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台湾料理は作ることも食べることも大好きなウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のテーマは「カバラン KAVALAN」蒸留所についてです!!
「カバラン KAVALAN」は、凝縮されたトロピカルフルーツのような印象が特徴。
『ウイスキー造りが不可能』といわれた台湾に誕生したウイスキー蒸留所です。
『不可能』といわれながらも、世界中の名だたる賞を受賞。
ウイスキー界に新しい風を吹きこみ、今世界中のウイスキーラバーが注目しているブランドです。
今回は、その『カバラン KAVALAN』蒸留所の特徴、ストーリー、製法を見ていこうと思います!!
カバラン KAVALAN蒸留所について
カバラン蒸留所は雪山(せつざん)山脈と中央山脈にはさまれる蘭陽平野に位置する、台湾の北部”宜蘭県”にあります。
台湾の季候は、温暖で湿潤な亜熱帯。
5~10月まで気温37~38℃の長く暑い夏が続くそうです。
対して冬はシベリアから冷たい風が流れるそうで、平均気温10℃程度の肌寒い気候となっています。
また、台湾は雨が多いことでも有名。
降水量は年間通して日本より多いです。夏場の台湾は日本より高温多湿だそうです。
ただカバラン蒸留所のある地域は、スコットランドの ”ウイスキーの聖地” スペイサイドと平均湿度が同じだそう。
その中でも宜蘭県は9~11月に雨が多く降るそう。
その雨が雪山山脈で磨かれ蘭陽平野へとクリアな軟水となって流れ出てきます。
この軟水がカバランの仕込み水となっているそうです。
元々ウイスキーは亜熱帯地域では、生産できないといわれていました。
しかし、カバラン蒸留所の成功から亜熱帯地域でも製造できることが証明されました!!
そしてカバラン蒸留所は、世界の名門蒸留所の仲間入りを果たしています。
カバラン蒸留所の存在は、今世界各国で造られようになってきたニューワールドのウイスキーの後押しとなっています!
カバラン KAVALANのストーリー
カバランの物語の始まりは1970年代、
台湾の飲料メーカー「金車グループ」の李会長が「いつか台湾でウイスキーを造る」と目標を抱いたことからです。
カバラン蒸留所 計画当初の台湾
当時の台湾は、酒造への参入が難しい状況だったそう。
台湾に逃れた中華民国の政治家”蒋介石”が戒厳令を発令。
不穏分子を取り締まっていたため、国民の自由は厳しく制限された「白色テロ」と呼ばれる時代の真只中でした。
1980年代に入ると徐々にグローバル化と自由化。
それから1987年、戒厳令が解除。1996年には台湾は民主化していきます。
そして2002年、台湾はWTO(世界貿易機関)に加盟。
WTO加盟を機にカバラン蒸留所建設の計画を開始します!
カバラン蒸留所の建設計画は……
ウイスキー蒸留の要、ポットスチルは大手スチルメーカー「フォーサイス社」から輸入。
ウイスキーの技術はジム・スワン博士に指導を仰いだそうです。
カバラン蒸留所を監修した”ウイスキー界のサンダーバード『ジム・スワン博士』
ジム・スワン博士は、スコットランドの偉大なウイスキー製造に関するの研究家。
ウイスキーの裏方で働き、あまり表舞台には出てこなかった人物です。
ウイスキーの知識を必要としているところに現われては、必要としている知識を解決して去っていってしまう人だったそうです。
ジム博士は、自身で宣伝することも注目を求めることのしなかったですが、
ウイスキー業界ではジム博士がどこで何をしているのか注目ポイントでした。
そしてウイスキー製造に関して困っている蒸留所に手を貸すため、世界中を飛び回ってはアドバイスして回っていました。
カバラン蒸留所もその一つで、ほかには
- アイラ島の新しいクラフトディスティラリー”キルホーマン蒸留所”
- ウェールズに新しくできた”ペンダーリン蒸留所”
- その他スコットランドを始め、ニュージーランド新しくできた蒸留所
などなど。
亡くなってしまった時は、ウイスキー業界に大きな激震が走りました。
カバラン蒸留所完成
「台湾では、ウイスキー造りは無謀すぎる」
カバラン蒸留所の計画が発表されたとき、業界内の人たちは口をそろえて言い、周囲は反対していたそうです。
ところが、逆にジム博士と金車グループは「絶対に成功させてやる」という強い意志を持って計画を進めていったそうです。
当時の日本でも、スコットランドの業界の人から「不可能」といわれていたそうです。
2005年カバラン蒸留所 着工。
2006年1月に試作品の蒸留が開始されました。
そして2006年3月11日にカバラン蒸留所のスチルから初めてのニューメイクスピリッツ(熟成前のウイスキー)が流れ出ました。
これが初めての「メイドイン台湾ウイスキー」誕生の瞬間です。
そして熟成を経て2008年「カバラン クラシック」がリリースされます。
世界中のウイスキーラバーを魅了!?
