあるでしょう。

かといってグレーンウイスキーも決して劣っているわけではありません!!

 

作り方次第で、個性豊かなグレーンウイスキーも作れます。

そして、

「グレーンウイスキーはモルトウイスキーより劣っている」

といっている人にこそぜひ飲んでほしいグレーンウイスキーはたくさんあります!!

 

そこで今回、グレーンウイスキーについてまとめつつ、おすすめのグレーンウイスキーを紹介していこうと思います!!

 

目次

グレーンウイスキーとは?

穀物を原料とした蒸留酒『ウイスキー』。

その中で、大麦麦芽のみ使用したものがモルトウイスキー

それ以外の穀物も使用したものがグレーンウイスキーといいます。

グレーンウイスキーは、モルト以外の穀物も使用したウイスキーです。基本連続式蒸留機という近代的なスチルで蒸留されます。

 

グレーンウイスキーの主な原料は、無発芽の大麦や小麦・トウモロコシ・ライ麦などです。

そして、それらの穀物を大麦麦芽で糖化させて発酵。

基本的には連続式蒸留機で蒸留していきます。

 

グレーンウイスキーのポイント
  • 原料はトウモロコシや未発芽の大麦、小麦、ライ麦など
  • その他の穀物をモルトで糖化させている
  • 基本は連続式蒸留機で蒸留する

 

 

実は、

もしスコットランドでこれらのウイスキーを作ったとしたら、「グレーンウイスキー」の規格に当てはまります

yaffee
厳密には細かい違いがありますが、原料と作り方だけで考えるとグレーンウイスキーです。

 

これらのウイスキーは、スコッチのグレーンウイスキーとは少し異なる製法で作られています。

つまり、グレーンウイスキーは少し製法が変わるだけで、濃い味わいのウイスキーにもなるというわけです。

 

グレーンウイスキーのほとんどは、ブレンデッドウイスキー用に使われます。

一般的なブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキー:グレーンウイスキーが3:7程度。

70%程度はグレーンウイスキーとなります。

 

もしグレーンウイスキーの個性がバーボンのように強かったとしたらどうでしょうか。

モルトウイスキーの個性を損ねてしまい、バランスを崩してしまう恐れがあります。

yaffee

個人的にあるブレンデッドウイスキーがこの感想です。

「薄まったバーボン」といった印象です。

多くのグレーンウイスキーは、モルトの個性を生かすためクリアで個性の少ない味わいに仕上げています
「グレーンウイスキーは、個性が乏しい」のではなく、
「グレーンウイスキーはクリアで個性の少ない味わいに仕上げている」という方が近いかもしれません。

グレーンウイスキーの作り方

「グレーンウイスキーの作り方」を詳しく解説していこうと思います!!

グレーンウイスキーの原料

グレーンウイスキーは、モルト以外の穀物が主原料。

トウモロコシや小麦、未発芽の大麦が使われることが多いです。

 

バーボンウイスキーやアイリッシュポットスチルウイスキーの場合、この原料の個性が重要視されています。

そのため、原料の最低使用比率は法で定められていて、レシピを公開している蒸留所も多いです。

 

ただ日本やスコットランドのグレーンウイスキーでは、主にブレンデッドウイスキーに使われます

そのため、「入手できる原料の単価」が重要。

僕の知る限りでは、レシピを公開している蒸留所はありません。

 

ただ、モルト以外の穀物だけではでんぷんを糖に変える「糖化」という作業ができません

必ず穀物のでんぷんを糖に変えるための『糖化材』としてモルトが必要となってきます。

 

およそ全体量の10~20%程度です。

この時、「六条大麦」という普段モルトウイスキーでは使われることの少ない大麦の麦芽がよく使われます。

 

その理由は、「酵素力が強いから」

六条大麦はたんぱく質が多く、酵素力が強い特性があります。

でんぷんやエキス分が少ないので、モルトウイスキーに使われることは少ないですが、
グレーンウイスキーやバーボンなどの糖化には、酵素力の強い「六条大麦」が使われます。

 

yaffee
グレーンウイスキーを実際に買ってみて「原材料」の表記を見てみると……
「グレーン、モルト」と書いてあります。これは、原料にモルト(麦芽)を使っているからです。
「モルトウイスキー」という意味ではないです。
そして穀物を粉砕。
(中には粉砕しない蒸留所もあるそうです。)
そして「クッキング」という作業を行います。
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「クッキング」・「糖化」

「クッキング」とは……

大雑把に説明すると「温水を加え圧力釜で煮る」という作業。
トウモロコシや未発芽の麦はそのままの状態では、
「糖化」にかなりの時間がかかってしまったり、
「糖化」できなかったり……

圧力をかけて高温で処理することで、細胞壁などが壊れるので「溶けの良い」状態になります。
この「溶けの良い」状態にすることが、「クッキング」のポイントです!!

