なるべく楽しくわかりやすく解説したいと思います。
本日もお越し頂きありがとうございます。
ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のお話は「ウイスキーの種類」について
ウイスキーには、一言で言いきれないほど様々な種類があります。
世界5大ウイスキーをはじめ、原料によるウイスキーの違いや製法によるウイスキーの違いなどなど。
今回は、そんなウイスキーの種類について、入門~マニア入口の方向けの記事を書いてみました。
ウイスキーの種類がわかると自分好みのウイスキーがわかりやすくなります。
ぜひウイスキーの種類を知ってより深くウイスキーを楽しんでいただけたらと思います。
- ウイスキーの種類が知りたい方
- 自分好みのウイスキーがわかるようになりたい方
- ウイスキーをもっと深く知りたい方
ウイスキーの種類とは??
冒頭で「ウイスキーには様々な種類がある。」と言いましたが、なかなかピンと来ていない方も多いと思います。
そこで、まずウイスキーの定義からおさらいしていきます。
ウイスキーの定義
ウイスキーとは穀物を原料に糖化・発酵・蒸留をし、貯蔵熟成させたお酒のこと。
まずウイスキーと呼ぶためには、
- 穀物が原料であること
- 蒸留酒であること
- 熟成させていること
がこの3つが大前提です。
かなり大雑把な話をすると、
穀物ではなく、果物を使った場合、「ブランデー」になります。
また穀物を使っていても、熟成させていなかったら「ウォッカ」です。
さらに、穀物だけを使ったお酒でも蒸留させなければ、「ビール」です。
この穀物原料・蒸留・熟成がウイスキー最大の特徴といえると思います。
合わせて読みたい⇨ウイスキーの定義とは??知っておきたいそれぞれのウイスキーのルールについて再確認!
ウイスキーの種類、どう分かれるの?
ウイスキー=穀物を使った蒸留酒であり、熟成を必要とするお酒。
ただ穀物といえど種類はたくさんあります。
大麦・小麦・ライムギ・コメ・トウモロコシ……。
どの穀物を使うかによってウイスキーの種類が変わりますし、味わいも大きく変わります。
またウイスキーは長い熟成が必要です。長い熟成期間から、その土地の特徴も大きくウイスキーに影響を及ぼします。
原料、製法の違いもありますが、原産国による違いも大きく国によってウイスキーの種類も様々。
今回は、
- 原料で分けるウイスキーの種類
- 産地で分けるウイスキーの種類
- 製法で分けるウイスキーの種類
について解説させていただきます!
原料で分けるウイスキーの種類
ウイスキーは、穀物を使った蒸留酒です。
その穀物は、世界にたくさんあります。
3大穀物といえば、麦、米、トウモロコシですが、それ以外にもそば、キヌア、アマランサスなどなど。
正確に穀物とはイネ科の植物の種を指すそうで、そばやキヌアは類似穀物といわれるものだそう。
基本的にウイスキーは、大麦を使うことが多いです。
次に多いのがバーボンウイスキーで有名なトウモロコシ。
そして小麦、ライムギなどなど……。
それ以外の米や類似穀物で作られたウイスキーもあるにはありますが、ウイスキー全体のごくわずかです
また海外には、そばを使ったウイスキーもあります。
一言にウイスキー=穀物の蒸留酒といえど、様々な種類があるのです。
ただその種類も大きく分けると2つに分かれます。
モルトとグレーンの違いとは??
まずウイスキーを原料で分けると2つに分かれます。
それはモルトウイスキーとグレーンウイスキーです。
簡単に説明するとモルトウイスキーは大麦麦芽100%のウイスキーのこと。
対してグレーンウイスキーはモルト以外の穀物を使用したウイスキーのことです。
合わせて読みたい⇨モルトウイスキーとグレーンウイスキ―の違いとは?
モルトウイスキーとは?
