スコッチウイスキーはスコットランドで作られているウイスキーですが、3つのタイプと6つの生産地域にわけることができます。
今回は、スコッチウイスキーの3つの原酒タイプと6つの生産地域に種類分けして、それぞれの特徴についてまとめました。
スコッチウイスキーの種類
スコッチウイスキーは、スコットランドで作られているウイスキーですが、6つの定義に沿って作られています。
- 水・イースト・麦芽(モルトウイスキー)又はその他の穀物(グレーンウイスキー)のみを原料とすること。
- スコットランドの蒸留所で糖化・発酵・蒸留を行うこと
- アルコール度数94.8%以下で蒸留すること
- 容量700ℓ以下のオーク製の樽で熟成させること
- スコットランド国内の保税倉庫で3年以上熟成させること
- 水とスピリッツカラメル以外の添加は禁止。
定義に沿って作られたスコッチウイスキーの中で、
- 大麦麦芽(モルト)だけ使用したモルト原酒
- ほかの穀物も使用したグレーン原酒
この2つのタイプの原酒が作られています。
そして……
- モルト原酒だけを使用したモルトウイスキー
- グレーン原酒だけを使用したグレーンウイスキー
- モルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキー
この3タイプが作られています。
まずは、この3つのタイプについて解説させていただきます。
スコッチウイスキー、3つのタイプ
前記したように、スコッチウイスキーは、
- モルトウイスキー
- グレーンウイスキー
- ブレンデッドウイスキー
の3つに分類することができます。
その違いは、大麦麦芽だけで作られたモルト原酒やその他の穀物も使用したグレーン原酒だけで作られているのか、ブレンドされているのかの違いです。
スコッチモルトウイスキー
大麦麦芽100%だけで作られているスコッチモルトウイスキー。
モルトウイスキーの大きなポイントは2つ
- 大麦麦芽(モルト)100%で作られていること
- ポットスチル(単式蒸留器)で蒸留されていること
この2つ以外にも細かい決まりはありますが、スコッチウイスキーの定義+この2つのポイントが守られているものが「スコッチモルトウイスキー」と呼ばれます。
モルトウイスキーは、味わい深く個性豊かな味わい、長い余韻が特徴。
キレのある後味のものは少なく、複雑な後味となるウイスキーが多いです。
その中でも、一つの蒸留所のモルト原酒だけを使用したものが「シングルモルトウイスキー」です。
ウイスキーは気候や風土、蒸留所のこだわりなどにより多彩な個性が生まれます。
シングルモルトウイスキーは一つの蒸留所のみでボトリングされているため、蒸留所ごとの個性を鮮明に楽しむことができるでしょう。
シングルモルトウイスキーの個性は、様々です。
スモーキーなタイプもあれば、フルーティなタイプもあったり、ちょっと潮っぽさも感じるタイプもあったり……。
蒸留所ごと、銘柄ごとに個性は大きく異なります。
数種類のシングルモルトを飲み比べてみるとその違いがわかりやすいでしょう。
複数蒸留所のモルト原酒をブレンドして作られたボトルをブレンデッドモルトウイスキーと言います。
シングルモルトよりブレンダーの技術により整った仕上がりとなっていることが特徴。
有名な銘柄だと「モンキーショルダー」や「ジョニーウォーカー グリーンラベル」などがあります。
シングルモルトが自然や環境によって生み出される味わい・香りが表現されていますが、ブレンデッドモルトはブレンダーの手によって整った個性に仕上げられていることが多いです。
モルトウイスキーの作り方
モルトウイスキーの作り方の工程は大きく5つにわけることができます。
蒸留され、最低3年という時間を過ごしたらスコッチモルトウイスキーのモルト原酒は完成します。
ひとつの蒸留所だけのモルト原酒をブレンドして作られたものがシングルモルトウイスキー、複数蒸留所のモルト原酒をブレンドしたらブレンデッドモルトウイスキーです。
スコッチグレーンウイスキーとは?
