ウイスキーというと最近はシングルモルトが注目されやすく、どうしてもブレンデッドウイスキーの地位は低いように思えます。
ところが、今でも最も飲まれているウイスキーはブレンデッドウイスキー。
ブレンデッドウイスキーの主な銘柄は……
- ジョニーウォーカー
- バランタイン
- シーバスリーガル
- デュワーズ
- ジェムソン
- サントリー角
- 響
などなど
ウイスキー愛好家でなくても、一度は聞いたことある銘柄ばかりではないでしょうか??
大体居酒屋やスーパーなど手軽なところで入手できるウイスキーはブレンデッドウイスキーばかりです。
そもそもブレンデッドウイスキーが誕生しなかったとしたら、ウイスキーは全世界で飲まれているお酒となっていなかったでしょう。
今回はブレンデッドウイスキーの特徴からその魅力に迫っていきます。
ブレンデッドウイスキーとは?
ブレンデッドウイスキーはだれもが知っているようなボトルが多く、販売量・消費量ともに上位はほぼすべてブレンデッドウイスキーとなっています。
近年では「山崎」や「白州」、「余市」、「宮城峡」などのジャパニーズシングルモルトが注目され、「シングルモルト」という言葉がウイスキーをあまり知らない人でも耳にするようになったと思います。
ではまず、「シングルモルトウイスキー」と「ブレンデッドウイスキー」の違いとは何なのでしょうか。
ブレンデッドウイスキーの特徴から解説していこうと思います。
ブレンデッドウイスキーの特徴
基本的なブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして作られます。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーについては過去の記事をご参照ください。
簡潔にまとめると……
- モルトウイスキーは麦芽100%の個性的なウイスキー
- グレーンウイスキーはその他の穀物も使用したウイスキー
です。
ブレンデッドウイスキーは、この2つのウイスキーのブレンドで作られます。
このようなウイスキー原酒を数十~数百ほどブレンドしてブレンデッドウイスキーは作られています。
「シングルモルトウイスキー」は風土が造り、「ブレンデッドウイスキー」は人が造るウイスキー
と言われますが、シングルモルトは原材料や水、気候などに大きく左右されます。
それに対して、ブレンデッドウイスキーはブレンダー(ブレンドを担当する職人)の技とセンスが反映されるのです。
ブレンダーの目指したい味わいが良く現れるため、シングルモルトとは違った洗練された味わい・バランスの良さが楽しめるウイスキーです。
そんなブレンデッドウイスキーにも国ごとの特徴が全然異なります。
ブレンデッドウイスキー、国ごとの特徴
ブレンデッドウイスキーと言えど、世界各国でそれぞれのルールが適用されます。
ひとつひとつ解説していこうと思います。
スコッチブレンデッドウイスキーの特徴
- アクセントにスモーキーフレーバーの強いウイスキーを使用していることが多い。
- バランスが良く、さまざまな個性のウイスキーをブレンドした複雑みのある銘柄が多い。
- 基本グレーンウイスキーはクリアなものが選ばれる。
- 大体、モルト:グレーンは3:7~4:6ぐらい。
スコッチブレンデッドウイスキーだけでもメジャーからマイナーまで無数と言えるほどさまざまな銘柄があり、世界中で飲まれています。
販売数1位のジョニーウォーカーだけでも1840万ケース(2020年の販売数)と2000万ケース近く!
