好きか嫌いか!アイラモルトの王様『ラフロイグ Laphroaig』蒸留所!そのストーリーと特徴を解説

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本日もお越し頂きありがとうございます!!

ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o
 

 

今回のお話は、

「ラフロイグ Laphroaig 蒸留所」

についてです!!

 

 

 

「ラフロイグ Laphroaig」は、強烈な癖とその奥にいる甘みが特徴

あまりにも癖が強いので、好きか嫌いかはっきりと分かれるアイラモルトウイスキーです。

 

今回は、『ラフロイグ Laphroaig』蒸留所の特徴、ストーリー、製法を見ていこうと思います!!

 

目次

ラフロイグ Laphroaig蒸留所について

ラフロイグ蒸留所は、アイラ島のポートエレン港から東へ3㌔ほどの美しい入り江にある蒸留所。

 

この地域は、アイラ島の中でも特にクセの強い「キルダルトン三兄弟」の蒸留所があります。

【キルダルトン三兄弟】

アードベッグ
ラフロイグ
ラガヴーリン

 

特にラガヴ―リン蒸留所とラフロイグ蒸留所は隣り合っていて、たびたび水利用の面で争っていたそうです。

 

ラフロイグはチャールズ皇太子が愛飲しているウイスキーとしても有名

そしてこの蒸留所は、シングルモルトとしては唯一のプリンス・オフ・ウェールズ御用達の勅許上を賜っています。

 

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ボトルにも「プリンス・オブ・ウェールズ」のロゴが入っています。
蒸留所の誇りとなってるそうです。

 

ラフロイグ Laphroaigはゲール語で「広い入り江の美しい窪地」という意味。

この美しい入り江から、世界中の人たちを驚かせ、そして魅了させるクセの強いモルトウイスキーが作られています。

 

ラフロイグ Laphroaigのストーリー

ラフロイグ蒸留所の創業は、1815年。

建設計画は1810年から始まっていたそうで、アレクサンダーとドナルドのジョンストン兄弟が創業しました。

 

その後1887年にジョンストン家からハンター家が経営権を買収。

yaffee
ハンター家は創業家(ジョンストン家)とは同じ血筋みたいです。
ややこしいですが、「経営権を買収」という書き方と「譲渡」という書き方両方があります。買ったのか譲り受けたのかは諸説ありです。

以降1954年に最後のハンター家のイアン・ハンターが亡くなるまでハンター家によって運営されてきました。

 

ラフロイグを運営していたハンター家最後のオーナー”イアン・ハンター”
ラガヴーリンの”ピーター・マッキー”とはバチバチの関係だった!?

 

ラフロイグ最後の家族経営オーナーとなったイアン・ハンター。

彼は苦難の時代を乗り越え、ラフロイグ最大功労者となった人物です。

 

一つ目の功績 ラフロイグ販売権を取り戻したこと。

当時、ラフログの販売権はお隣の蒸留所「ラガヴーリン」のピーター・マッキーが持っていました。

元々水の利用の件で争いが絶えなかったラフロイグとラガヴーリン。

 

イアン・ハンターがラフロイグの販売権を取り戻したことに腹を立てたピーター。

 

ラフロイグをぶっ潰す!!
とラガヴーリン蒸留所にラフロイグそっくりな蒸留所「リトルミル蒸留所」を建設します。

 

yaffee
ピーター側の資料だとどうしても「ラフログが使いたかった」と書かれていることもあります。
どっちが正しいのかわかりませんが、資料通りのピーターの正確なら腹を立てて「潰す」つもりでリトルミルを建設した話の方が説得力がありますね!

 

ただどうしてもリトルミルで「ラフロイグ」を作ることはできませんでした

すぐ隣に瓜二つの蒸留所を建てたのにでき上がったウイスキーは「ラフロイグ」とは全然別物

 

結局1962年にはリトルミル蒸留所は閉鎖となってしまいます。

 

もともとアイラ島を出てから戻ってきたイアン・ハンター。

ピーター・マッキーと同じく経営能力の高い人物だったそうで、よくこの二人はもめていたそうです。

 

yaffee

ライバルみたいな関係だったのかもしれませんね。
今では、お互いの蒸留所は尊重しあっているそうです。

 

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2つ目の功績 奇策で禁酒法を乗り越える。

ラフロイグは、当時多くの蒸留所と同じようにアメリカ市場を開拓していたそう。

ところがそんな蒸留所たちに悲劇が起きます。

 

それはアメリカの禁酒法です。

 

アメリカ市場を頼りにしていた蒸留所は大打撃となってしまいます。

ただ、多くの蒸留所は禁酒法は「すぐに明ける」と判断し、増産した蒸留所も多かったといわれています。

 

そんな中イアン・ハンター率いるラフロイグは奇策で禁酒法を乗り切りました。

 

それは、「これは酒じゃない!!だ!!」

強烈な癖のあるラフロイグは、その強烈な癖を強みに「薬」としてアメリカで堂々と販売し始めます

 

合法と認められたラフロイグ。

こうして禁酒法最中のアメリカで熱狂的なファンを多く獲得していきました。

 

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そんな凄腕オーナー”イアン・ハンター”。

彼の跡を継いだのは、イアン・ハンターの右腕となっていた女性”ベッシー・ウィリアムソン”でした。

イアン・ハンターは遺言で、彼女にラフロイグを託して亡くなりました

 

スコッチ史上初の女性所長”ベッシー・ウィリアムソン”

 

スコッチ史上初となる女性所長となったベッシー・ウィリアムソンですが、
もともと彼女はウイスキーとは無縁の人物でした。

 

ベッシーはグラスゴー大学薬学部出身の才女

ただ世の中は、不況
そのため、働き口がなく速記ができるということで「秘書」のアルバイトをして生活していたそうです。

 

