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ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のお話は、
「モートラック Mortlach蒸留所」
についてです!!
「モートラック Mortlach」は、甘くスパイシーでミーティ(肉感)さを感じさせる芳醇さと力強さが特徴。
ミーティ(肉感)のあるウイスキーの代表格であり、モートラックは伝統的にミーティなウイスキーを作っています。
スペイサイドの中でも圧倒的な存在感のあるウイスキー。その芳醇さと力強さが共存した味わいは、まさに「野獣」です。
ボトルにも「Beast of Dufftown(ダフタウンの野獣)」と書かれています。
またモートラック蒸留所には野獣以外にも……
- スペイサイドの異端児
- 小さな魔女のいる蒸留所
など様々なキャッチコピーがあります。
ウイスキーの面白いキャッチコピーとは?キャッチ―なコピーを集めた記事はこちら
今回は、そんな『モートラック Mortlach』蒸留所の特徴、ストーリー、製法を見ていこうと思います!!
モートラック Mortlach蒸留所について
モートラック蒸留所は、スコットランドの生産区分の中でもスペイサイドに属される蒸留所です。
スペイサイドはスコッチモルトウイスキーの聖地と呼ばれる地域で、ブレンデッドスコッチウイスキーの中核を担うモルトウイスキーが多く作られています。
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スペイサイドにはブレンデッドウイスキーのキーモルトが多く、シーバスリーガルのキーモルトもバランタインのキーモルトもスペイサイドにあるモルト蒸留所の原酒です。
そんなスペイサイドの中でもモートラック蒸留所が建っている場所は「世界のウイスキーの首都」といわれるダフタウンという街。
ダフタウンには、ほかにもグレンフィディック、バルヴェ二―などグローバルブランドのシングルモルトがあり、一つの街に6つものモルト蒸留所が集中しています。
ダフタウンでさらにシングルモルトウイスキーにこだわっているのがモートラック蒸留所。
モートラック蒸留所は、「2.81回蒸留」という「職人でも理解するのに半年かかる」といわれる複雑なシステムを採用しています。
ほかにないこのようなシステムとそこから生まれるほかにない個性が「スペイサイドの異端児」といわれる所以です。
そして「スペイサイドの異端児」といわれるシステムと個性の要となるのが、「ウィーウィッチ(小さな魔女)」といわれるポットスチル。
この小さな魔女が、モートラックに魔法をかけ続けています。
モートラック Mortlachのストーリー
モートラックが誕生したのは、ダフタウンという街ができて6年後の1823年。
今でこそダウタウンは「世界のウイスキー首都」といわれていますが、18世紀までは人ひとり住んでいない場所だったそうです。
ナポレオン戦争の帰還兵や近隣の農家の就職支援のために計画的に作られた町がダフタウン。
そして、モートラック蒸留所もその産業育成の一つだったそうです。
1823年にジェームズ・フィンドレーターなど地元の農夫3名が創業しました。
そしてそのままライセンスを取得。モートラックはダフタウン初の合法蒸留所となります。
ところが、その計画はすくに破綻。
そこから幾度となくオーナーが変わりました。
その中で、エールビールの醸造所や教会の集会所として使われた時期もあったそうです。
1853年、ジョージ・コーウィーがモートラック蒸留所を買収。
そこから今のモートラックの礎が築かれていきました。
コ―ウィーは、ヴィクトリア期を代表する技術者であり科学者。
そんなコ―ウィーは、モートラック蒸留所に数々の革命をもたらします。
もともと鉄道の測量士だったジョージ・コーウィー。その経験を生かして鉄道インフラを整えます。
また技術者として、シングルモルトの研究に力を注ぎ始めます。
グレンフィディックの歴史とは?
