本日もお越し頂きありがとうございます。
ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のお話は
『富士御殿場蒸留所 見学レビュー!!』
です!!
富士御殿場蒸留所について
富士御殿場蒸留所最寄り駅は新宿から2時間ほどの御殿場駅。
そこから車(タクシー)で約15分ほどの交通の便の良いところにあります。
通常見学の場合、直通のシャトルバスもあるため行きやすい蒸留所の一つかなと思います。
見学コースのツアー(工場見学60分、有料試飲20分:20歳以上は500円、20歳未満無料)があり、都内からの行きやすい見学できる蒸留所です。
またこの蒸留所は交通の便の良さだけではなく、周囲は森林が豊か。
山の気候のため湿気が高く気温が変わりやすいそうです。
また、蒸留所から20kmほどの距離に富士山からの湧き水が湧き出ています。
その湧き水は、富士山に降り積もった雪が富士山の地層で数十年かけて磨かれ澄み切った水。
そのまま加熱処理や殺菌処理をしなくても、仕込み水として使えるミネラルウォーターだそうです。
スコットランドや日本でも川や泉、湖の水など地表水を仕込み水とするところが多いです。
ただ地表水の場合、水質を一度調整する必要があります。
またアメリカのライムストーンウォーターは、そのままでは仕込み水に使えないものが多いそうです。
ウイスキーにとって命となる“水”が豊富で、気温差が広く湿潤な気候は熟成にも恵まれたウイスキーづくりに適したところに富士御殿場蒸留所はあると思います。
そのうえで都内からのアクセスにも、優れた蒸留所ではないでしょうか。
製造について
まず、モルトウイスキーに使用する麦芽は、基本ノンピートまたは、かなりライトなピートのみだそうです。
発酵槽はステンレスタンクのみ(見学した当時)で、案内して頂いたブレンダーの方が言うには、
「ステンレスタンクでも麦芽由来の乳酸菌発酵がおきる。
ほかの菌類の生存している木桶よりステンレスのほうがコントロールしやすいため、木桶より様々な酵母に対応でき、様々なもろみを作り分けることができる」
だそうです。
多種の酵母の中には、ビール酵母、ディスティラリー酵母以外に、バーボンウイスキーのフォアローゼスのオリジナル酵母も使用しているそうです。
蒸留段階では、しっかりとした味わい・フレーバーを感じながらライトボディというモルトウイスキーを目指すため、
初留釜は還流の起きやすいランタン型でラインアームが上向きとなっていました。
関連記事⇨ポットスチル?連続式蒸留機?ウイスキーの要「蒸留」について!!
また富士御殿場蒸留所は、グレーンウイスキーの製造に、特にこだわっています。
スコットランドのシーバスブラザーズ社由来のマルチカラムからライトな原酒。
カナダ・アメリカのシーグラム社由来のビアスチルとセットで稼働する巨大な単式蒸留器ダブラーからフルボディな原酒。
同じくセットで稼働する精留塔の役割のケトルからミディアムな原酒。
などなど
この3種類の蒸留機で3種類以上のグレーンを作り分ける世界的に見てもかなり稀なグレーンウイスキーの蒸留設備です。
熟成庫は、18段ほどの高層ラック式。
17mぐらいの高さに積んでありました。
その点はバーボンウイスキーの技術を踏襲しているようです。
しかし、富士御殿場蒸留所は、上に積まれた樽と下の樽はあえて入れ替えないそう。
「上には上の、下には下のそれぞれの個性・良さがあり、それを入れ替えてしまうのは、もったいない」という考えだそうです。
そして富士御殿場蒸留所では、アルコール度数50%前後で樽詰めされています。
多くの蒸留所の樽詰めアルコール度数63%前後、最近では蒸留後加水しないままの70%前後でも樽詰めされていることが多いです。
その中で富士御殿場蒸留所が50%で樽詰めされるのは、樽の木の成分には水溶性の成分が多く、高いアルコール度数の中では抽出されにくいのだとか。
その考えのもと、研究を重ねてたどり着いたバランスのいい度数が50%だそうです。
関連記事⇨『樽・カスク(cask)』とは? ウイスキーの味の決め手となる樽熟成について大解説!!