スコッチグレーンウイスキーは、大麦麦芽以外の穀物も使用したウイスキーです。
そのポイントは、
- 大麦麦芽以外の穀物を使用することができること
- 連続式蒸留機を使うことができること
大麦麦芽(モルト)100%でも連続式蒸留機を使用したり、ポットスチルを使ってもライ麦などの穀物を使ったりしたらグレーンウイスキ―となります。
グレーンウイスキーはモルトウイスキーほどの個性が出しにくく、穏やかな味わいに作ることが多く、キレのある余韻が特徴です。
ほとんどはモルト原酒とブレンドしてブレンデッドウイスキーに使われますが、個性的な原酒や長期熟成の原酒がシングルグレーンウイスキーとしてリリースされることがあります。
シングルグレーンウイスキーはシングルモルトウイスキーほどメジャーではないので、かなりマニアックなボトルで結構希少価値の高い銘柄が多いです。
で面白いシングルグレーンウイスキーといえばモルト100%で作られている「ロッホローモンド シングルグレーン」ですね!
グレーンウイスキーの作り方
グレーンウイスキーはポットスチルを使用して作ることができますが、一般的なグレーンウイスキーは連続式蒸留機を使用します。
連続式蒸留機は麦芽の粉砕から糖化、発酵、蒸留まで、一気に作ることができるシステムです。
モルトウイスキーと大きな違いは、クッキングという大きな圧力釜で煮込む工程があることです。
モルトは酵素が活性しているため成分が水に溶けやすいですが、未発芽の穀物ではなかなか成分が仕込み水に抽出しにくいことがあります。
糖化させやすくするために、クッキングという工程が行われるのです。
- モルト以外の穀物が使用されている。
- クッキングという圧力加熱を行う必要がある。
- モルトウイスキーよりやや長く、やや高いアルコール度数で発酵。
- 連続式蒸留機を使用。蒸留アルコール度数を90%ぐらいにしている(モルトウイスキーは65~80%ぐらい)。
- ほとんどがプレーンカスクを使用している。
スコッチブレンデッドウイスキーとは?
スコッチウイスキーの中で最も売れているのは、ブレンデッドウイスキー。
スコッチブレンデッドウイスキーは、特に万人受けしやすいバランスの良さと程よく残した個性が特徴です。
その個性やバランスはブランドによってさまざまですが、シングルモルトに比べて比較的安価に入手できます。
また、デイリーウイスキーとしても飲みやすい仕上がりとなっていて、お家で・居酒屋でなど様々に楽しまれているのがスコッチブレンデッドウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーの作り方
そんなブレンデッドウイスキーの作り方は、基本的にモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして作られます。
多くのスコッチブレンデッドウイスキーは、数~数十種類のモルトウイスキーと数種類のグレーンウイスキーをブレンドします。
モルト原酒:グレーン原酒は3:7の割合で、バランスのいい味わいと程よい個性・余韻に仕上げているボトルが多いです。
複数ブレンドすることで、さまざまな味わいを作り出すことが可能。
モルト原酒の中でもクセの強いタイプを大目にブレンドしたり、グレーン原酒の比率を減らしたり……
ブレンダー(ブレンドを担当する人)の腕や感覚によって多彩な味わいのウイスキーが作られています。
スコッチウイスキーの6つの地域
スコッチウイスキー(特にモルトウイスキー)は6つの地域ごとに種類分けすることができます。
- ハイランド
- スペイサイト
- アイラ
- ローランド
- アイランズ
- キャンベルタウン
それぞれ違った特徴を持ち、ブレンデッドウイスキーを作るブレンダーはそれぞれの特徴をどのように活かすか日々研鑽しています。
ハイランド
スコットランドの中でも最も広い地域を占めているのがハイランド。
スコットランドの文化が色濃く残る地域で、その地域で作られるウイスキーもしっかりとした個性のあるモルトウイスキーが多いです。
特にハイランドの中でも
北の方はライトでソルティ⇨中央に行くにつれて濃厚で芳醇⇨南のローランド寄りになるとライト
