アイリッシュウイスキーとは?
アイリッシュウイスキーとは、アイルランドで作られているウイスキーのことです。
アイルランドでは古くからウイスキーが作られています。
スコッチウイスキーより歴史が古いという説もあるほどです。
アイリッシュウイスキーは、世界5大ウイスキーの一つにも数えられています。
有名銘柄としては……
などがあります。
アイリッシュウイスキーの紹介をしていく前に、アイルランドについて少しまとめようと思います。
アイルランドとは?
アイルランドとは、グレートブリテン島の西に位置するアイルランド島にある国のことです。
アイルランド島には現在「アイルランド共和国」と「北アイルランド」の2つの国があります。
アイルランド共和国は共和制の独立国家で、1922年にアイルランド自由国としてイギリスから独立しました。
【アイルランド共和国】
面積 | 約73000㎢(スコットランドより若干小さいぐらいの面積) |
---|---|
人口 | 約470万人 |
首都 | ダブリン(人口約137万人) |
宗教 | カトリック約8割 |
元首 | M・D・ヒンギス大統領 |
通貨 | ユーロ |
国花 | シャムロック |
守護聖人 | 聖パトリック |
対して北アイルランドは、立憲君主制の国で英国(グレートブリテンおよび北アイルランド王国)の一部です。
1922年にアイルランドがイギリスから独立した際、独立しなかった地域が北アイルランドとして残りました。
【北アイルランド】
面積 | 約14100㎢(一番小さい県の香川県より少し小さい面積) |
---|---|
人口 | 約188万人 |
首都 | ベルファスト(人口約34万人) |
宗教 | プロテスタントとカトリックほぼ同数 |
元首 | エリザベス女王 |
通貨 | ポンド |
国花 | シャムロック |
守護聖人 | 聖パトリック |
アイリッシュウイスキーの定義
- 穀物類を原料とすること
- 麦芽に含まれる酵素で糖化させること
- 酵母の働きによって発酵させること
- 蒸留液から香りと味を引き出せるアルコール度数94.8%以下で蒸留すること
- 容量700ℓ以下の木製の樽に詰めること
- アイルランド、または北アイルランドの倉庫で3年間以上熟成させること。
アイリッシュウイスキーはアイルランド共和国・北アイルランドどちらでも作ることは可能です!!
また、アイルランド共和国、北アイルランド間で熟成中の原酒を移動させてることも可能。
その際、熟成期間は累計で計算されます。
また、スコッチウイスキーでは熟成で使える樽はオーク製の樽のみでしたが、 アイリッシュウイスキーでは木製であれば許可されています。
現に桜や栗の樽で熟成させている蒸留所もあるそうです。
樽以外は、ほとんどスコッチウイスキーの定義をあまり変わりません。
アイリッシュウイスキーの種類
アイリッシュウイスキーには4つの種類があります。
- モルトウイスキー
- アイリッシュポットスチルウイスキー
- グレーンウイスキー
- ブレンデッドウイスキー
モルトウイスキー
アイリッシュのモルトウイスキーはほとんどスコッチは同じです。
スコッチウイスキーと違うところは……
- アイリッシュではオーク製の樽以外でも熟成が可能なこと
- スコッチが2回蒸留が多いのに対してアイリッシュでは3回蒸留が多いこと
- ピートを使ったウイスキーは少ないこと
です 。
飲みやすくスムースで穀物系のフレーバーを感じるものが多いことが特徴。
スコッチのローランドモルトに近い銘柄が多いです。
アイリッシュポットスチルウイスキー
ポットスチルウイスキーは、アイルランド独特のウイスキー!!
大麦麦芽のほかに未発芽の大麦や小麦・ライ麦・カラスムギなども使い、ポットスチル(単式蒸留器)で蒸留 します。
グレーンウイスキーと区別するため、
大麦麦芽と未発芽の大麦がそれぞれ30%以上、それ以外の穀物は5%未満
と原料の比率が決められています。
ポットスチルウイスキーは、モルトウイスキーに比べてほかの穀物が入る分ややスパイシーでオイリーな特徴が現れるといわれています。
アイリッシュモルトウイスキーに比べると少しクセがあるかもしれませんが、それがポットスチルウイスキーの奥深い魅力です。
しかしこの規定では、最も重要な大麦やモルト以外の穀物の味が出にくいため、マイクロ蒸留所から批判的な意見も出ています。
グレーンウイスキー
アイリッシュのグレーンウイスキーは基本は連続式蒸留機で蒸留されますが、連続式蒸留機でも単式蒸留器でもどちらを使っても大丈夫です。
また単式蒸留器を使った場合ポットスチルウイスキーと区別できないため、大麦麦芽の使用は30%未満 と決められています。
スコッチグレーンウイスキ―同様に、アイリッシュグレーンウイスキーも基本はブレンデッドウイスキー用。
グレーンウイスキ―単体でリリースされることは少ないです。
アイリッシュブレンデッドウイスキー
アイリッシュのブレンデッドウイスキーの場合、上記のウイスキー3つのうちどれか2つ以上を混ぜればブレンデッドウイスキーになります。
スコッチの場合……
モルトウイスキー+グレーンウイスキーのパターンしかありませんでした。
ところが、アイリッシュウイスキーは
- モルトウイスキー+グレーンウイスキー
- ポットスチルウイスキー+グレーンウイスキー
- モルトウイスキー+ポットスチルウイスキー
- モルトウイスキー+グレーンウイスキー+ポットスチルウイスキー
の4パターンで作ることができます。
そのためスコッチよりブレンデッドウイスキーの組み合わせの幅が広いです
もしかしたらアイリッシュブレンデッドウイスキーは、スコッチブレンデッドウイスキーより可能性があるのかもしれません。
アイリッシュウイスキーの製造
基本的には、モルトウイスキーもグレーンウイスキーもスコッチウイスキーと同じような手順、製造方法で造られます。
1つ違うところはポットスチルウイスキーがあること。
そこでポットスチルウイスキーの製造方法を簡単にまとめようと思います。
ポットスチルウイスキーで使われる穀物は、モルトより圧倒的に硬い です。
モルトウイスキーで使われるモルトミルでは、うまく粉砕できないそう。
そのため、昔は石臼で粉砕を行っていました。
現在では、ハンマーミルという強力な粉砕機を使うことが多いです。
また、モルト100%ではないため、糖化に時間がかかります 。
その長時間の糖化が独特のオイリーさを生んでいるといわれています。
アイリッシュウイスキーは3回蒸留で作られることが多いです。
蒸留回数が多いと高いアルコール度数で蒸留されるため、ライトな味わいで熟成の早い原酒 となる傾向があります。
またポットスチルウイスキーに限らず、アイリッシュウイスキーの熟成方法はパラダイス式という樽を縦置きがメインです。
縦置きの樽をパレット板に並べて熟成させています 。
この方式は、フォークリフトなどで、パレット板単位ごと移動できます。
そのため、効率がかなり良く省スペースで熟成できます。
また熟成自体もスコッチに多い横置きで熟成させる方式より早く熟成が進む傾向があります。
ただその反面、樽からの液漏れが生じやすいというのが欠点です
アイリッシュウイスキーの味わいの特徴とは?