1934年、23歳のある日、アイラ出身の大学時代の友達からアイラ島へバカンスの誘いが来ます。

そしてアイラ島へバカンスに来ていたベッシーにある求人情報が耳に入ります。

それは……

ラフロイグ蒸留所の所長イアン・ハンターの秘書が病気になり、臨時の速記ができる秘書募集

とのこと。

お酒を飲まないベッシーは考え込みますが、友人が「いいじゃん!!」と推し進めます。

そしてベッシーは2か月の臨時採用でラフロイグ蒸留所の秘書となりました

 

この時ラフロイグ所長のイアン・ハンターは、ウイスキーづくり以外に趣味がないという超マジメ人間。

こういった姿勢に心を惹かれ、ウイスキーづくりにも興味を持ち始めます。

yaffee
薬剤師を目指していた彼女には、ラフロイグが肌に合ったのかもしれませんね!

正秘書が戻ってきても、彼女はイアン・ハンターの右腕としてラフロイグに残ることを決意。

薬剤師を目指していた彼女は、ウイスキー蒸留技師の道を歩み始めました

 

そして1946年、ラフロイグの蒸留責任者に就任。

そして1954年にイアン・ハンター死去

子供のいなかったイアン・ハンターは、遺言でラフロイグを「ベッシーに託す」と書き残していました。

1934年にアイラ島を訪れ、2か月だけ働くつもりだったラフロイグ蒸留所の史上初女所長となるなんて、
23歳のころのベッシーは想像できなかったと思います。

 

その後、ラフロイグに改革をもたらし、幾度となく増産。
ラフロイグ蒸留所を大きく成長させたベッシー。

50年以上アイラ島で暮らし、今でもベッシーはラフロイグ蒸留所を見下ろせる高台の墓の下で眠っているそうです。

 

yaffee
ラフロイグ蒸留所が今でもフロアモルティングを行っているのは彼女の功績もあるそう。
またイアン・ハンターから引き継いだバーボン樽へのこだわりは今でもラフロイグ10年の特徴となっています。ちなみにボトラーズの名称で「ウィリアムソン」と書かれているものは、「ラフロイグ」を指す隠し名称となっています。

 

その後のラフロイグ

 

イアン・ハンターからバトンを引き継いで運営していたベッシー・ウィリアムソン。

1972年に彼女は引退し、その後ラフロイグの運営はウィットブレット社、アライド社と続いていきます。

 

そして2005年ビーム社が買収。

2014年にサントリーがビーム社を買収したことにより、現在サントリー系列の蒸留所となっています。

 

ラフロイグ Laphroaigのこだわりの製法

 

強烈な癖のあるラフロイグ。

その製法は、またこだわりのポイントがたくさんありました。

 

ラフロイグの仕込み量は約5.5tほど。

そのうち15%は自家製製麦の麦芽を使っています。

この自家製麦に使われるピートは、自社が持っている広大なピートホグ(ピート採掘所)のものを使用しているそうです。

そのピートがラフロイグの強烈な癖を作っています。

 

残りはポートエレン製。

そしてごくわずかに本土産の麦芽も使うそうです。

 

この5.5tの麦芽から2万7000ℓの麦汁を得ます(大体基準値ぐらい)。

そしてステンレス製の発酵槽で発酵。発酵時間は平均55時間だそうです。

使う酵母はマウリ社製リキットイースト。もろみのアルコール度数は8~9%だそう。

 

ポットスチルは初留3基、再留4基。

数は多いですが、ポットスチルのサイズは小さく、キルホーマンの次に小さいサイズだそうです。

 

そしてラフロイグは特に後よりに蒸留することも特徴

よりクセの強いピート香を得られるよう、ミドルカットは72~61%となっています。

 

ラフロイグの中でもスタンダードの「10年」

このボトルは、ラフロイグの象徴ともいえる「バーボン樽」にこだわっている銘柄です。

 

1stフィルのバーボン樽のみを使いボトリングしているそう。

これはイアン・ハンターが北米にセールスに行っていた時に思いついたことだそう。

 

今でこそスコッチの9割がバーボン樽を使っていますが、いち早くバーボン樽を実践したのがラフロイグのイアン・ハンターだそうです。

 

ラフロイグ Laphroaigの定番リリース

 

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ラフロイグ Laphroaig蒸留所データ

創業 1815年
創業者 アレクサンダーとドナルドのジョンストン兄弟
オーナー会社 ビームサントリー社
仕込み水 キルブライト湖
年間生産能力(100%アルコール換算) 330万ℓ
蒸留器 初留3基、再留4基
生産区分 スコットランド
アイラ島

最後に……

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回のお話いかがだったでしょうか?

 

イアン・ハンターとベッシー・ウィリアムソンが紡ぐラフロイグのストーリー。

ラフロイグの癖のように深く強いストーリーですね!

 

ほんと人生を変える出会いって突然あるものだなと思います。

僕もウイスキーに出会い大きく人生が変わりました。

 

今後このような出会いがあるかもしれませんし、ないかもしれません。

ただベッシーに「いいじゃん!」って言った友人のような存在を自分の中に作って、いろんなことに挑戦していこうと思います!!

[sitecard subtitle=スモーキーなクセのあるウイスキーを料理に使う方法とは? url=https://www.yaffee.work/entry/use-whisky-for-cooking target=_blank]

それでは良いウイスキーライフを!

また次回もよろしくお願いします!

 

 

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アイキャッチ画像

Ayack, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

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この記事を書いた人

香りづけに使用したことからウイスキーにどっぷり嵌ってしまった料理人です。
調理師の仕事をしつつ、ウイスキーと料理の魅力を紹介するためにブログ・メディアを作成。
様々な視点からウイスキーを解説しています。

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