モルトウイスキーとは、基本的には大麦麦芽(モルト)100%のウイスキーのことです。
大麦麦芽は、大麦を発芽させたもの。
大麦が英語でバーレイなのに対して、大麦麦芽はモルトとしっかりと区別されています。
大麦を発芽させたことにより、大麦の粒の中に「酵素」といわれる成分が生まれます。
この酵素の一部が大麦のでんぷんを分解。糖分を作り出します。
この糖分を酵母がアルコールに変え、それを蒸留により濃縮。さらにそれを熟成させてウイスキーは作られています。
発芽させた大麦100%でこのプロセスを行ったウイスキーがモルトウイスキー。
大麦100%で作ることでその個性が顕著に現れます。
また、大麦麦芽は大麦を水に浸して発芽させるのですが、その乾燥の時にピートという燃える泥(泥炭)を焚いてその煙と熱気で乾燥させます。
この時、大麦麦芽にスモーキーなフレーバーが付くのです。
このスモーキーフレーバーもモルトウイスキーの大事な個性の一つ。
今では無煙炭などもあり、その熱気で乾燥させることも多いのでスモーキーフレーバーのないモルトウイスキーもたくさんあります。
ただ、もともと木の少なく泥炭が豊富なスコットランドでは、一般燃料だった泥炭が麦芽の乾燥に使われていました。
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また、基本的にはモルトウイスキーはポットスチルと呼ばれる単式蒸留器で作られます。
この単式蒸留器で蒸留させると、原料の個性が残りやすい傾向があります。
麦芽の個性、ピートの個性なのがはっきりと現れたモルトウイスキー。
個性豊かなことから「ラウドスピリッツ」とも呼ばれています。
合わせて読みたい⇨モルトウイスキーとは??定義と特徴から多彩な個性のヒミツと魅力に迫る
シングルモルトウイスキーとは?
個性豊かなモルトウイスキー。
そんなモルトウイスキーでよく聞く言葉が「シングルモルト」だと思います。
このシングルモルトとは、一つの蒸留所で作られたモルトウイスキーのこと。
ウイスキーはどこで作られたかによって大きくその個性が変わってきます。
また蒸留所ごとにこだわりがあり、求める個性も全然違います。
そのような蒸留所ごとの個性を楽しむウイスキーがシングルモルトウイスキーです。
合わせて読みたい⇨『シングルモルト』とは? 個性を楽しむお酒シングルモルトウイスキーについて解説!
グレーンウイスキーとは?
大麦麦芽100%のウイスキー=モルトウイスキー。
対して大麦麦芽以外の穀物も使用したウイスキーがグレーンウイスキーです。
グレーンウイスキーは基本トウモロコシや小麦、未発芽の大麦などから作られます。
そしてそれらの穀物のでんぷんを糖に変えるためにモルトも少し添加されます。
そしてグレーンウイスキーは、連続式蒸留機という近代的な蒸留機で蒸留されることが多いです。
アルコール発酵した発酵液を連続的に蒸留することができる機械で、大量生産することができます。
また、大量生産できるので安価に作ることができ、個性も穏やかに仕上がります。
モルトウイスキーが「ラウドスピリッツ」と呼ばれているのに対して、グレーンウイスキーは「サイレントスピリッツ」とも呼ばれています。
グレーンウイスキーはそのまま製品化されることより、モルトウイスキーとブレンドして製品化されることが多いです。
関連記事⇨「グレーンウイスキー」とは? 個性が乏しいのは実は一部だけ!?魅力と特徴・作り方・おすすめの銘柄から解説
シングルグレーンウイスキーとは?
モルトウイスキーとブレンドして製品化されることの多いグレーンウイスキーですが、たまに「グレーンウイスキー」としてリリースされることがあります。
その多くが「シングルグレーン」です。
シングルグレーンウイスキーとは、シングルモルト同様一つの蒸留所で作られたグレーンウイスキーのこと。
グレーンウイスキーは連続式蒸留機を使い、穏やかな個性に仕上げたウイスキーとよく説明があります。
ただし、正確にはそのように作っただけで、いくらでも個性的に仕上げることは可能です。
そのようにグレーンウイスキーの中でも個性的な原酒とライトな原酒などを蒸留所が作り分け、ブレンドし作られるのがシングルグレーンウイスキー。
シングルグレーンウイスキーでもその蒸留所の個性がしっかりと現れています。
合わせて読みたい⇨シングルグレーンウイスキーとは? 知ると面白い!?魅力・特徴からおすすめ銘柄をご紹介
モルトとグレーンをブレンドしたブレンデッドウイスキー
ブレンデッドウイスキーとは、別の蒸留所の原酒もブレンドしたウイスキーのことです。
多くは、数十種類のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして作られます。
ブレンデッドウイスキーは、キーモルトという中核を担うモルトウイスキーを中心にブレンド。
キーモルトの味わいを広げたり、バランスをとるために様々なモルトウイスキーが使われてます。
その中で、味わいに大きく影響を及ぼす上質なモルトウイスキーのことを「トップドレッシング」といいます。
モルトウイスキーで広げた味わいを、穏やかな個性のグレーンウイスキーで飲みやすくバランスのいい味わいに仕上げていきます。
たとえるなら、グレーンウイスキーは煮物料理の「お出汁」、モルトウイスキーは「調味料」といった関係性。
グレーンウイスキーが味わいを下から支え、モルトウイスキーがその味わいの骨格や個性を決めていきます。
このようにしてブレンデッドウイスキーは作られているのです。
ブレンデッドウイスキーは、万人に飲みやすいバランスのいいウイスキーとなっていることが多いです。
比較的お値段的も安価なものが多く、モルトウイスキーに比べてコスパもいい傾向があります。
合わせて読みたい⇨ブレンデッドウイスキーとは??特徴と魅力から選び方・飲み方を解説
ブレンデッドモルトウイスキーとは?