その後、息子のアレキサンダー・コ―ウィーも事業に参加。
アレキサンダーはロンドン大学で薬学を学んでいた技術者です。
その薬学の経験を活かし、出来上がったシステムが「2.81回蒸留」でした。
このシステムは、かなり複雑。熟練の職人でも理解するのに半年かかるそう。
この緻密なシステムがモートラックの芳醇で力強いミーティな味わいを生み出しているそうです。
このほかにない個性がモートラックの地位を確立していきます。
1897年には、蒸留器の数を3基から6基に増やされ、ハイランド地方(当時スペイサイドはハイランドの一部と数えられていた)で最大級の蒸留所に成長しました。
1925年にはDCL(現ディアジオ)の傘下に入り、ジョニーウォーカーをはじめとするDCLのブレンデッドウイスキーへ原酒提供を行うようになります。
このほかにないリッチな個性がブレンダーをはじめコアなファンに人気でした。
ダフタウンの中では、唯一第二次大戦中に操業が認められた蒸留所だそうです。
そんなモートラックのシングルモルトのリリースは意外に遅く、1980年代にジョニーウォーカーから12年物のシングルモルトウイスキー モートラックがリリース。
1991年に「花と動物シリーズ」からリリースされ脚光を浴びるようになります。
そして1995年に22年物の「レアモルト」がリリース。
高価格帯のシングルモルトとしての地位を築きました。
今では「12年」「16年」「20年」がディアジオ社からリリース。
現在日本での販売は、MHD(モエ・ヘネシー・ディアジオ)が行っております。
モルトファンをうならせる高品質なシングルモルトで他と一線を画す存在となっています。
モートラック Mortlachのこだわりの製法
モートラックの年間生産能力は380万ℓ程。
かつてはそのほとんどがブレンデッド用でした。
ところが2014年からシングルモルトとしての存在感を大いに高め、オフィシャルボトルが相次いでリリースされています。
そんな存在感を知らしめた根源は、モートラック独自の「2.81回蒸留」といっても過言ではないです。
その2.81回蒸留の要となっているのが「ウィーウィッチ(小さな魔女)」と呼ばれる独立稼働で3回蒸留が行えるポットスチル。
簡単に2.81回蒸留を説明すると、2回蒸留したニューポットと3回蒸留したニューポットを組み合わせて作られる蒸留方法です。
まず、初めの蒸留(初留)の時に3基の釜を使って2種類のローワイン(初留後の蒸留液)を作ります。
そのうち、1個の蒸留器からできたローワインはそのまま再留しニューポットへ
他2つの蒸留器から生まれたローワインをはじめに2分割
- アルコール分が高くフルーティな蒸留初めの方に出てくるローワイン
(ストロングローワイン:今回はHとしています) - アルコール分が低くヘビーな蒸留後の方に出てくるローワイン
(ウィークローワイン:今回はTとしています)
に2分割。
さらにHを3分割、Tを2分割します。
そしてHのうち一つH3を単体で再留し、ニューポットへ
ここからがややこしいウィーウィッチの中でのシステム。
Tのうちの1つT2を再留。できた蒸留液を2分割します。(W1,W2)
そのW1とT1を混ぜ蒸留しW3を、W2とH2を混ぜ蒸留しW4を作ります。
続いてW3とH1を混ぜて蒸留、W5を作り出します。
最後にW4とW5を混ぜて蒸留しニューポットへ。
このニューポットへ送った3タイプの原酒を混ぜてモートラックは熟成させているのです。
この複雑なシステムを採用することで、甘くフルーティな香りや華やかさを残しつつヘビーで重厚感と芳醇さのある味わい引き出すことが可能。
フルーティさと重厚感という相容れない2つのフレーバーのいいとこどりができるわけです。
このフルーティさと重厚感が一体となることで生まれるフレーバーが「リッチさ」。
ミーティで野獣のような力強さがありつつリッチなフレーバーが楽しめることがモートラック最大の魅力といえると思います。
さらに冷却システムは「ワームタブ」という昔ながらの製法を活用。
このワームタブ方式がより複雑でリッチなフレーバーの手助けをしています。
またモートラック蒸留所では、ヨーロピアンオークの樽とアメリカンオークの樽を使い分けてウイスキーを熟成させています。
モートラック Mortlachの定番リリース
モートラックは、現在「12年」「16年」「20年」がリリースされています。
シングルモルト モートラック 12年 ザ・ウィーウィッチ
アロマ | [star-list number=4.5] 4.4 |
フレーバー | [star-list number=4.5] 4.6 |
余韻 | [star-list number=4.5] 4.5 |
総合 | [star-list number=4.5] 4.5 |
甘くフルーティさを残しつつ、スパイシーで圧倒的な芳醇!
そのうえ力強くミーティなニュアンスも楽しめる存在感の強いシングルモルトです。
個性的ですがそれが癖のある個性ではなく、リッチで素直に「いいウイスキーだな」と感じさせるシングルモルト。
12年物のスタンダードボトルとしてはかなりお高いウイスキーですが、その分ほかの12年物シングルモルトでは味わえない高級感のある味わい。
アメリカンオークとヨーロピアンオークの樽を使用。
モートラック蒸留所の要となっているポットスチル「ウィーウィッチ」を冠した一本となっています。
このウイスキーがうちの常備ウイスキーですといえるぐらい稼ぎたい。。(笑)
シングルモルト モートラック 16年 ディスティラーズドリーム
アロマ | [star-list number=4.5] 4.8 |
フレーバー | [star-list number=4.5] 4.5 |
余韻 | [star-list number=4.5] 4.8 |
総合 | [star-list number=4.5] 4.7 |
より複雑みが増し、力強い野獣感が現れたフルボティタイプ。
1stフィルのシェリーカスクとリフィルのシェリーカスクを使い、濃厚かつ力強く仕上げた一本。
はちみつのような甘さにオレンジとアプリコットのフルーティさ。
そして力強いボリューム感と複雑さがあり、余韻が長いです。
ただ、しっかりとバランスの良さが保たれていて、飲んだ時はその優雅なひと時を味わえると思います。
シングルモルト モートラック 20年 コ―ウィーズ・ブルー・セール
アロマ | [star-list number=4.5] 4.8 |
フレーバー | [star-list number=4.5] 4.8 |
余韻 | [star-list number=4.5] 4.8 |
総合 | [star-list number=4.5] 4.8 |
濃密で複雑。力強いモートラックも20年以上熟成させるとまろやかさと円熟味が洗練しています。
ただその力強さがフレーバーの厚みとなって、一口でわかる圧倒的な存在感。
オイリーで包み込むようなまろやかさがあり、甘みとスパイシーさそしてミーティなフレーバーが複雑に絡み合います。
またカカオのような苦みがフレーバーを引き締め、より深い余韻の渦へといざないます。
特別な日の一杯にいかがでしょうか?
今でもこのウイスキーを言葉だけで表現するのはおこがましい。そんな感情にさせるウイスキーです。
モートラック Mortlach蒸留所データ
創業 | 1823年 |
創業者 | ジェームズ・フィンドレーター |
オーナー会社 | ディアジオ社 |
仕込み水 | コンバルトヒルの泉 |
年間生産能力(100%アルコール換算) | 380万ℓ |
蒸留器 | 初留3基 再留3基 (バルジ型) |
生産区分 | スコットランド スペイサイド |
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
モートラックは、個人的に忘れられないウイスキーの一つ。
香り・味ともに大好きなのですが、ただただ高い。。。
まだまだ僕の生活力だと常備ウイスキーには入れられないシングルモルトです。。
値段高い理由もこの手間暇かけた作り方によるものだと思います。
一体通常の蒸留所の何倍手間をかけているのやら……。
ただそんないい意味で非効率な蒸留所だからこそ、本物を知る人たちから支持されているのだと思います。
いつかモートラックが常にうちにいる生活がしたいな~と思いつつ、今日もウイスキーを楽しんでいきます。
それでは良いウイスキーライフを!
また次回もよろしくお願いします!
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