アイリッシュウイスキーはライトな飲みやすいタイプが多いです。
スコッチウイスキーのようにピートを使うことが少なく、ノンピートのウイスキーがほとんど。
中にはクーリー蒸留所の「カネマラ」のように例外的なピートの効いた2回蒸留のウイスキーもありますが、基本はノンピートでライトな飲みやすいウイスキーとなっています。
また、アイリッシュブレンデッドウイスキーには、ポットスチルウイスキーが使われていることも多いので、穀物感やオイリーな印象を感じることもあります。
もし、ブラインドテイスティング(銘柄を隠して飲むテイスティング)の場合……
- ライトな酒質
- 穀物のようなニュアンス、オイリーなニュアンス
- ピート香が少ない
といったところをヒントにしてみるといいかもしれません!
特徴がわかりやすい銘柄
ジャンル | ブレンデッドウイスキー |
---|---|
生産国 | アイルランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽 シェリー樽 スタウトビール樽 |
熟成年数 | ‐ |
ジェムソン スタウトエディションは、スタウトビール(黒ビール)の樽でフィニッシュさせたアイリッシュブレンデッドウイスキーです。
ジェムソンの熟成樽を地元クラフトビール醸造所「Eight D Brewing」で作られたスタウトビールの熟成に使用。
その樽で再びジェムソンを追加熟成させています。
原酒由来の爽やかでフルーティな香りにチョコレートやナッツのような甘みや香ばしさが特徴。
スタウトビールは、アイルランドで有名なビアスタイルの一つで、自国にこだわるジェムソンらしい一本です。
- 軽やかな味わいの中に、ややリッチな重厚感がある
- リーズナブルな価格帯
- モルト比率が80%とかなり高め
- 非の打ち所がない
- 軽やかで爽やかな味わいとスモーキーさ
- ストレートやハイボールに最適なさわやかさ
- 12年物はネット以外で手に入らないことが多い
ジャンル | ブレンデッドウイスキー |
---|---|
生産国 | アイルランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽 シェリー樽 マルサラ樽 |
熟成年数 | ‐ |
ロイヤルオーク蒸留所で作られているブレンデッドウイスキー「バスカー」。
アイリッシュのウイスキー原酒3種類(モルト、グレーン、ポットスチル)のうち、モルト原酒とポットスチル原酒を一般的なアイリッシュブレンデッドウイスキーより多く使用。
贅沢にバーボン樽、シェリー樽、マルサラ(老舗トップブランドの「フローリオ」)樽で熟成させた原酒をブレンドしています。
トロピカルフルーツのような華やかな香りにやわらかな甘み、トロっとした口当たりが特徴。
リーズナブルな価格のスタンダードアイリッシュブレンデッドですが、ワンランク上の味わいがお楽しみいただけます。
- 奥深いアイリッシュウイスキー
- バランスがいい
- 少量生産のため、ネット以外だと手に入りにくい
最後に……
ウイスキーの中でも特に大きな挫折を味わうこととなったアイリッシュウイスキー。
特に『アイリッシュウイスキー』=まずい、味がうすいといった印象はいまだに残っていると思います。
ただ、アイリッシュウイスキーにはアイリッシュウイスキーの良さがあり、うまいです!!
フレーバーが豊富なアイリッシュもたくさんあります。
とある日本に来たアイルランド人が言っていましたが、
「アイリッシュウイスキーの綴りは「Whiskey」と「e」が入るけど、その理由を知っていますか?『良い(e)ウイスキー』だからですよ」
日本語を使ったダジャレなので、本当の意味は違います。(笑)
ただ先入観にとらわれず、アイリッシュウイスキーもたのしんでみてはいかがでしょうか??
それでは良いウイスキーライフを!!
また次回もよろしくお願いします!!
コメント
コメント一覧 (3件)
sucasamacasaさん>この画像いいですよね。拾い画像ですが、ほかの記事も読んでもらえてウイスキーに興味を持ってもらえたらうれしいです。
zarugawaさん>いつもありがとうございます。ウイスキーに限らずお酒は歴史と大きく関係してきますので、今後どんどん記事にしていこうと思います。
Oni-Taijiさん>アイリッシュウイスキーってあやふやといいますか、認知度はまだ低いと思います。ただ結構おいしいウイスキーはいっぱいありますのでぜひ試してみてください!!