安価で万人に受け入れられやすいブレンデッドウイスキーですが、中にはモルトウイスキーだけを使ったブレンデッドウイスキーもあります。
グレーンウイスキーを使わないブレンデッドウイスキーのことを「ブレンデッドモルト」といいます。
ブレンデッドモルトの特徴は、個性を残しつつモルトウイスキーでバランスをとっていること。
単一蒸留所のシングルモルトでは味わえない、折り重なるフレーバーが楽しめます。
また中には、有名ブレンデッドウイスキーのモルトだけというバージョンもあります。
そういったグレーンウイスキーが入る前のブレンデッドウイスキーも味わってみたら面白いのではないでしょうか?
合わせて読みたい⇨ブレンデッドモルトウイスキーとは?特徴と魅力からおすすめの銘柄・飲み方まで徹底解説
産地で分けるウイスキーの種類
ウイスキーには世界5大ウイスキーと呼ばれるものがあります。
- スコットランドのスコッチウイスキー
- アイルランドのアイリッシュウイスキー
- アメリカのアメリカンウイスキー
- カナダのカナディアンウイスキー
- 日本のジャパニーズウイスキー
です。
それぞれ味わいや香りに特徴があり、製法なども少しずつ異なります。
詳しい違いについてはほかの記事でまとめましたので、下の関連記事をご参照ください。
関連記事⇨世界5大ウイスキーってなに??ウイスキー料理人がイラスト付きでマニアックに解説!
製法で分けるウイスキーの種類
原料、国とウイスキーの種類を分けていきましたが、ほかにも製法によって変わってくる部分があります。
その製法によるウイスキーの種類をまとめてみました。
シングルカスクウイスキー・シングルバレルウイスキーとは?
ウイスキーには、「シングルモルトウイスキー」があります。
シングルモルトウイスキーは今世界各国で作られていてなじみある言葉になりつつあると思います。
ただよく「シングルモルト」間違えられやすいのが、シングルカスクウイスキー、シングルバレルウイスキー。
シングルモルトが「一つの蒸留所で作られたウイスキー」なのに対し、
シングルカスク・シングルバレルは一つの樽から生まれたウイスキーです。
この2つの最も違う点は、「ブレンドしているかしていないか」。
シングルモルトは一つの蒸留所内であれば、樽の中の原酒をブレンドすることは可能です。
しかし、シングルカスクウイスキーは、一つの樽からボトリングする必要があります。
ウイスキーマニアでないとあまりピンとこないと思いますが、ウイスキーはたとえ同じ蒸留所の同じ日に蒸留した原酒でも10年・20年の熟成で個性が変わってきます。
一樽ことの個性をブレンドし、蒸留所の個性・味にしたのがシングルモルト。
一樽ごとの個性をそのままいただくのがシングルカスク・シングルバレルです。
かなりマニア向けのウイスキーですし、シングルバレル・シングルカスクは限定リリースしかありません。
その時しか味わえないウイスキーとなるのでかなり高価なものが多いです。
ぜひバーなので試していただけたらと思います。
関連記事⇨世界で最もカラフルな会員制ウイスキークラブ「スコッチモルトウイスキーソサエティ」に入会!その方法と気になる魅力・不安点・注意事項とは?
カスクストレングスウイスキーとは?
ウイスキーは基本加水されています。
樽から出たばかりのウイスキーはアルコール度数60%ぐらいです。
ところが、ウイスキーの製品を見てみると大体アルコール度数は40~46%ぐらい。
すでに加水し40~46%ぐらいに調節してからボトリングされます。
ところが中には、樽出しそのままのアルコール度数をボトリングしている製品もあります。
それがカスクストレングスです。
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カスクストレングスの魅力は、樽から出されたウイスキーを加水調節されないまま楽しめること。
ウイスキーはアルコール度数が高いほど香り成分を多く残している傾向があります。
そんな香り成分を余すこそなく楽しめるのがカスクストレングス。
なかなかマニア向けではありますが、見つけたらぜひ楽しんでみてください。
おすすめの楽しみ方は、自分で加水調節してアルコール度数を40~46%にして楽しむ方法。
割ったばかりのウイスキーがどれだけ薫り高いかがわかると思います!!