スコッチブレンデッドウイスキーはスモーキー系のモルトウイスキーが少なからずブレンドされています。
他にも個性的なモルトウイスキーを多数ブレンドし、その重ねた個性のバランスをよくするのがグレーンウイスキ―です。
スコッチブレンデッドウイスキーは、さまざまな個性のバランスを保ち、万人受けしやすいバランスのいい仕上がりにしていきます。
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〈代表銘柄〉
などなど
アイリッシュブレンデッドの特徴
- スモーキーなウイスキーが使われることは少ない。
- ポットスチルウイスキーがブレンドされているものもある。
- ライトでスパイシーな銘柄が多い。
アイリッシュウイスキーの場合、モルトウイスキーとグレーンウイスキーのほかにポットスチルウイスキーというジャンルがあります。
このポットスチルウイスキーもブレンドに使われることがあり、その特徴であるオイリーでスパイシーなニュアンスがあるブレンデッドウイスキーも少なくありません。
ただ、アイリッシュブレンデッドウイスキーは基本的にはライトでかなり飲みやすいタイプが多いです。
アイリッシュウイスキーはスコッチのようにスモーキー系ウイスキーにこだわっていないでの、スモーキーフレーバーのないブレンデッドウイスキーも多くあります。
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〈代表銘柄〉
などなど
アメリカンブレンデッドの特徴
- バーボンなど、樽のニュアンスが強いものがよく使われている。
- コクのある銘柄が多い。
- ウイスキー以外にもニュートラルスピリッツがブレンドされた銘柄もある。
アメリカンブレンデッドウイスキーは、スコッチやアイリッシュのブレンデッドウイスキーと全然違います。
スコッチやアイリッシュでは、スモーキーフレーバーの有無、ポットスチルウイスキーがブレンドされている・いないなどの差でした。
この違いはあまり大きくなく、ブラインドテイスティング(銘柄を隠して飲む)をしてもかなりのウイスキー愛好家でない限り違いには気が付きません。
ところが、アメリカンブレンデッドとスコッチやアイリッシュのブレンデッドは初心者でも違いが分かるほどです。
アメリカンブレンデッドウイスキーはアルコール度数50%換算で20%以上がバーボンウイスキーを含む「ストレート・ウイスキー(2年以上熟成)」がブレンドされていることが規則となっています。
そして残りの80%はウイスキー以外にもニュートラルスピリッツなどのブレンドが可能となっています。
アメリカンウイスキーの中では、ライトで爽快な飲み口ですが、スコッチやアイリッシュに比べるとストレート・ウイスキー由来の穀物感と樽香などヘビーさを感じるでしょう。
ただ日本にはなかなか入ってきていないので、代表銘柄でいえばシーグラム7クラウンぐらいだと思います。
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〈代表銘柄〉
などなど
カナディアンブレンデッドの特徴
- ライトで飲みやすい。
- ライ麦由来のスパイシーさがある銘柄が多い。
カナディアンウイスキーはカナダで作られているウイスキーの主流であり、現在日本に入ってきているカナディアンウイスキーはほぼブレンデッドウイスキーしかありません。
中でも有名銘柄がカナディアンクラブ。
カナディアンウイスキーでは、2つのタイプのウイスキーが造られます。
- フレーバリングウイスキー
- ベースウイスキー
カナディアンクラブなどのカナディアンブレンデッドウイスキーは、この2つのウイスキーをブレンドすることで作られます。
フレーバリングウイスキーは、ライ麦などの穀物から作られることの多い少し個性的なウイスキーです。
対して、ベースウイスキーはトウモロコシなどを原料にスコッチのグレーンウイスキーのようにあまり主張しないように仕上げています。
この2つをブレンドすることで、クリアですっきりとしているが少しだけ飲みごたえもあるカナディアンウイスキーができあがるのです。
〈代表銘柄〉
などなど
ジャパニーズブレンデッドの特徴
- バランスが特に優れている。
- グレーンウイスキ―の味わいにもこだわっている所もある
- モルト、グレーン以外にもスピリッツがブレンドされているものもある
日本のブレンデッドウイスキーは、巧みなバランスで仕上げられた逸品が多いかなと思います。
特に日本人の舌に合いやすい繊細さと優美さがあり、「響」や「竹鶴」のように海外からも評価されている銘柄も多数あります。
ただ、ジャパニーズウイスキーは一気に有名になりすぎたためか、ウイスキーと呼べないような代物も多数できてしまいました。
その多くがブレンデッドウイスキーで、中にはウイスキーが10%程度しか含まれていないものもあります……。
個人的にはそういうウイスキーを地雷ウイスキーと言っています。(笑)