それを『富士山麓シグネチャーブレンド』のような製品にするとき、アルコール度数の減った樽と増えた樽を掛け合わせることでなるべく加水せず、度数50%にしているそうです。
さらに冷却濾過を行っていない状態で製品化します。
関連記事⇨冷却ろ過を行わないこだわり!ノンチルフィルタードでおすすめのウイスキー
ウイスキーは、長期保管や低温時に白濁したり、綿状の物質が形成されたりすることがあります。
その成分の中には、ウイスキーの香味に関係する成分も多いですが、製品としてよろしくないことから冷却濾過を行い取り除かれます。
しかし、富士山麓のような50%以上のウイスキーでは、それらの成分がアルコールに溶けたまま低温下でも白濁や綿状の物質を形成することがないです。
そのため、樽の成分をしっかり抽出したウイスキー本来の味を余すことなく堪能できるそうです。
このように、発酵・蒸留・熟成・瓶詰、一つ一つとってみても様々なこだわりがつめられて、一本のウイスキーが作られているのだと感じました。
試飲
今回試飲させていただいた原酒は上の写真の5種とこの原酒をメインにブレンドされた『富士山麓シグネチャーブレンド』。
モルト原酒であるフルーティタイプとモルティタイプは酵母が違うだけだそう!!
[sitecard subtitle=酵母の違いについて詳しくは…… url=https://www.yaffee.work/entry/yeast-whisky target=]
フルーティタイプはグレンフィディックやグレンリベットのようなスペイサイドに近く、
モルティタイプはハイランドモルトのような力強さを感じました。
グレーン原酒の方は、蒸留機違いの3タイプを試飲させていただきました。
ミディアムタイプはフォアローゼズ酵母のケトルを使用したもの。
バーボンに近いメープルシロップ、バニラのニュアンスがありますが、上品さもある面白い原酒でした。
ヘビータイプはキリン独自の酵母でダブラーを使用したもの。
こちらはカラメル感、黒糖のような甘みで、加水するとさらに顕著になる気がします。
最後のライトタイプはミディアムタイプとは違うキリン独自酵母でマルチカラムを使用したもの。
こちらはすっきりとしたあじわいで、加水すると少しスパイシーさが感じられました。
製品のシグネチャーブレンドを試飲して気付かされるが、メインとなっているのはグレーン原酒。
多くのブレンデットウイスキーがモルト原酒から味を構成し、グレーン原酒でのばす考えが多いです。
ところが富士御殿場蒸留所ではグレーン原酒から味を構成して、
モルト原酒で膨らみを持たせるという考えのもと作られているそうです。
それができるのは、様々なグレーン原酒を製造でき、“シングルグレーン25年”のようなハイクオリティのグレーンウイスキーが作れる技術のたまものだと思います。
まとめ
今回の見学で富士御殿場蒸留所が本場の伝統技法をしっかり学び、しっかりと周到。
そのうえで自社の経験・研究から独自の考えをもち、独特の製法を確立していることがわかりました。
そして、他にないウイスキーが世界に認められるのだと、現場の空気で少しでも知ることができたと思います。
ほかの日本の蒸留所は、スコットランドのモルトウイスキーの技術を主体にしているところが多いです。
その中で富士御殿場蒸留所はスコットランドのモルトウイスキーの技術だけでなく、アメリカン・カナディアンの技術をもちいて、グレーンウイスキーに重きを置いていました。これは世界的に見ても珍しく、唯一無二の蒸留所だと思います。
富士御殿場蒸留所のような蒸留所こそ世界の技術を集約し、独自を築いたメイドインジャパンの蒸留所じゃないかなと思います。
富士御殿場蒸留所のウイスキー
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コメント
コメント一覧 (1件)
ここまでマニアックな工場見学があったんですね( ´∀`)
ウイスキー工場に見学に行った時は、ひどい二日酔いで、あれはもったいないことをしたと(^^;;
ビール会社に勤めてる人が、ビールの味は酵母だけで決まると豪語してました(^^;;
キリンだろうがアサヒだろうが、サッポロの酵母使えば、ぜーんぶ黒ラベルになっちゃうようです((((;゚Д゚)))))))