ちなみにシングルカスクは「加水調節が可能」となっています。
対してカスクストレングスは「ブレンドが可能」。
限定ウイスキーの場合、「シングルカスク・カスクストレングス」=「加水調節もブレンドもしていない純粋に一樽から生まれたウイスキー」となっていることが多いです。
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熟成年数表記のないノンエイジウイスキーとは?
ウイスキーの中には、熟成年数の記載がない「ノンエイジ」といわれるものがあります。
スコッチウイスキーの場合、熟成年数を一番若い原酒に揃えないといけないルールがあります。
若いウイスキー原酒を使っていると熟成年数を記載するならその若い原酒の熟成年数を書かないといけません。
そのため、あえて熟成年数を書かない「ノンエイジウイスキー」というのがあるのです。
主に安価な製品に多いですが、高価格帯のウイスキーにも「ノンエイジ」のものはあります。
それは熟成年数の進んだ原酒を多く使っていて、若い原酒でバランスをとったときに多いです。
また、アメリカンウイスキーなど、スコットランドより暖かい地域のウイスキーでは、4年熟成でスコッチの10~12年レベルの熟成感になることがあります。
ただ、10年物のウイスキーと4年物のウイスキーが同価格で並んでいたら、10年物のウイスキーの方が「いいウイスキー」と思われてしまいがち。
そういったマーケティングの観点から、あえて熟成年数を書かないという方法も行われています。
アメリカンウイスキーの場合、4年以上熟成させていれば熟成年数の表記の必要がなくなります。
つまり、「ノンエイジウイスキー」は、実は奥が深いウイスキーなのです。
一言でいうとノンエイジウイスキー=熟成年数にとらわれないウイスキーといえると思います。
ボトラーズのウイスキーとは??
ウイスキーには、オフィシャル以外に「ボトラーズ」といわれるものがあります。
ボトラーズとは、蒸留所から原酒の樽を購入、自分たちで熟成させボトリングした製品のこと。
もともとスコットランドの酒屋さんでは樽から量り売りしていたため、その名残が「ボトラーズ」といわれています。
オフィシャルではリリースできないかなりマニアックなウイスキーが多く、かなり深くウイスキーの楽しみたい方向けにボトルといえます。
合わせて読みたい⇨「インディペンデントボトラー」「ボトラーズ」とは? 特にマニア向けのおすすめボトラーズ・ウイスキーを厳選!
ティースプーンモルト
ボトラーズウイスキーの中にかなりマニアックな「ティースプーンモルト」。
ボトラーズのウイスキー銘柄に存在しない蒸留所名が書かれていることがあります。
その謎の蒸留所が書かれたボトルの中に「ティースプーンモルト」と呼ばれるウイスキーがあります。
このティースプーンモルトとは、99.999999%「シングルモルト」です。
しかし、一樽にティースプーン一杯分だけ別のウイスキーをブレンドしたブレンデッドモルトになります。
シングルモルト蒸留所の中にはボトラーズへ樽売りしないことを掲げているところがあります。
ただそんな蒸留所の原酒を入手でき、そのウイスキーをリリースしようとしたときティースプーン一杯別のウイスキーを混ぜ、違う名前でリリースするのです。
かなりマニアになると、この名前だとこの蒸留所にティースプーン一杯のこの蒸留所の原酒がこの銘柄名とわかるようになるのですが、超マニアックな内容。
ぜひバーで見つけたら、バーテンダーと会話を楽しみながらティースプーンモルトを飲んでみてはいかがでしょうか?
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
かなり大ボリュームに、ズラー―――っとウイスキーの種類についてまとめていきました。。
そしてそのウイスキーと実際に対面したときに「そういえばあのウイスキー料理人ブロガーが言ってたような」ぐらいに思い出していただけたらと思います。
ウイスキーには、様々な種類があります。
それぞれに良さがあり、それぞれに楽しみ方も変わってくるはずです。
またウイスキーの種類がわかると自分好みのウイスキーを見るけられたり、新しいウイスキーに挑戦するときに味の想像ができたりすると思います。
ぜひこの記事がより深くウイスキーを楽しむための参考書のような存在になっていただけたら嬉しいです。
それではよいウイスキーライフを!
また次回もよろしくお願いします!!
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