「響]、「山崎」、「白州」、「余市」、「宮城狭」、「イチローズモルト」……
ジャパニーズウイスキーには世界的に評価されている銘柄が多く、急激な供給増により品薄状態が続いています。
その結果、どんどん値上がり。低い熟成年数のボトルでも高価なボトルが多く、ジャパニーズウイスキーは「コスパが悪い」という印象をお持ちではありませんか?
ところが、ウイスキープロフェッショナルとして1000円台で十分おすすめできる国産ウイスキーもあります。
今回は、1000円台の日本のウイスキーの中で僕が心の底からおすすめしたい銘柄を厳選しました。
はじめに……
冒頭でも書いたように、国産ウイスキーは今「お高い」イメージが強いと思います。
また安いものだと、海外では「ウイスキー」と呼べない「スピリッツ」が入っているものも……。
数年前には、「モルト、グレーン10%以上 スピリッツ90%未満」と書いているものが「ジャパニーズウイスキー」として売られていました。
ジャパニーズウイスキーとしては販売できませんが、「ウイスキー」としては販売できます。
いまだに日本ではこういった「ウイスキー?」が作れてしまうことも現状です。
そして、このように低価格帯のウイスキーが今日までの日本国内のウイスキー市場をけん引してきた存在でもあります。
1965年、1000円台のブラックニッカが誕生すると「1000円ウイスキー戦争」と呼ばれる国内ウイスキーメーカーの価格競争が起きました。
さらに、酒税法の改正により増税で1000円台のウイスキーがなくなってしまったときには、ウイスキー低迷期が訪れました。
このように、国内のウイスキー市場は「1000円台」のボトルに左右されてきたともいえるのです。
そしてその中にはグレーンとモルトのみの本格的でコスパのいいボトルもあります。
今回は1000円台の日本のウイスキーの中で。おすすめを厳選させていただきました
ぜひ日々の晩酌のお供にいかがでしょうか??
1000円台のおすすめ!日本のウイスキー 9選
サントリー 角瓶
9/10
言わずと知れたロングヒットジャパニーズウイスキー「サントリー 角瓶」!!
世界売り上げランキング(2020年度:売上ケース数)では、「デュワーズ」、「グランツ」、「シーバスリーガル」を抑えての18位でした。
ジャパニーズウイスキーだけでいったら断トツのNo.1 です。
ジャパニーズウイスキーのうち、2番目(23位)の「ブラックニッカ クリア」との差は180万ケースとなっています。
日本国内だけでなく、世界的にも認められている日本のウイスキーで、スピリッツ添加などもしていないボトルとなっています。
ハイボールや水割りで一気に栄えるウイスキーですが、しっかり味わうとストレートでも楽しめる一本です。
1000円台の国産ウイスキーの中では、断トツにいろいろな飲み方が楽しめるウイスキーだと思います。
- 繊細なバランスで深みがある
- ハイボールからストレートまで飲み方を選ばない
- 馴染みのボトルすぎて、すごさが認知されていない
サントリー ホワイト
8/10
本格的な国産ウイスキー第一号がこの「サントリー ホワイト」。
「白札」、「シロ」の愛称で呼ばれているこのウイスキーの開発には、サントリーの創始者「鳥井信治郎」とのちにニッカの創業者となる「竹鶴政孝」が携わっています。
日本初となる本格ウイスキーを目指し、当時は「サントリーウイスキー」の名でリリースしました。
ところが、スモーキーなウイスキーは一般の方には受け入れられず当時は「煙くさい」、「焦げ臭い」と不評でした。
現在ではややマイルドに改良されているそうですが、スモーキーなウイスキーが市場に理解されるまでは時間が必要だったのかもしれません。
今では、ほどよいスモーキーさと1000円台というコスパの良さが、スモーキー入門ボトルとしておすすめしやすい一本となっています。
- リーズナブルな価格帯ながら、スモーキーがフレーバーも楽しめる
- はじめてのスモーキーなウイスキーにはおすすめの銘柄
- ややクセがあり、ビギナー向けとは言い難い
ブラックニッカ リッチブレンド
9/10
「オトナを、ゆっくり、楽しもう。」のキャッチコピー。
時間をかけてゆっくり楽しむウイスキーとして誕生したのがこの「ブラックニッカ リッチブレンド」
フルーティな味わいにゆっくりまったりと伸びる甘味。
1000円台のウイスキーでは、断トツにフルーティで甘いです!
実は「ブラックニッカ リッチブレンド」には、シェリー樽熟成のモルト原酒と「カフェグレーン」がブレンドされているそう。
シェリー樽も、甘く深い味わいになりやすい「クリーム」というシェリーの熟成に使われていたものと濃厚な甘さが特徴の「ペドロヒメネス」というシェリーの熟成に使われていたものが使われているそう。
その2つのシェリー樽で5~8年ほど熟成させたモルト原酒がキーモルト。
そしてカラメルのような香ばしく甘い「カフェグレーン」でまろやかな味わいと穀物の優しい甘みを演出しています!!