「クッキング」作業を終えた穀物のお粥のような状態のものを60~70℃まで冷却します。
yaffee

これは大麦麦芽の酵素の力を失ってしまわないようにするためです。

酵素は、高温では失活してしまいます。
そうなると糖化できなくなってしまうので、一度酵素が働きやすい温度まで冷まさないといけません。

そして糖化させていき、糖化液を作っていきます。
この時モルトウイスキーの麦汁のようにろ過を行わないところが多いそうです。
出来上がった糖化液は、酵母が死滅しない温度まで冷却します。
実は、知多蒸留所ではこの「クッキング」から「糖化」そして「冷却」までの流れは長いパイプ状で連続的に行われる仕組みとなっていました
かなり蒸留所の作業効率はもちろん、エネルギー効率も考えられた設備です。

グレーンウイスキーの作り方 「発酵」

グレーンウイスキーは、モルトウイスキーに比べてクリアな味わいを求められることが多いです。
そのためクリアでニュートラルな味わいとなりやすい酵母が選ばれます
ただ、バーボンなど個性が必要なウイスキーでは、様々な香味を生む酵母を使い分けています
また、スコットランドでは蒸留所同士で原酒交換が行われるのに対して、日本では原酒交換が行われることは少ないです。
そうなると、「味わいの深み」を出すために一つの蒸留所で原酒を作り分ける必要があるそう
そのため、ジャパニーズウイスキーの蒸留所ではグレーンウイスキーでも酵母にこだわっているところは多いです。
知多蒸留所も富士御殿場蒸留所のこだわりは強かったです。
yaffee
流石は、キリンが造っているウイスキーだなと思いました。
ビールの知識や経験を生かして、多彩な酵母を使い分けています!!
多くのグレーンウイスキーはニュートラルなあじわいに重きを置いているので、
平均的にモルトウイスキーよりアルコール度数がやや高いぐらいで発酵させていきます。

グレーンウイスキーの作り方 「蒸留」

知多蒸留所 連続式蒸留機

スコットランドの「グレーンウイスキー」の大きな特徴は連続式蒸留機を使うこと!!
連続式蒸留機とは、発酵モロミを連続的に投下し蒸留液を得ることができる近代的な蒸留機のことです。
数十段もの棚がある巨大な塔状の装置で、各段で約ポットスチル1回分の蒸留ができるような構造になっています。
蒸留は回数が増えるほど、より純粋なアルコールに近くなります。
連続式蒸留機で蒸留すると棚の回数分蒸留できるので、
単純により純粋なアルコールに近い留液を得ることができるということ。
アルコール度数を高く蒸留すると、原料由来のフレーバーが少ないグレーンウイスキーを造れますし、
反対に、アルコール度数を低く蒸留すれば、原料由来のフレーバーを残すことができます
また連続式蒸留機はどこの棚からでも留液を取り出すことができる構造となっているそう。
極端な話をすると連続式蒸留機で2段2回蒸留ということの可能だそうです!!
また連続式蒸留機でも蒸留機の性能で大きく味わいが変わります
知多蒸留所には、アロスパス式というタイプの蒸留機があります。
抽出塔という蒸留機がついていて、通常の蒸留では分離することのできない『フーゼル油』という成分を分離できることが特徴。
この『フーゼル油』は原料の個性や香りの成分でもあります。
少量なら深みを与える香り成分ですが、多いと「オフフレーバー」です。
この成分を取り除くと、ライトでクリアなアルコールを得ることができます!!
ただ、この抽出塔を使わないで蒸留することも可能です。
抽出塔を使わないで蒸留するとボディーのしっかりとした原酒を得ることができます
さらにバーボンでは、
初めて特許を取得した連続式蒸留機「コフィー式スチル」を大きく改良した連続式蒸留機を採用しているところが多いです。
この蒸留機は、もともと抽出塔がついていません。
より原料由来のフレーバーが残りやすいです。
yaffee
ニッカの蒸留所では「カフェ式」と呼ばれているコフィー式スチルが使われてきますね。
グレーンウイスキーは、モルトウイスキーより『蒸留機』の違いがよりわかりやすく表れるかもしれないです!

グレーンウイスキー 「貯蔵・熟成」

最後にできた原酒を貯蔵・熟成していきます。
この時、ブレンデッド用に使う多くのグレーンウイスキーは「プレーンカスク」という樽を使用することが多いです。

プレーンカスクとは……

3~4回ほど熟成に使われ、樽材成分がほぼ出終わった状態の樽のこと
樽の個性が出にくいので、個性の少ない原酒を作るときに用いられます。

プレーンカスクを使用して造られたグレーンウイスキーは、個性が少なくクリアな味わいになりやすいです。
そのためブレンド用として重宝されます。
ただもちろん、個性の強く出る樽で寝かせれば樽由来の個性は強くなります。
そういう意味でもバーボンでは新樽が用いられますし、
知多蒸留所では「ワイン樽熟成」の知多がアクセントに使われています
このようにグレーンウイスキーの作り方を詳しく見てみると、
グレーンウイスキーは個性の乏しいウイスキーというより
グレーンウイスキーは個性が少なくクリアな味わいになるように、
作られることが多いウイスキー
といえると思います!!

麦芽100%でもグレーンウイスキー!?

ちょっとややこしいのですが、100%モルト(大麦麦芽)で作ったとしてもグレーンウイスキ―と呼ばれるときがあります。
それは、連続式蒸留機で蒸留された場合です。
モルト100%なのにモルトウイスキーとは呼べない有名な銘柄はニッカのカフェモルト
モルトウイスキーは伝統的にポットスチルで蒸留されます。
そして、ポットスチル以外で蒸留してしまうとモルトウイスキーと呼ぶことはできません
それはポットスチルでの蒸留でないと味わいが大きく変わってしまうからです。
そういった連続式蒸留機で蒸留されたモルト100%のウイスキーは、「グレーンウイスキー」となります。

おすすめのグレーンウイスキー

それでは、僕がおすすめしたいグレーンウイスキーを紹介していこうと思います!!

低価格帯(~3000円台) ライトに楽しみたいおすすめのグレーンウイスキー

シングルグレーンといえばコレ!

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モルト100%の特殊なグレーンウイスキー

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スコッチグレーンウイスキーならコレ!

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中価格帯(4000円~6000円台) まったり楽しみたいおすすめのグレーンウイスキー

 

濃厚でヘビーなグレーン

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国内外にファンが多いグレーンウイスキ―!

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アイリッシュの飲みやすさと複雑みがあるグレーン

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最後に……

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回のお話いかがだったでしょうか。

「グレーンウイスキー」というとウイスキーの中で最も偏見があると思います。

実際自分も一時期グレーンウイスキーを下に見ていました。

 

今回長期熟成物のグレーンウイスキーの紹介は省いてしまいましたが、
そういった長期熟成物のグレーンウイスキーはすっごくおいしいです!!

芳醇さとバランスのいい味わいが特に……

yaffee
本当は、長期熟成物の紹介したかったですが、限定リリースしかなく一期一会のウイスキーばかりです。
こういったウイスキーはぜひBARで注文してみてください!!「感動」に出会えると思います!

 

個人的にはモルトウイスキーが好きですが、今後のグレーンウイスキーに可能性を感じています。

美味しいグレーンウイスキーが広まっていき、様々なところでグレーンウイスキーがリリースされるようになってほしいと思います。

そうしたらよりウイスキーの楽しみ方が広まっていくのではないでしょうか?

 

そんなことを思いつつ今日もウイスキーを嗜んでいこうと思います。

 

それでは良いウイスキーライフを!!

また次回もよろしくお願いします!!

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この記事を書いた人

香りづけに使用したことからウイスキーにどっぷり嵌ってしまった料理人です。
調理師の仕事をしつつ、ウイスキーと料理の魅力を紹介するためにブログ・メディアを作成。
様々な視点からウイスキーを解説しています。

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