また、近年世界的なジャパニーズウイスキーブームや新しい蒸留所の原酒不足のため、あえてスコッチなど海外産ウイスキーをブレンドした「ワールドブレンデッド」も多くリリースされています。
多くの「ワールドブレンデッド」は日本人らしい巧みなバランスに仕上げていることが多く、海外からも評価されている銘柄も多数あります。
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〈代表銘柄〉
などなど
ブレンデッドウイスキーの魅力
ブレンデッドウイスキーの魅力は、なんといってもバランスの良さと安さだと思います。
モルトウイスキー100%で作られるシングルモルトは、個性的な味わいが魅力でした。
ブレンデッドウイスキーはモルトウイスキーの個性をかさねていき、主張しにくいグレーンウイスキーなどでバランスをとって作られています。
また基本的にブレンデッドウイスキーはシングルモルトより安いため、手の出しやすい価格帯のウイスキーだと思います。
シングルモルトは安くても一本2000円台後半ですが、ブレンデッドウイスキーは1000円以下でも入手できるボトルは多いです。
18年熟成のウイスキーでも、シングルモルトでは10000円台が多いのに対してブレンデッドウイスキーでは5000円台でも入手できます。
また、ブレンデッドウイスキーはブレンダーの技・センスによって大きく味わいが変わってきます。
フルーティにしたいのか、スモーキーにしたいのか、ヘビーにしたいのか、ライトにしたいのか……
そういったブレンドした人の意図を想像しながら飲めることもブレンデッドウイスキーの魅力だと思います。
- バランスが良く、万人受けしやすい味わい。
- 価格が安い。
- ブレンダーの技やセンスによって味わいが変わる。
ブレンデッドウイスキー、なぜ安い?
ブレンデッドウイスキーの魅力の一つに「安い」ことがありましたが、なぜブレンデッドウイスキーは安いのでしょうか?
そのカギは、グレーンウイスキーにあります。
モルトウイスキーは単式蒸留器という大量生産しにくく、長い熟成が必要なためどうしても原価がかかってしまいます。
ところがグレーンウイスキーは連続式蒸留機で大量生産でき、主張が少ないものなら長い熟成を重ねる必要がありません。
そのため、原価が安くなります。
もちろんブレンドするグレーンウイスキ―を深くこだわったり、モルトウイスキーにより原価をかけたりしたプレミアムブランドのブレンデッドウイスキーも多数あります。
ただ、多くのブレンデッドウイスキーはモルトウイスキーを原価が安いグレーンウイスキ―でブレンドし、安い価格で販売されています。
ブレンデッドウイスキーの選び方
ブレンデッドウイスキーは、安価でバランスのいいタイプが多いです。
特に1000円台のブレンデッドウイスキーは、個性的というよりはバランスが良く飲みやすい傾向があります。
もし1000円台のブレンデッドウイスキーを選ぶなら、バランタインやジョニーウォーカー、デュワーズなどの有名銘柄を選ぶと間違いないかなと思います。
2000円台からは少し個性的なブレンデッドウイスキーが多くなってきます。
そのため2000円台からは、ボトルごとの個性もチェックしながら選んでみると面白いと思います。
ブレンデッドウイスキーの飲み方
ブレンデッドウイスキーだから、特別おすすめな飲み方はありません。
ただ、あえて言うならハイボールがおすすめです!
ブレンデッドウイスキーでも特に1000円台の安いボトルは、未熟香や荒々しさがどうしても残ってしまいます。
そういった荒々しいウイスキーでハイボールを作ると、未熟香が抑えられフレッシュなハイボールとなりやすいです。
また、安いブレンデッドウイスキーなら気兼ねなくコーラ割りやジンジャー割り、ジャムなどの甘みを入れたお湯割り(ホットトディ)などのカクテルにして自由に楽しむこともできると思います。
気軽にいろんな飲み方で試してみてください!!
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
ブレンデッドウイスキーについてまとめていきました。
- ブレンデッドウイスキーはモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたウイスキー
- バランスの良さと安さが大きな魅力
- ブレンデッドウイスキーにも国ごとに違いがある
- 飲み方はハイボールがおすすめだが、自由に楽しむべし!
近年は、シングルモルトへの注目が集まっていますが、ウイスキーの90%近くはブレンデッドウイスキーです。
多くの人が初めて飲むウイスキーはブレンデッドウイスキーだと思います。
また、ウイスキーに飲みなれてくるとブレンデッドウイスキーのすごさがよりわかります。
今回の記事でブレンデッドウイスキーの魅力が少しでも伝えられたのならよかったなと思います。
それではよいウイスキーライフを!
また次回もよろしくお願いいたします!
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