ストレートや「注いでから30秒置いたロック」が最も華やかかつ優しい香りが広がります!!
ジャンル | ブレンデッドウイスキー |
---|---|
生産国 | 日本 |
アルコール度数 | 40% |
樽 | シェリー樽主体 |
熟成年数 | ‐ |
ニッカのモルトウイスキーとカフェグレーンがブレンドされたボトル。
リッチブレンドは宮城峡のフルーティなモルト原酒の比率が多く、中でもシェリー樽で熟成された原酒を中心に使用しています。
ライトボディの中に洋梨や青リンゴのような甘いフレーバー、優しい甘みとリッチなコクが特徴。
リーズナブルな価格帯ながら、味わい深さがお楽しみいただけます。
ブラックニッカ ディープブレンド
9/10
深く、甘い香りとビターな余韻に浸らせてくれるウイスキー。
「深い夜の晩酌」のために誕生したブレンデッドウイスキーで、この価格帯としては珍しい45%ものアルコール度数があります。
バニラやウッティなニュアンス。甘やかな香りに、カカオのようなビターな余韻。
新樽を使用したモルト原酒にカフェグレーンが使用されています。
- 1000円台なのに高アルコール度数で、深みがある
- 深い夜の晩酌に最適!
- 高アルコール度数とソルティさが飲みなれていないと気になってしまうかも
ハイニッカ
9/10
「高品質なものをカジュアルに提供する。」
そんな竹鶴政孝の思いを表現するかのように誕生したのが「ハイニッカ」!!
晩年の竹鶴が愛飲していたボトルで、やわらかい口当たりと優しい穀物の甘み。そしてどことなくすっとなじむ。
バランスがよく、ほのかなスモーキーフレーバーが後を引きます!
ただ余韻のキレがよく、ストレートでも美味いです。
- クリアながら奥深さのある
- リーズナブル
- 最近、ブラックニッカの奥に隠れてしまっている
マルス ツインアルプス
7/10
信州にある信州マルス蒸留所が造っているブレンデッドウイスキー!!
この蒸留所がある「中央アルプス」と「南アルプス」の雄大さをイメージしたウイスキーだそう。
マルス独特の甘みがしっかり効いた味わいが1000円台の「ツインアルプス」にもよく表れています。
バニラや焼き菓子のような甘みニュアンスと完熟フルーツのような味わいが特徴!
豊かで芳醇な香りにバランスのいい味わい。
ロックや水割りにするとより華やぐと思います!!
- 深みがありつつも、飲みやすい
- ハイボールからストレートまで飲み方を選ばない
- キレのある余韻がやや物足りなさを感じてしまう
あかし ホワイトオーク
7/10
兵庫県明石市で造られているブレンデッドウイスキー。
英国産麦芽を使用したスコッチスタイルのウイスキーを造っています。
会社自体の創業は古く1888年設立で、実は日本初の本格ウイスキー蒸留所「山崎蒸留所」よりも前、1919年にウイスキー製造免許を取得しています。
華やかなモルトも香りに辛口淡麗な味わい。
ハイボールにすると親しみやすく楽しめると思います。
- 辛口で爽快な印象
- ドライなため、好みがわかれる
- 《アロマ》
-
木材の香りに穀物、レモンの軽い印象
- 《フレーバー》
-
淡麗で辛口。ほのかにバニラでライトな味わい
- 《フィニッシュ》
-
短くキレのある余韻
キリンウイスキー 「陸」
8/10
キリンの低価格帯のブレンデッドウイスキーです。
キリンが持っている「富士御殿場蒸留所」は特に多彩なグレーンウイスキーとモルトウイスキーを造っている蒸留所。
スコッチスタイルのウイスキーだけでなく、バーボンやカナディアンの技術も踏襲した原酒も作っています。
深い味わいが楽しめますが、全体のバランスはライト。
- クリアだが、高アルコール度数による厚みのある
- 軽快
- ライトボディの高アルコール度数のため、ストレートでは飲みにくい
最後に……
私自身も国産ウイスキーは楽しみたいけどなかなか手が出しにくいです。
低価格帯は「うーん」って思ってしまうウイスキーが多く、中価格帯のおいしいウイスキーはどんどん値上がりしてしまう。。。
ただし、今日本中で新しいクラフト蒸留所ができています。
10年後、もしかしたらスコッチのように様々な蒸留所から親しみやすい価格帯のウイスキーがリリースされたり、ブレンド専門に行う業者が様々なジャパニーズウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーをリリースしたりするもしれません。