本日もお越し頂きありがとうございます。
昔名古屋に住んでいたウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のお話は、
「知多蒸留所見学レビュー」
です!!
知多蒸留所は普段蒸留所見学を行っていない蒸留所ですが、今回 飲食店限定で行かせていただくことになりました!!
そのレビューを大公開しようと思います!!
知多蒸留所見学
蒸留所について
知多蒸留所の最寄り駅は名古屋駅から名鉄急行で30分ほどの朝倉駅。
港近くで、周りには何もない駅でした。
知多蒸留所はそこからタクシーで15分程度のところの工業地帯にあります。
蒸留所の目の前にはタンクローリーなどの通りやすい道幅の広い道路があり、バイパスや高速に乗りやすい立地です。
蒸留所の奥にはトウモロコシなど穀物の輸入を主に行う港があり、
そしてJAのトウモロコシなどのサイロ(貯蔵庫)などがあります。
さらに、JAのサイロから知多蒸留所のサイロはパイプでつながっていて、直接買い付けが行えるようになっているそう。
従業員数は30人程度で今後生産拡大に向け、サントリーから人事異動でさらに増えるそうです。
近年、本場スコットランドのグレーン蒸留所では24時間フル稼働ながら最新設備の導入により、コンピューター管理の3交代制3人ほど(つまりワンオペ)で生産を行っているところが多いそう。
そんな中、サングレイン知多はかなり多めの従業員数ですね。
現に見学中も数人程度、常に設備の点検作業を行う従業員がいました。
海外も含め多くの蒸留所は熟成のために周囲の環境を考えた立地が多いです。
しかし、知多蒸留所では原材料の入手のしやすさや輸送のしやすさなど、効率の良さに重きを置きを置いているそうです。
ただ一つ一つの製造工程に「職人のこだわり」も感じることができました。
製造について
まず原料はトウモロコシが90%程度で、糖化用に麦芽を10%程度使用しているそうです。
そのトウモロコシから小石やごみなどを取り除き、粉砕します。
通常グレーンウイスキーの作り方では、粉砕したトウモロコシを『クッキング』と呼ばれる100~150℃程度の温度で煮る作業を特殊なタンクで行います。
しかし、知多蒸留所では煮沸管と呼ばれる管の中でクッキングを行い、その管の途中で麦芽を投入し糖化を行うという連続的に作業ができるよう効率化されていました。
しかもこの管は熱交換・エネルギー効率も考えられています。
折り重なるようにはりめぐらされた管は、下が高温で、上に行くにつれて低い温度になっているそう。
ある程度自然の力でも冷めるような工夫がされていました。
100~150℃で加熱されたお粥状のトウモロコシを、糖化に程よい62℃程度に冷めたところで麦芽が投下。
20~25℃程度の酵母発酵にちょうどいいところで、発酵タンクに入れられるそうです。
発酵タンクはステンレス製のもの10基ほどだが、一つ一つがかなり巨大でした。
ウイスキーの製造において、熟成の次に時間のかかる発酵工程です。
発酵槽や発酵タンクの大きさは生産量を計る基準にもなります。
そうみてもやはり知多蒸留所の生産量はかなりの量だと感じられます。
その発酵タンクで3~4日間程度発酵を行い、アルコール度数10%程度のモロミを造ります。
発酵の終えたもろみは4塔ある地上30メートルほどの連続式蒸留機で蒸留されます。
上の写真は知多の連続式蒸留機のミニチュアスケール模型です。左からモロミ塔、抽出塔、精留塔、精製塔となっています。
モロミ塔は発酵の終わったもろみが最初に入る蒸留塔です。
この蒸留機で得られた蒸留液がそのまま製品化されることはありません。
そのため銅による精製効果も必要なく、すべてステンレス製でできているそうです。
内部の棚も不純物を取り除くことが重要な目的みたいなので、シンプルな構造になっていました。
抽出塔では、重たい酒質の原因となるフーゼル油の分離を行う蒸留塔です。
行われる蒸留方法は他と違い、「加水抽出蒸留」と呼ばれる方法をとっています。
モロミ塔などで得られたアルコール度数80%以上の留液を10%程度に加水することで、
疎水性のフーゼル油を分離させ取り除き、再び蒸留する方法です。
この方法には蒸留塔の下の部分は必要のないそうで、抽出塔だけ下の部分がないです。
精留塔、精製塔では、簡潔に言うと粗いアルコールを磨く作業。
そのため、外側はステンレス製だが、中は銅製です。
また棚もモロミ塔より複雑なシーブトレイと呼ばれるキノコ型の穴の開いた突起が無数にある構造となっています。
知多蒸留所では、
- モロミ塔・精留塔でヘビータイプ
- モロミ塔・抽出塔・精留塔でミディアムタイプ
- 4塔全て使用しクリーンタイプ
と、これらの蒸留塔を使い分け3タイプの原酒を作り分けているそうです。
これだけの原酒を作り分けるのは、世界的に見ると珍しいグレーン蒸留所だそうです。
また知多蒸留所では年に1度蒸留機を止めて清掃・メンテナンスを行うそう。
ただその作業は、すべて従業員が蒸留機1段1段を手作業で清掃するそうです。
また細かいメンテナンスは常にスタッフが確認し、こまめにチェックして蒸留を行っているそう。
機械的な見た目でそういうイメージの強い蒸留所ですが、職人の「風」を感じました。
ただ、知多蒸留所のどこにも熟成庫はありません。
知多蒸留所で作られた原酒は、山崎や白州、近江の熟成庫にて熟成させているそうです。
その気候、樽の違いによってさらに何種類にもキャラクターを持った知多原酒を作っています。
それらの違いをサントリー伝統の絶妙なブレンドによって「シングルグレーン知多」が出来上がっています。
試飲
今回試飲させていただいた原酒は、クリーンタイプ、ヘビータイプ、ワイン樽原酒とサントリーシングルグレーン知多の製品の4種。
クリーンタイプは知多のベースとなるウイスキー!
ニュートラルで軽いイメージ、味わいの最初に少しフローラル感がありさわやかな印象でした。
逆にヘビータイプはしっかりとした重たいイメージで、
知多の骨格となっているそうです。飲んでみると鰹節に似たようなうまみを感じます。
そしてワイン樽原酒は熟成感からくる甘味や渋み、スパイス感など味わい深い。ブレンドした時のアクセントとなっているのかなと感じました。
このようなキャラクター豊かな原酒を絶妙にブレンドされた知多。
単体でも味わいの楽しみが多いですが、ハイボールにしたときに合わせられる料理の可能性が特に広いことを気付かされました。
特に醤油味やみそ味など発酵調味料との相性はかなりよさそうだと思います。
一般的にブレンデッドウイスキーのモルトウイスキーを引き立てる役として使われるグレーンウイスキー。
その良さを残しつつ、単体でも楽しめる商品に仕立て上げたことが「知多」のすごいところだと思います。
ウイスキーを食中酒としても楽しむといった可能性を広げた製品ではないでしょうか。
まとめ
今回、見学させてもらう前までは、「知多」について「職人が造る蒸留所」というよりは「機械的なアルコールを製造する工場」というイメージが強かったです。
そして恥ずかしながら製品自体にも「機械的なウイスキー」という偏見がありました。
しかし、実際に見学して所々に人の手によるこだわりがあり、その一つ一つの職人たちのこだわりが詰め込まれた一本なんだと気づかされました。
そして「知多」には、知多蒸留所の風、サントリーの風、山崎や白州など他のサントリー蒸留所の風など様々なものが詰められて、
「風薫る知多シングルグレーン」ができているのだと思いました。
まだまだ一般的にもモルトより下に見られがちなグレーンウイスキー。
ただこだわりぬいたグレーンウイスキーはモルトに勝る可能性が秘められているのだと感じました。
特に食事中に関しては知多ハイホールの方が、圧倒的にモルトウイスキーよりほかの料理を邪魔しない。
このことをこの見学の後、伺った名古屋市内の日本料理屋でさらに実感しました!!!(笑)
最後まで今回の記事を読んでいただきありがとうございます。
知多蒸留所見学の話いかがだったでしょうか
皆様にとって面白かった・ためになった記事となっていただけたら嬉しいです。
それでは良いウイスキーライフを!!
また次回もよろしくお願いします。
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コメント
コメント一覧 (1件)
実験室レベルの蒸留をすることがあるんですが、工業レベルの蒸留はほんとすごいと感じます(≧∀≦)
ジャックダニエルは7段の蒸留かぁ、とか段数が非常に重要になるんですが、ほんとに奥が深く、習得が先か、死ぬのが先かと、いつも感じます(^^;;