カバランが注目されるきっかけとなった出来事は、2016年にスコットランドで開催されたウイスキーのブラインドテイスティングイベントです。
ウイスキーの銘柄を隠してテイスティングを行い、勝敗を決める大会でイングランドの新聞社が主催したのもです。
この大会に出品していたカバランは、点数で他を引き離し圧勝します。
その結果から一気に注目されるようになり、世界中で賞を受賞。
さらに注目を集めていきます。
さらにクラシックを含む「カバランシリーズ」の他に、樽とカスクストレングスにこだわった「ソリストシリーズ」をリリース。
またリーズナブルな「ディスティラリーセレクト」をリリースし、多くのファンを虜に。
生産能力も900万ℓまで拡大させ、カバラン蒸留所は見事トップ蒸留所の仲間入りを果たしました。
カバラン KAVALANのこだわりの製法
Jerry Lai from Hsinchu, Taiwan, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
カバラン蒸留所のある地域は豊富な水源があることで有名。
雪山山脈で磨かれたクリーンは軟水を仕込み水に使っています。
また冷たい水も入手しやすく、冷却水として使用しているそうです。
使用する麦芽はヨーロッパで作られたもの。その麦芽を最新の粉砕機で粉砕していきます。
この粉砕機は、粉にした麦芽(グリスト)の粒子をそろえることができるそうです。
粒子をそろえることで糖化・発酵など次の工程をスムーズにすることができます。
その麦芽と仕込み水を合わせ8時間ほど糖化させて麦汁を作っていきます。
できた麦汁をステンレス製の発酵槽で発酵。
この発酵槽は、冷却コイルを巻いた2重構造になっています。
これはジム博士の案だそうで、気温の高い台湾だからこそしっかりした温度管理ができるようにしたそうです。
60時間ほど発酵させ、アルコール度数8.5%のモロミを作ります。
これが香り豊かなウイスキーの第一ポイントとなるそうです。
そしてスコットランドと同じ2回蒸留をしていきます。
ポットスチルはすべてフォーサイス社製で、現在すべてランタン型だそう。
それは同じ味わいの原酒が作りやすいようにするためだそうです。
現在、初留釜10基、再留釜10基の計20基のポットスチルを持っています。
そしてカバランの大きなポイントとなる「樽」
マスターブレンダーが世界中から厳選した樽を使用しているそうです
- アメリカからはバーボン樽
- スペインからはシェリー樽
- スペイン、アメリカ、ポルトガル、オーストラリアからワイン樽
- フランスからブランデー樽
- 中米からラム樽
- そして日本やスコットランドからウイスキーのリフィル樽
を仕入れているそうです。
そして「シェービング」、「トースティング」、「リチャーリング」を行います。
「シェービング」は、樽の内側を削る作業。
こうすることで樽に残った前のお酒由来の雑味を取り除くことができます。
そして「トースティング」
遠赤外線で焼いていく作業で、桃のような甘みを引き出すことができるそうです。
最後に「リチャーリング」
ここがカバラン蒸留所見学時の目玉となるポイントです。
なんといっても火力がスゴイ!!
かなり強いバーナーであぶっていきます。
そうすることでマイルドなスモーキーフレーバーを得ることができるそうです。
そしてカバラン蒸留所で世界中を驚かせた『熟成工程』!
台湾の夏場は37~38℃もの気温になるそうです。
ここが「台湾ではウイスキーを製造することが不可能」といわれたポイントでした。
ところが、カバラン蒸留所はここを「早く熟成が進む」というというアドバンテージに変えることに成功しました。
なんと、冷房設備などは使わないそう!!
5階建ての熟成庫は夏の暑い時期、窓を閉め切り逆に高温にするそう。
最下層は27℃、最上段で42℃にもなるそうです。
そして冬の寒い時期は窓を開け、シベリアの冷たい風が熟成庫内に吹き渡るようにしているそう。
このサイクルがバランスのいいウイスキーを生み出しているのだとか。
これだけの高温下で熟成させるカバラン蒸留所の原酒。
その分樽内の原酒が蒸散する「天使の分け前(エンジェルズシェア)」が年間10%にもなるそうです。
カバラン蒸留所の天使は、かなりのんべえみたいですね(笑)。
ただ、その分かなり熟成が早いです。
そのため、熟成のピークは比較的早く訪れます。カバランのリリースに「10年熟成」のものがない理由はここにあります。
10年も熟成させてしまうとピークを過ぎてしまうそうです。
また、飲めないものが出来上がってしまうことも多いそう。
そのピークを見極め、厳選された原酒のみが、爆発的にフルーティな香りを含んだカバランとなって出荷されていきます。
カバラン KAVALANの定番リリース
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カバラン KAVALAN蒸留所データ
着工 | 2002年 |
オーナー会社 | 金車グループ |
年間生産能力(100%アルコール換算) | 約900万ℓ |
使用麦芽 | ヨーロッパ産麦芽 |
発酵槽 | ステンレス製 |
ポットスチル | 初留釜10基、再留釜10基 |
生産区分 | 台湾・宜蘭 |
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
最初このウイスキーと出会った時、2度驚きました。
それは、まず「台湾!!」ってところ。
興味を持って飲んでみて、「うまい!!」とまた驚かされます。
ちょっと価格が高いものが多いですが、それは台湾で作られボトリングする原酒を厳選している結果なのかなと思います。
ぜひまだ味わったことがない方は、ぜひ味わってみてください!!
それでは良いウイスキーライフを!
また次回もよろしくお願いします!
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