知多や富士のように「シングルグレーンウイスキー」というウイスキーを見たことがあると思います。
過去の記事で「グレーンウイスキー」とは、モルト以外の穀物も使用したウイスキーだと解説しました。
では、シングルグレーンウイスキーとは、単なるグレーンウイスキ―とは何が違うのでしょうか。
一言でまとめると、シングルグレーンウイスキーは一つの蒸留所のみで作られたグレーンウイスキーのことです。
ところが、シングルグレーンウイスキーには一言ではまとめきれないほど隠れた魅力があります。
今回は、そんなシングルグレーンウイスキーの魅力から特徴、おすすめ銘柄などをまとめました。
シングルグレーンウイスキーとは?
シングルグレーンを解説する前に、グレーンウイスキーについておさらいしていきましょう。
グレーンウイスキーとは?
モルト以外の穀物(トウモロコシや未発芽の大麦、小麦など)も使ったウイスキーがグレーンウイスキ―。
主にモルトより原価の低い原料が選ばれます。
糖化剤としてモルトは使われますが、その使用料は全体の2~3割ぐらい。
グレーンウイスキーはまるで工場のような蒸留施設で作られることが多く、ほとんどは連続式蒸留機で蒸留されます。
連続式蒸留機のメリットは……
- 原酒を大量生産できる
- クリアなアルコールを作ることができる
- 低コストで作れる
- 安定した味わいのお酒が得られる
この4つが大きいです。
ただ反対に……
- 個性が残りにくい
- 主役となりにくい
- 初期費用がかかる
というデメリットがあります。
なので主に、ブレンデッドウイスキーのベースとして使われることがほとんどです。
ただし、グレーンウイスキーも作り方次第で主役となることもあります。
主役となったグレーンウイスキーが「シングルグレーンウイスキー」です。
シングルグレーンウイスキーの特徴
シングルグレーンウイスキーは、一つの蒸留所だけの原酒で作られたグレーンウイスキーのことです。
シングルモルトウイスキーと同じように、一つの蒸留所で作られた原酒であればブレンドすることは可能。
つまり、グレーンウイスキーも一つの蒸留所で、原酒を作り分けることができるということです。
連続式蒸留機の蒸留塔は数十段の棚で蒸留する仕組みになって、複数の蒸留塔を使ってライトな原酒を作っています。
ところが、実は蒸留塔を一部使わないなどラインを変えるだけで、多彩な原酒を作ることができるのです。
それらの多彩なグレーンウイスキ―をブレンドし、主役としてボトリングしたものがシングルグレーンウイスキーです。
シングルグレーンウイスキーの魅力
僕が思うシングルグレーンウイスキーの魅力は3つあります。
- グレーンウイスキー、本来の味わいが知れる
- モルトウイスキーとの違いがわかる
- 料理・おつまみとの親和性が高い
あまり世に出ることが少ないグレーンウイスキーの味わいを知ることができます。
グレーンウイスキーの味わいを知れば、ウイスキーがより楽しくなるでしょう。
ブレンデッドウイスキーにブレンドされている原酒の特徴がわかりやすくなります。
作り方や原料が近いバーボンやライウイスキー、ポットスチルウイスキーなどとの違いにも興味が出てくるでしょう。
また、自分でモルトウイスキーとグレーンウイスキ―をブレンドしてみるって楽しみ方もあります。
そして、グレーンウイスキーには、モルトウイスキーにはない味わいがあります。
- スッキリとした後味
- クリアでくどさのないアフターフレーバー
- ハッキリとした樽のニュアンス(新樽・シェリー樽などを使用した場合)
などなど
そして、僕が特に思うシングルグレーンウイスキーの魅力は「料理との親和性の高さ」です。
何回も書いたようにグレーンウイスキーのほとんどはブレンデッドウイスキーのブレンド用に作られます。
言い換えると、モルトウイスキーの個性を生かすように作られています。
そんなグレーンウイスキーが主役となったとき、合わせられる料理のレパートリーはモルトより多いです。
例えば、
- グレーンウイスキーの水割りと寿司
- グレーンウイスキーのハイボールと鰹のたたき
などなど
繊細な料理とも合いやすくなります。
バーボンも実は「シングルグレーン」?
アメリカで作られているバーボンウイスキー。
とうもろこしを51%以上使用したウイスキーとなりますが、もしアメリカ以外で作られたら「バーボンウイスキー」と呼ぶことはできません。
もしアメリカ以外で「バーボンスタイル」のウイスキーを作った場合、何と呼ばれるでしょうか。
それは「グレーンウイスキー」です。
バーボンウイスキーも多くの場合は一つの蒸留所のみで作られることが多いので、同じように作ったら「シングルグレーンウイスキー」となるでしょう。
最近日本のクラフトウイスキー蒸留所で「バーボンスタイルのグレーンウイスキー」を目指すところも出てきました。
キリンの「シングルグレーンウイスキー 富士」もバーボンに寄せたスタイルのウイスキーとなっています。
おすすめのシングルグレーンウイスキー
僕が特におすすめしたいシングルグレーンウイスキーをご紹介していこうと思います。
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シングルグレーンウイスキー、おすすめの飲み方
シングルグレーンウイスキーは、料理やおつまみとの親和性の高さが魅力です。
特に食中酒として真価を発揮するかなと思います。
食中酒ならハイボールや水割りが特におすすめです!!
逆にストレートやロックでは粗さが目立ってしまうことや深みが足りなく感じてしまうこともあります。
あくまでも僕の感覚ですが、ハイボールや水割りがおいしい銘柄が多いと思います。
シングルグレーンはグレーンが主役のウイスキー!
ここまで、ずらずらとシングルグレーンウイスキーについて書いていきました。
ただ、この記事で一番に言いたいことは、シングルグレーンウイスキーにもシングルモルトに全く劣らない魅力があること。
そして、シングルグレーンウイスキーを知ることでウイスキーがもっと楽しくなることです。
たぶん、よく聞くモルトウイスキーとは違ったウイスキーの面白さを感じると思います。
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか。
僕は知多蒸留所と富士御殿場蒸留所の見学に行ったことがあります。
その見学で、グレーンウイスキーのすごさを痛感しました。
それまでは、どこかモルトウイスキーよりも下に見ていて、あまり試してなかったグレーンウイスキー。
ただ中にはカラメルのように甘くて濃厚な一本もあります。
本当にウイスキーは深い世界だなと思わされました。
ぜひこの記事が、そんな皆様のウイスキーの世界を広げるきっかけとなったらうれしいです。
それではよいウイスキーライフを!
また次回もよろしくお願いいたします。
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