となる傾向があります。
スペイサイド
スペイサイドは、アイラに並ぶ”スコッチウイスキーの聖地”です。
アイラがスモーキーで癖のあるフレーバーに対して、スペイサイドは華やかでフルーティなフレーバーが特徴となっています。
スペイサイドモルトは、ブレンデッドウイスキーの重要な中核を担うキーモルトとして使われることが多く、
例えば……
など有名ブレンデッドウイスキーを見ても中核を担っている原酒はスペイサイドモルトが多いです。
またシングルモルトとしても人気が高く、
など有名銘柄が多数あります。
アイラ
アイラモルトウイスキーは、スコッチウイスキーの中でもピートを焚いたスモーキーで癖のあるタイプが多いアイラモルト。
インナーヘブリディーズ諸島の一つで、日本の淡路島より一回り大きいぐらいの島です。
ピートが豊富に採掘でき、スコッチモルトウイスキー造りの聖地となっています。
クセのある独特なスモーキーさから、シングルモルト以外ではブレンデッドウイスキーのアクセントとしても使用。
アイラモルトがブレンドされていないブレンデッドウイスキーを探す方が難しいほど、多くの銘柄で使われています。
現在、稼働中のアイラモルト蒸留所は9か所です。
ローランド
スコットランドの中でもイングランドに近いローランド。
早めに近代化が進んだこともあり、各メーカーのグレーンウイスキー蒸留所はローランドにあることが多いです。
この地域のモルトウイスキーは、スムースで飲みやすく穀物感のあるフレーバーが特徴的なウイスキーが多く、
飲みやすさ・フルーティさ、そして洗練されたスパイシーさなどが魅力となっています。
また、最近のローランドはクラフトウイスキー蒸留所ができたり、閉鎖蒸留所が復活を果たしたりとウイスキーファンから注目されています。
アイランズ
スコットランド・アイラ島以外の島々で作られているモルトウイスキーのことをアイランズモルトといいます。
アイランズモルトは島ごとに個性が異なり、様々な顔を見せてくれます。
例えば、
- ソルティでスパイシー、海が育んだモルト「タリスカー」
- 究極のオールラウンダーといわれている「ハイランドパーク」
などがアイランズモルトも一つです。
アイランズモルトもアクセントとしてブレンデッドウイスキーに使われることが多いかなと思います。
キャンベルタウン
キャンベルタウンモルトは、潮っぽさとしっかりとしたフルーティさがあり香り高く深い味わいが特徴です。
キャンベルタウンは、かつてウイスキーとニシン漁で栄えた町でした。
ピーク時には一つの街に50近い蒸留所があったそうで、蒸留所を持てば豪邸に住めるほどウイスキー産業で栄えていました。
しかしアメリカの禁酒法・二度の世界大戦から衰退。
今では3か所しかウイスキーを作っていませんが、モルトファンから絶大な人気を誇っているモルトウイスキーの産地です。
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のお話いかがだったでしょうか?
スコッチウイスキーでは、モルト原酒とグレーン原酒の2タイプのウイスキー原酒が作られています。
モルト原酒は大麦麦芽100%のウイスキーで、一つの蒸留所のモルト原酒だけを使用した「シングルモルトウイスキー」とモルト原酒とグレーン原酒をブレンドした「ブレンデッドウイスキー」が現在スコッチウイスキーの主流です。
中でもスコッチウイスキーの販売数のほとんどは「ブレンデッドウイスキー」で、スコッチNo.1 ブランドの「ジョニーウォーカー」は年間1800万ケースもの売り上げをあげています。
世界中で愛され、多くのファンを持つ「スコッチウイスキー」。
その種類を知るとよりウイスキーの世界が面白いくなると思いますし、飲み比べるともっと虜になっちゃうかもしれません。
スコッチウイスキーの種類をこの記事で少しでも知って、今後のウイスキー選びに役立てていただけたらと思います。
それではよいウイスキーライフを!
また次回もよろしくお願いいたします。
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